2 神憑き少女は神を祓ってほしい
出たよ3バカ。
マリーが突っ伏していたテーブルの空いた座席にジャックとジュリエッタは腰を据える。
再び突っ伏したマリーの横にジャックが座り、対面にジュリエッタが座った。
「そもそもお前が悪い」
「なんでよ!?」
マリーはがばっと起き上がり、ジャックを睨みつける。
「お前がこの教会に封じてあったモニュメントを壊して、神様たちの封印を解いたんじゃないか」
「わざとじゃないわよ! 掃除の時に引っ掛けて落ちただけよ。まさかあんなガラス細工に神様が封じられてるなんて誰も思わないでしょっ。てか、もうちょっと厳重に管理しときなさいよ!」
「でもまあ、世の中に散らばらなくてよかったです。三人が三人ともマリーに憑りついてますからね」
「ジュリエッタ祓って、お願いだから祓ってよ! エクソシストなんでしょ」
マリーは立ち上がるとジュリエッタに駆け寄り、ジュリエッタにしがみついて、彼女のふくよかな胸に顔を押し付けて懇願する。
「いくら私の本業がエクソシストだからと言って、神様を祓えるわけがないでしょう。私が相手できるのは小さな悪戯をする低級悪魔がせいぜいで、そんな実力ありませんよ」
よしよしとマリーの頭を撫でながら答えるジュリエッタ。
そんな彼女の言葉を聞いて3つの影が現れ、それぞれに反応を示した。
『流石に俺たちを祓うのはジュリエッタでは無理だな~』
『相変わらずマリーは少し頭が足りないわよね~』
『じゃな~』
マリーの後方に小さな影が三つ、空中にふよふよと浮かぶ。
一つ目の影は漆黒のフードを被り、フードの中は身を持たぬ骨の姿。
黒い眼窩に赤い光点が灯り瞳のように動いている。
手には大きな刃渡りをもった鎌を持っており、その姿は西洋の死神そのもの。
彼の呼び名は『死神』である。
二つ目の影は美女であり、豊満な肉体に薄切れの服を身に纏う。
見た目には妖艶な美女といった感じである。
背中に蝙蝠のような羽が生えており、パタパタと羽ばたかせて宙を浮かんでいる。
彼女の呼び名は『疫病神』である。
三つ目の影は作務衣と丈の短い烏帽子を被り、長い髭を持つ東洋人のような顔つきをした老人。
よくよく見てみると着ている服や帽子はつぎはぎだらけであちこちが痛んでいる。
雲のようなものに腰かけて浮いている。
老人の呼び名は『貧乏神』である。
「出たな、三バカ!」
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