おふだ付きのおワル達
『
拝啓
日に日に寒さが身に染みるようになってきた今日この頃、如何お過ごしでしょうか。
あれだけ色づいていた木々もすっかりと葉を落とし、街路樹も今や冬盛りです。枝ばかりの様子は何だか物寂しくもありますが、師走の街は気忙しくも活気に溢れています。お陰さまで、私も忙しくも充実した日々を送らさせていただいております。
毎日、じたばたと目の回るような日々ですが、そんな中でも貴方様のご活躍の話はよく聞こえてきております。なんでも、そちらの街を遂に一つに纏められたと伺いました。お祝いを申しあげます。
これまで様々なご苦労があったこととお察しいたします。貴方様のお話をこちらの街で伝え聞く度に、勝手ながら、我が身を振り省みて、身の引き締まる思いがいたしておりました。私がこれまでやってこられたのは、ひとえに、貴方様のご活躍に励まされてきたからに他なりません。そうしてこの度、互いに街での立場を得たことには感無量の思いです。
さて、今回、こうして不躾にも筆を取らさせていただいたのは、まさにその事についてです。互いの街での立場が確りと定まった今、これは私達の立ち位置を確認する絶好の機会でないかと愚考いたしました。是非、ご一考いただければ幸いです。
まだまだ寒さが深まる中、どうぞご自愛ください。末尾ではありますが、益々のご活躍をお祈りしております。
敬具
』
『
拝啓
寒さが厳しい今日この頃、如何お過ごしでしょうか。
暦の上では立春を過ぎましたが、まだまだ春泥には日があるように思います。
先日は丁寧な果たし状をいただきまして、大変ありがとうございました。すぐに返信すべきところ、遅くなりまして誠に申し訳なく思っています。年末抗争の開催準備でなかなかままならず、とはいえ自身の至らなさを痛感しております。
さて、本題ですが、書状を拝見いたしまして、さすがのご慧眼に思わず膝を打った次第です。確かに機は熟したと言ってよいかと思います。県内の統一という一大事を控えた今、私達の間柄を確認することは、私達の未来を必ずや良い方向に導いてくれるだろうことは疑うべくもありません。
つきましては、如月の初めの満月を共に眺めたく考えています。あの丘の上の公園などはいかがでしょうか。
互いのこれからの幸福を願いつつ、筆を置かさせていただきます。
敬具
』