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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
第四章:ユーベル

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第84話【伝えたいこと】

「こ、これって……」


 ベリーが自身の変化に気付き、動きを止めていると、《シーツリヒター・セラフィム》は雷を一直線に放ち、ベリーの背中を撃ち抜く。


「……そっか、そういうことか!」


 しかしベリーには傷は全く付いていない、HPもほとんど変動していなかった。そう、これが【真・激流ノ太刀・高霎】の効果だ。

 【真・激流ノ太刀・高霎】、その効果は、相手のHPを削ることで、相手の攻撃力を奪うことができる。そしてそれは減らしたHP量で変わる。ベリーは今、《シーツリヒター・セラフィム》のHPを約50%ほど削った。それにより《シーツリヒター・セラフィム》から攻撃力を50%奪うことができたのだ。当然相手は攻撃力を奪われているので攻撃力がその分低下している。

 それならば後は簡単だ。


「よし……あれも、試してみよう……! 【鬼神化・閻解】ッ!」


 ベリーはそう言って【鬼神化・閻解】を発動し、ベリーは青から黒へと変化する。


「すぅ……はぁ………」


 目を閉じ、深呼吸をし、さらに集中させる。


「ッ! 【獄閻鬼斬(ごくえんきざん)】ッ!」


 そう言ってスキルを発動し、まず一撃、《シーツリヒター・セラフィム》に攻撃する。


「う……ぁぁぁぁああああッ!!!」


 そしてさらに二、三と続けて斬り込む。【獄閻鬼斬】は最大55連撃、一つのスキルなのでシステムにアシストされてはいるが、それでも現実の身体ではほぼ不可能な動きだ。

 そしてベリーはさらに十、二十と【獄閻鬼斬】で攻撃していく。

 縦、横、斜め、前、後ろ、上、下と《シーツリヒター・セラフィム》の全体にダメージを与えるように、移動しながら攻撃する。【閻魔】のように燃える【獄閻鬼斬】で、《シーツリヒター・セラフィム》の身体は既に炎に包まれていた。


「せやぁぁぁッ!」


 システムのアシストだけでなく、ベリー自身の動きも入れて確実にダメージを与える。【獄閻鬼斬】により刀から噴出するように出る炎は、ベリー自身も焼かれてしまうような勢いだった。

 そしてベリーが《シーツリヒター・セラフィム》に四十連撃を与えたところで、【獄閻鬼斬】はさらに激しく燃え上がる。その炎はもはやベリーのHPも削っている。


「これでッ、49ッ!」


 残りの一連撃を残して攻撃したベリー。そして【獄閻鬼斬】は【閻解ノ大太刀】のように刀身が巨大化する。さらに炎の勢いも強くなり、ベリーはその赤い炎に包まれた。

 熱い、ゲームとは思えないほど熱い。本当に火で焼かれているのではないかと思うほどの熱量だ。


「これで……終わりッ!!!」


 かなりの長時間に渡って連撃を発動した【獄閻鬼斬】も、遂に最後の一撃となる。その最後の一撃を、ベリーは《シーツリヒター・セラフィム》の胸に刀を突き刺す。そして刀から噴出する炎が行き場を失い、《シーツリヒター・セラフィム》の傷口などから勢いよく噴出する。爆発したのかと思うほど強く噴き出た炎で、ベリーは吹っ飛んでしまう。


「うくっ………」


 落下の衝撃で声を漏らすが、自身の炎で減りまくった残り少ないHPは変動しなかった。

 そして《シーツリヒター・セラフィム》は既に【獄閻鬼斬】の発動中にHPが無くなっていた。ただやはり他のモンスターとは違い消滅もゆっくりだった。


『…………プレイヤーベリーの……第四階層への進出を許可する』


「あ、ありがとう……でいいのかな?」


 少し苦しみながらも、やはり機械的な声で言う《シーツリヒター・セラフィム》だが、それでもどこか人間っぽさがあった。


『……プレイヤーよ、我に……“シナリオ”とは無関係のことを言う許可をしてくれ』


 《シーツリヒター・セラフィム》は突然そんなことを言う。


「え? えぇっと……きょ、許可します!」


 ベリーは変に堅くなりながらも許可をする。


『我は、ここがどんなところかわかっている……この世界は、全て作り物だということを……気付いてしまった』


 その言葉に、ベリーは戸惑いや混乱から言葉が出なくなってしまう。


『こういったバグが発生するモンスターは何体か確認した……中には自分自身のクエストを変化させる者もいたが………我は、なぜこうなったのか知りたくなった。だから第五階層へ向かったのだ。』


「……だ、第五階層?」


 ここでやっとベリーは言葉が出る。


「……しかし、あのモンスターは見たことがない……それだけなら、問題は無かった……ただ新型のモンスターがバグでフィールドに出現してしまっただけということになるからな、しかし我は知ってしまったのだ………この世界の意味を、何のために、ゲームを……して…いるのかを………」


 《シーツリヒター・セラフィム》の言葉が小さくなっていく。身体のほとんどが光の粒となり、もう今にも消滅しそうだった。


『我は……お前と言う、プレイヤーに……希望を感じている……だが、心配……でもある。……しかし、この事を言ってしまった今、我の記憶は自動的に……消されるだろう、だから、これだけ……は、言っておかなければ……ならない……未来の、為に……僅かな希望の為に………』


「……わ、私に何か出来るのかわからないけど……そんなに言うのなら、聞くよ、あなたの望み」


 ベリーの言葉に、《シーツリヒター・セラフィム》は少し安心したような表情を浮かべる。


『ありが……とう、では……熾天使という地位を、今だけ無効にし、簡潔に述べる……』


 そう言って《シーツリヒター・セラフィム》は、消滅間際に言った。


『あの“神”には気を付けろ……潰せるなら潰せ、慈悲を掛けたら……バッドエンド……だ』


 最後にそうベリーに伝え、《シーツリヒター・セラフィム》は完全に消滅した。

 しかし、やはりプレイヤーである以上、「ゲームだから」と思ってしまう。ベルもそうだ、モンスターやNPCが感情を持っていることはわかっているが、心の何処かで「これはゲームだ」と思ってしまう。しかしそれは普通のことだ、それが普通のことなのだ。だってこの世界は《NewGameOnlin》というゲームなのだから。

うまはじメモ。

八坂苺がその言葉の意味を知るのは、まだ先だ。

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