7 神憑き少女は勉強する
二人目の神様も便利な件。
食事と入浴を済ませ、マリーは自分の部屋で勉強を始めた。
まずは学校から出された課題を片付けにかかる。
マリーの成績は優れており、テストでも90%以上の正解率を保っている。
そこにはマリーの努力があった。
親を失い、未来が閉ざされ、自分の武器になるものが勉強しかなかったからだ。
自分の身を立てるために、その努力だけは続けている。
今日の課題は苦手な分数の問題だ。
『惜しいな。3番と7番が間違いだ』
「え、マジで。どこで間違えたんだろ」
『さーて、どこかしらねー』
『さてさて、どこじゃろうのう』
マリーは真剣に悩み、どこで間違ったのか、何故間違ったのかを考える。
『3番のアプローチは間違ってない。式の途中で何か忘れていないか?』
「え……あ、割れるのか。えっとそれだと……分母を合わせる必要があるから……こうね!」
『そのとおり!』
『あーん、気付いちゃったぁ』
『マリーは賢いのう』
間違ったところをノートに写し、赤ペンで注意書きを書く。
同じ過ちを繰り返さないようにするためだ。
『7番はどうだ?』
「割れないし、分母も合わせてるのに間違い?」
『これは明らかなミスで間違えているぞ』
「えー、あ、見間違えてた。これ1じゃなくて7だ。そもそも間違ってるわ」
『そのとおりだ。マリーは癖字があるからな。気を付けろ』
『普通1と7って見間違わないわよ?』
『確かに見分けがつきにくい1と7じゃなー』
「勉強の邪魔だから、骨以外は黙っててくれる?」
課題が終わったあと、復習と予習で過ごす。
理解できないところは死神がアドバイスをくれた。
死神がノートの前に降りてきて、鎌を振るう。
『今日はここまでだ』
「え、もうそんな時間?」
勉強に夢中になって、気が付けばもう寝る時間だった。
随分と集中していたらしい。
『今日もよく頑張ったな。まあ、もう少し理解できないと駄目だな』
「やっぱりか。ヒントなしで解けるようにならないと駄目だもんね」
『テストでも助けてやってよいのだぞ?』
「ずるはしたくないの。でも勉強教えてくれてありがとね」
『構わんよ、退屈しのぎだ』
マリーは勉強道具を片付け、明日の学校の準備をしておく。
朝は朝で、子供たちの準備の手伝いで忙しい。
自分に掛ける時間はそれほどないのだ。
部屋の明かりを消し、ベッドに潜り込む。
「おやすみなさい」
マリーは静かに目を閉じた。
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とりあえず、ここまでアップ。
次回は未定です。