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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
第四章:ユーベル

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第82話【審判の時】

 第三階層ボスのバグから一夜明け、ベリー達、つまりチーム《ゼラニウム》全員で第三階層を攻略するため、ボス部屋を目指していた。


「【閻魔】ッ!」


 ベリーは走りながら【閻魔】を発動し、出現したモンスター達を焼き払っていく。


「また来たぞ!」


「任せて、【一閃】ッ!」


 走りながら言うソラの言葉に、バウムが【一閃】でモンスターを斬り倒す。

 とまぁ、全員こうして走っているのにはわけがある。


「こんなところでッ……あんなのにやられてたまるかぁッ!!!」


 ベルがそう言って次々と出現し、道を塞ぐモンスターへ射撃する。現在ベリー達の後ろには、一匹のモンスターがダンジョンの壁や天井を壊しながら追ってきている。


『キシュィイイイイイイーーーッ!!!』


 《シュツルム・ワーム》、ワームというだけあり、なんとも気色悪いモンスターだ。簡単に表すと芋虫だが、その体は青く発光し、さらに大きな体から二対四枚の翼も生えていて、鋭い歯がビッシリとある大口を空けてベリー達を捕食しようと迫ってくる。

 さらにさらに、そのワームの子分である普通の小さな《ワーム》も大量に沸いて出てきた。こちらは翼は無く、青く発光もしていない。


「走れェェェ!!!」


「わかってる、ってかアップルはやッ!?」


 一番走るのが速いと思われるソラとベルを追い抜いたのはアップルだ。アップルは《シュツルム・ワーム》が現れてから一言も喋っていない。しかしその表情からして内心は結構大変なことになっているだろう。


「なんでぇ……なんでぇぇ!」


 ベリーはまたも大量のモンスターに追いかけられている。ベリーは好奇心から体力や走る速度が上がるタイプなので、こういったことは精神的にも肉体的にもキツい。そしてそのベリーが走る速度が落ちていることに気付いたローゼが心配して言う。


「ベリーさん、大丈夫ですか?」


「だ、大丈夫……だけど、わ、私より……」


 そう言ってベリーは後方を見る。最後尾を走っているのはフィールだ。


「も……無理…………!」


「フィール頑張れ! アレに食われたくないだろ!!」


 ソラがそう言うが、フィールの走るスピードがどんどん落ちていく。


「そ……【創造・剣】、《エクスカリバー》………!」


 フィールはそう言って【創造】を発動して、《エクスカリバー》を構える。


「【エクスカリバー・フィニッシュ】………!」


 そしてフィールは【エクスカリバー・フィニッシュ】を《シュツルム・ワーム》に向けて放つ。《エクスカリバー》から放たれた強力な光線は真っ直ぐ《シュツルム・ワーム》の口の中へ行き、フィールはその威力を利用にて吹き飛ぶ。


「すっご……あ、あの扉だ! 全員飛び込むよ!」


 ベルはそう言って走る速度を上げる、前方に半開きの巨大な扉が見えた。扉の装飾からすると、恐らくボス部屋だろう。


『キェシィィィイイイイイ!!!』


「飛び込めェェェ!」


 【エクスカリバー・フィニッシュ】を文字通り喰らい、怒りでさらに狂暴になる《シュツルム・ワーム》だが、全員無事に、一斉に部屋へ飛び込む。そして《シュツルム・ワーム》はそのまま外開きの扉に強く衝突して、その場から逃げるように去っていった。


「よ……良かったぁ! みんな大丈夫………」


 ベリーはそう言って辺りを見回すが、薄暗い部屋にはベリーただ一人しか居なかった。


「あ、あれ? みん…な? どこ?」


 確かに全員、この部屋に飛び込んだはずだ。しかし誰一人としてベリーの声に答えるものは居なかった。

 すると薄暗い部屋は、突如明るく照らされる。


「……火?」


 部屋中に炎が出現し、そしてその炎は一点に集まっていく。

 部屋全体を照らしているだけあって、集まるとかなり眩しい。


「も、もしかしてボス戦? ひ、一人で!?」


 そのベリーの予想は的中する。炎から形が形成されたのは、《シーツリヒター・セラフィム》。三対六枚の翼を持ち、身体が燃え上がっているモンスター。第三階層のボスだ。


『プレイヤーを確認。【審判】を開始します。』


 これまでのボスとは何か違い、えらく機械的に喋った《シーツリヒター・セラフィム》はベリーを試すかのように攻撃を開始した。


「大丈夫、たとえ一人でも……諦めないッ! 登りきるッ!」


 ベリーも自身の覚悟を示し、《シーツリヒター・セラフィム》を迎え撃つ。

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