第一章 操られたアヤカシ エピローグ
智喜は一人、とある山の中腹にある、小さなお屋敷を訪ねていた。
「ごめん」
智喜が戸を叩くと、直ぐに応答があった。
「これはこれは、智喜様」
出迎えた和装の男性は少々やつれた様子であったが、まだどこか若々しさも感じさせる出で立ちである。彼は十所武、竜子の父だった。そして深く頭を下げると、家へ招き入れた。
「ぼろ屋ですが」
そうして通された居間は、以前来たときよりも大きく様変わりしていた。いや、狭くなり、所々が風化していた。修繕する手立ても無いのだろう。
そうして向かい合う二人。
「本日はご当主自ら、どのようなご用件で?」
「お主の娘についてじゃ」
「竜子が何か……?」
そうして、智喜は竜子がした事の経緯を、大まかに話した。
「それはとんだご無礼を。この命捧げても、お侘びが尽くせません」
と言って、地面に頭を擦りつけんが如く、深く深く土下座をした。
「よい、もう済んだ事じゃ」
「しかし……」
「いや、お主には大変な、本当に大変な借りがある。それでじゃが、お主の娘、竜子を千羽家本家付きとすることになった」
「えっ」
「これでやっと、十所をウチの扶養に入れられる。今まで本当に大変な苦労を背負わせてしまったな」
「いや、もうお互い水に流しましょう。あれは妻が……求来里が望んでやった事です」
「いつもそう言って下さる事だけが、ワシの救いじゃて」
「それでは、ウチの不詳たる娘、どうぞ宜しくお願いいたします」
「うむ。しかと預かった」
(今回の後書きは15話で書き切っておりますので、ここでは次章のお話をします)
第二章 『ムカつくアイツ』
新たに仲間となった十所竜子、だがそんな彼女を認められない智鶴。
そして2人に憤る百目鬼。
智鶴は彼女への思いをどうしていくのか、平穏な日常は戻ってくるのか!?
乞うご期待!