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11話 ランチタイム後。

 言い訳くさい、明日也君の視点。


 山城さんとは食堂で別れ、俺と秀平は一緒に講義室へ向かった。


「山城さんって結構天然だね。もっと恐い人だと思ってたよ」

 まさか、あんなに天然だとは予想外だった。

 男を寄せ付けないって聞いてたからもっとお高くとまってる人かと思ったら、すっげえ面白いし。

 良い意味で裏切られた。


「お前、山城を狙ってたんじゃないのか」

「狙ってないみたいな言い方だ」

 笑顔を浮かべるが、どうせ胡散臭いとか思ってるんだろうな。

 俺としては、あんな美人の素顔を見てる秀平がなぜ、山城さんに落ちないのか。

 そっちの方が不思議なんだけど。


「だったらなんで、わざわざ俺の誕生日を引きあいに出した。合コンの誘いなら別にいつでも良いだろ」

 全く、気づかなくていい所に気がつく。

「秀平は自分の事は疎いくせに、他人に鋭い所が嫌いだ」

 しかもその場で突っ込まなかった優しさが余計にムカつく。

 秀平はいつだって余裕だ。抜けてる癖に余裕って矛盾してんだよ、全く。


「答えになってないぞ」

「秀平の事だから、誕生日も教えてないんだろうと思って気を使ってあげたのに〜」

 俺だって最初は狙ってさ、校内で噂の山城さんをものに出来たら面白いだろうって思ってさ。

 けど、あんなに信頼しきった山城さん見たらそんな気失せた。

 最初は誕生日に合コンで揺らぐ秀平を見せて、幻滅させるつもりだったのに。

 秀平はきっぱり断っちゃうし、山城さんはそもそも誕生日知らなかったし。

 嫉妬も何も見せない。二人にあるのは信頼だけ。

 本当に友達だった。

 小学生並みに純粋な友達だった。


 あんなにラブラブなのに恋人じゃないなんて…。

 鈍感コンビかよ。

 手に負えねぇ。

 しかも、二人とも本気で友達だと思ってる所が救いようがない。


 だが、俺達はもう小学生じゃない。


 どっちが先に想い始めるだろう。


 このままでいられたらなんて夢の話。

 夢はいつか覚める。


 どちらが先に夢を壊すだろう。


「そうやってはぐらかすな」

「逆に聞くけど、俺が本気で山城さん狙って良いわけ?」

 どうせ、ダメだとか言うんだろ。会わせるの嫌がってたし、そんなに大切なら自覚しろよ。

 しかし、秀平から意外な答えが返ってきた。

「明日也が本気なら俺は何も言わない」

 …何言ってんだ、コイツ。

「でも、遊びならやめろ。山城は……」


「なんで黙るの?」

 もしかして、なんかあったのか。いや、そんな雰囲気は全く感じなかったし…。

「…山城はそういうのが苦手なんだ」


 頑固なくせに、純粋で。鋭いくせに、鈍感で。

 一人でなんでもできると思われるくせに、面倒見がよくて。

 そのくせ不器用で。

 

 全く、どんな顔して言ってるかまず自覚しろよ。

 鏡で見せてやりたいぜ。


「俺も苦手だ」

「えっ?」

「山城さんは良い人間過ぎる」

 

 秀平にソックリで嫌になる。

 友達としては面白いけど、恋人にしたいタイプじゃない。


「昔かっら思ってたけど、何考えてるかわかんねぇよ」

 いや、秀平がわかりやす過ぎるだけだから。

「ミステリアスな方が女の子にモテるだろ」

「それしか考えてないのか」

「当たり前だろ」


 俺はお前みたいな良い人間にはなれないよ。


 まぁ、なりたくもないけど。



「それでさ、誕生日なにしてもらうの」

「はぁ?」

「山城さんは秀平の為なら何でもしてくれるって言ってたじゃん。ここは男として…」

「俺と山城は友達だ!」

 顔を真っ赤にして言われても説得力無いぜ、秀平。

「俺はまだ何も言ってない。イヤラシイ事考えたのは秀平だろ」

「俺はっ、…何も……」


 俺は堪えきれずに笑った。

 

 あー、やっぱり秀平は面白い。

 今時、こんな手に引っかからねぇよ普通。


秀平にコンプレックスを感じてる明日也君でした。

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