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第一章 操られたアヤカシ プロローグ
老いも若きも眠りについた丑三つ時。
暗闇に染まった田園風景。
その景色の中に白い影。
影はひたすら走っている。
その影は一人の少女の様だった。
白髪をおかっぱに切りそろえ、白い紙の着物を着ている。
少女が不意に大木の前で足を止めた。
「出たな妖!」
少女はそう叫ぶと、片手に掴んでいた巾着袋を解き放った。
大木が見る見る動き出す。
その枝は鞭のようにしなり、木の根は足のように大地を捉える。
少女の何倍もある巨木が立ち上がり、うめき声のような奇声を上げ、少女に襲いかかった。
だが、次の瞬間巨木は真っ二つに切り裂かれ、その姿を消した。
ただ少女の周りには、彼女の勝利を讃えるように紙吹雪が舞っているのみだった。
どうもお久しぶりです暴走紅茶です。
前作終了時に、次は短編するとか、続きを書くとかどうのこうの言っておりましたが、そのどちらでもない、和風呪術バトルモノを始めました。
結構長いシリーズになります(その予定です。実力が追いつくのか……)
これから毎週更新! どうぞよろしくご贔屓に!