4.1
なぁ、知ってたか?
猫ってさ、自分が可愛いって言われてるのが分かるんだって。
ふぅん。
あれ?興味ないの?猫好きなのに。
いや、お前はどうして猫が可愛いって言われてるのが分かるのか、知ってるのかなってさ。
なに、どういうこと?
猫はさ、自分が猫として生まれて最初に可愛がってもらったことを、ずっと覚えてるんだ。
それがあまりにも嬉しくて、何度命が尽きても、また猫に生まれ変わるんだ。
本当?
うん。何度も猫に生まれ変わって、その時に可愛がってくれた人のことをずっと探し続けるんだ。
へぇ…。
何度も生まれ変わってついに、人の言葉を理解して、何十年、何百年と生きる猫になるのさ。
あぁ、それで人の言葉が分かるように?
そして例え相手が人ではないものの姿に生まれ変わっていても、猫は相手を探し続ける。
でもそれじゃあ相手がどこにいるかもわからないし、いつまた人になるかもわからないじゃないか。
そう思うだろ?
だから猫は何百年と生きた間に蓄えた不思議な力を使うのさ。
不思議な力?
自分と相手が、人として、同じ時を同じ場所で過ごせますようにってね。
そんなことが出来るのか?
出来るさ。
何年も待ち続けた力のある猫は、普通の猫とは違うんだ。
例えばそう、俺みたいにね。
―え?
「…やぁ、本当に久しぶりだな」
「にゃーんちゃって」