3 再び吼える神憑き少女
マリーが神様たちを呼ぶとき。
死神は「骨」、疫病神は「ビッチ」、貧乏神は「じいさん」
「私これでも学校の成績オールAなんだからね! あんたたちいい加減どっかに行ってよ! 暇なの? 馬鹿なの? 死ぬの? 人の幸せをぶち壊して何が楽しいのよ!」
三神はふよふよと浮いたまま、それぞれに困った顔をする。
『だってぇ、私たちが保有する神性の特性上、勝手に事象が起きちゃうんだからしょうがないでしょ? 私たち自身は何もしてないのよ?』
『俺は別に人を殺さないし、殺そうともしない。寿命で勝手に死ぬやつはいるけどな。それにお前に憑りつくときに、俺たちと縁を切る方法は教えたはずだ』
『そうそう、わしらの真名さえ言えればの。ほっほっほ』
確かにそのような話をしたような気もするが、マリーの記憶に残っていなかった。
「なんで私に憑りつくのよ! 他にもいるでしょ。ジャックとジュリエッタとか」
「お前、軽く人を売ったな?」
睨むジャックを無視するマリーだった。
『だってぇ、ジュリエッタちゃんエクソシストだし、ジャックちゃんもその弟子でしょ。その子たちの親分さんが出てきたら面倒なんですもの。戦争になっちゃう』
『ここにいたら平和じゃしな。いや、むしろ世界のためでもあるかもしれんのう』
『確かにこの周辺の地域は俺らの特性が全然働かない。こんな大規模な結界見たことも聞いたこともねえぞ。ジュリエッタこれどうやってるんだ?』
「さあ? 死神さんたちの力がこの地域で働かないような結界があることも、どういう理由があってなのかもわかりませんし、上司からも教わってません。私は元々ここの出身でもありませんですし。ですが、私としては非常に助かってますので調べる気もありません。余計なことしてあなた方の特性が働いた日には、私もこの周りも危ないですから、そうなると流石に上司に連絡をしないといけませんので」
死神の問いに丁寧に答えるジュリエッタだった。
「つまり、マリーはここにいる限り平和に暮らせるってわけだ」
「ジャックあんた変わったわ。最初のころは私がここを出るって聞いて泣いてくれたのに。あの頃のあんたはどこに行ったの?」
「……お前、そりゃあこれで7回目の出戻りだったら慣れもするだろ」
「ジャック間違ってるわよ。マリーが戻ってきたのはこれで8回目よ」
「あれ、そうでしたっけ?」
「……全部あんたたちのせいだからね」
『『『人のせいにするのはよくない』』』
「完璧にお前らのせいだろがあああああああ!」
マリーは再び全身全霊の力を込めて吼えた。
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