第五章 続きのハジマリ エピローグ
暗い部屋の中で、竜子は膝を抱えて泣いていた。
戦闘で汚れた服もそのままに、木人に負わされた怪我もそのままに。
「なんで、私はこうなんだろう……」
止めどなく、涙が堰を切って溢れてくる。
「竜子様……」
ずっと動かずに涙を流し続ける主人に、なんて声をかけたら良いのか話からない美夏萠は、ただそばに座っている事しか出来なかった。
「美夏萠、ごめんね……。私じゃ無くて、お母さんだったら、もっとあなたの力を使いこなせるのにね。ごめんね、今日も怪我させて、ごめん、負けて……」
「竜子様、そんなこと仰らないでください……」
他の従者たちも主人を心配して顕現化するも、誰もがどうして良いかとただ見守る事しか出来ないでいた。
「私、強くなりたいよ……。強く。もう負けたくない……」
「はい……はい! 私も皆も付いておりますよ」
「うん……うん……。ごめん、ごめんね……」
今の竜子は慰められても、それを受け入れられるだけの余力が無かった。
きっと、どんなに弱くても、どんなに負けても、死にかけても、迷惑をかけても。この従者たちは皆自分を肯定してくれるだろうし、智鶴も百目鬼も仲間はずれにすることはないだろう。しかし、駄目なのだ。
色々な人から聞く母の話。母が居た方が、全ての状況は好転する。どんなに必死になろうとも、人の身で百鬼を束ねた彼女の足下にも及ばない。
その威光は眩しすぎて、遠すぎて、もうぼんやりとしか思い出すことは出来ないが、それでも……。
「私は、私なりに、出来ることを精一杯やる」
そして。
「お母さんを取り戻す。私は、絶対に……」
仰向けに倒れ、腕で目元を隠しながらも、ハッキリとそう言葉にした。
どうも~暴走紅茶です。
今週もお読みくださり、(今週は2話も!)ありがとうございます!
次回から第六章!
真実が始まります。
ではまた来週をお楽しみに! と言いたいところですが、お知らせがございます。次話をお読みください。