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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
第四章:ユーベル

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第86話【水晶の中】

名前がKuro.から変わりました。(話とは関係ない前書き)

これからは黒巻結数という名前でやってきます。

よろしくお願いしますデス!

「うべぁっ!」


 急な坂から転げ落ちたベリーがそう声を漏らす。


「ちょっ、大丈夫ベリー?」


「だ、大丈夫大丈夫!」


 転げ落ちたベリーを追って来たベルがそう言ってベリーを起こす。ベリーの顔や頭には雪が乗っていた。


「ホントに平気か? 顔からいってたぞ」


「無理はしないでね、ベリー」


 ソラとバウムはそう言いながらベリーに付いてる雪を落とす。


「ほらベリー、白狼で暖まるといいわ」


『ヴォゥ!?』


 アップルは白狼をズイッとベリーの前に持ってきて言う。


「ありがとー! わぁ、もふ……も……ふ……」


「「「…………ん?」」」


 静かになったベリーに、全員頭の上にはてなマークを浮かべる。


「……あー、これは……寝ちゃったか」


 ベルが白狼からベリーをひっぺがして言う。


「こ、こんなところでですか!?」


 ローゼはそう言って驚き、ベリーの顔をまじまじと観察する。


「仕方ない、じゃあバウム君おんぶして運んでくれる?」


「えぇ!? い、いや僕よりもソラのほうが力があるから安定するかと僕は思います! 落としちゃったら危ないし!」


 と、バウムは必死になってソラを見て言う。バウムとってはベリーに触れることなど、どうしても出来ない。


「あー悪いな、俺は盾役だからさ、モンスター来たら守んなきゃいけないからな、ってことでバウム、頑張れ」


「ん……いいと思う………頑張れ」


 ということなので、ベリーをおんぶして運ぶことになったバウム。嬉しいと言えば嬉しいが、「本当に僕でいいのか? 迷惑じゃないか?」という気持ちがある。


「ほら行くよー!」


「は、はいっ!!!」


 バウムはベリーを起こさないようにゆっくり自分の背中に乗せ、持ち上げる。


「別に重くもないだろ? ゲームだし」


「ん……女の子に重いとか言っちゃダメ……」


 ゲームで現実の身体ではないとしても、そこにいるのは本人だ。ベリーの寝息がバウムの耳に当たるごとにバウムの顔は赤くなっていく。


「あ、あの……バウムさん大丈夫でしょうか?」


「落としはしないよ、バウム君だし」


 ローゼはバウムが心配なようだ。ベルはバウムが真面目だということは知っているため、ベリーを落とすなんてことは絶対に無い。


「い、いえそうではなくてですね……あの……凄く赤いんですが……」


「そりゃそうだよねー……ってうわっ!? あっか! バウム君大丈夫!?」


 バウムは湯気が出るほど顔が赤く、熱くなっていた。


「だ、だいじょうぶです……だいじょうぶ……早く行きましょう……」


 バウムはそう言ってゆっくり歩いていく。


「暖かい………むにゃ………」


 そしてベリーは呑気にバウムの背中で寝ていた。



* * *



「あ″あ″~やっと着いたかぁー!」


 そして結構な時間歩き、やっと水晶の山にたどり着いた。


「ん、おーい! こっちに洞窟があるぜー!」


 周りを探索していたソラがそう言って皆を呼ぶ。


「んー、変わったところはここしかないか……じゃあ行こうか、っとその前に」


 その水晶で出来た洞窟に入る前に、ベルはベリーを起こす。


「ほらベリー、そろそろ起きなー、今から洞窟探検だぞー」


 ベルはそう言ってバウムの背中で寝ているベリーを揺する。


「うぅーん……あと2分12秒……」


「また細かいな……そろそろバウム君も限界だから起きなって」


「うぅ? バウム君……?」


 ベリーはベルの言葉を聞いて目を開ける。


「あ、お、おはよう」


「………はっ!? ご、ごめんねバウム君! 寝ちゃったみたいで!」


 と、らしくない慌てた様子でバウムから降りるベリー。


「……ほう、これをどう思うソラ?」


「ふむ……例えベリーでも至近距離に異性の顔があったら恥ずかしくなる……ということではないかな?」


「ふ、二人ともなにその変な喋り方……」


 考察するベルとソラの謎の喋り方に困惑するアップル。そしてお互いに顔が赤くなってるバウムとベリー。


「青春ですねぇー」


「ローゼ……楽しそう……」


 そしてそんな皆の様子を楽しそうに眺めているローゼと、そのローゼを観察するフィールであった。



* * *


 そんなこんなで洞窟内。アップルがスキルで光を灯しながら先頭を歩く、光に当たって輝く周りの水晶を眺めながらその後をベリー達が追う。


「おぉ、綺麗だな」


「ん……でもここだけ穴があるのは……不自然」


 フィールが言うように水晶の山にはこの洞窟しか目立ったものはなかった。山は崖になっていて登ろうとしても登れない。


「ん? この匂い……」


 さっきまであたふたしていたベリーは何かの匂いを嗅ぎ取る。


「わかった! お肉だ!」


 どうやら肉が焼ける匂いがしたらしい。他の皆には何も感じないが、食べ物のことならベリーにお任せだ。


「よし、ベリー! その匂いの元に行くよ!」


 こんなところで肉の匂いがするということは人が居ると考えたベルはそう言う。


「了解! すんすん……こっち!」


 ベリーは匂いを嗅ぎながらすたたたっと走る。


「ちょ、待ってベリー! ダメだ止まらない、皆追い掛けるよ!」


 食べ物のことならお任せのベリーだが、食べ物のこととなると、止まるということはすなわち満腹を指しているのでもう止まらない。


「お肉ー!」


「た、食べることしか考えてねぇぞ!」


 ソラはベリーの言葉を聞いて走りながらそう言う。


「な、なかなか広いわねここ!」


 アップルが言う通り洞窟は思っていたよりも入り組んでいて、広かった。


「フィールさん大丈夫ですか?」


「ん……ありがとうローゼ……」


 フィールは既にバテてしまい、ローゼに抱かれながら移動していた。


「お肉っ!」


 ベリーは急ブレーキし、匂いの元に辿り着く。


「ハァ、ハァ! ベリー、待って……! 洞窟走りづらい!」


 少し遅れてベル達も到着する。


「……わぁ! 綺麗!」


「え……? ほ、ホントだ……綺麗……」


 匂いの元、洞窟の最奥は巨大な空間になっていて、そこにはなんと小さな街があった。松明の光に照らされ輝く水晶に囲まれた街には、NPC達が多く住んでいた。どうやらここが避難所だったらしい。

おぉ、熱い熱い。

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