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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
第四章:ユーベル

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第72話【シュベルトフィッシュ・ノヴァ】

お寿司食べたい(?)

「【旋風】……ッ!」


ベリーは【旋風】を発動して魚を斬る。

しかし発動して気付いた。重いのだ。

他のプレイヤー達も動きが普段より遅いことに違和感を感じていた。


「抵抗で弾速軽減されてるなぁ……」


ベルはそう言いながら、《KS01》と《断鎧の短剣》を使い、スキル無しでモンスターを倒していく。

どうやら水中ではスキルが思うように働かないようだ。

プレイヤー達は速度低下によりさらに威力の低下、そして水の抵抗で腕に負担がかかっていた。


「いくつかのスキルも使用不可になってるみたいだ……【幻手】も使えない……!」


バウムはそう言ってモンスターの攻撃を避ける。

そう、プレイヤー達は水中で一部のスキルが使用不可になり、さらに発動できるスキルも威力が落ちている。

そしてVRMMORPGによる水中戦は、どのプレイヤーもほぼ初体験だった。身体能力は現実より高くなっているが、水中では装備の重量のせいか、思うように泳げない者も居た。


「ま、まずいわね……!」


アップルは現状攻撃手段が無いため、他のプレイヤー達をスキルで強化したり回復するしか無かった。


「っ! ベリー下ッ!」


「うへぇ!?」


そんな時に、恐ろしいものが現れた。


「ボスモンスター……ッ!」


突如姿を現したボスモンスター、《シュベルトフィッシュ・ノヴァ》。

カジキのような見た目をしているが、その身体は“剣”そのものの様な鋭さだった。


『_____ッ!!』


《シュベルトフィッシュ・ノヴァ》はぐるりと一周回ると、海流を起こす。


「な、なにこれ引っ張られるぅぅー!!」


「なんか私、凄い嫌な予感がするんだけどぉぉ!!!」


ベリーとベルが、海流に物凄いスピードで流されていく。

そして、二人が流されたほうへ《シュベルトフィッシュ・ノヴァ》も泳いで追いかける。


「ど、どうしよう!」


「ぼ、僕に聞かれても……と、とりあえずあのカジキを追い掛けよう!」


アップルとバウムはベリーとベル、そして《シュベルトフィッシュ・ノヴァ》を追うように泳いでいった。



***



「う、うぅ?」


ベリーとベルが行き着いたのは、プレイヤーが全く居ない場所で、目の前には《シュベルトフィッシュ・ノヴァ》が優雅に泳いでいた。


「二人だけか……ベリー、行ける?」


「もちろん……ッ!」


ベリーとベルの二人だけで、《シュベルトフィッシュ・ノヴァ》との戦闘が始まった。


「【一閃】ッ!」


「【クイックショット】ッ!」


ベリーは【一閃】で先制攻撃をする。

さらに続けてベルが【クイックショット】を発動して攻撃する。

だが、《シュベルトフィッシュ・ノヴァ》はそれを意図も容易く避け、ベルに向かって突撃する。


「うぐっ……!」


水中では避けづらく、さらに相手は魚だ、泳ぐスピードはかなり速い。

そして剣のような身体に当たったベルはHPが大きく減る。

さらに水中であるのにも関わらず勢いよく吹っ飛んでしまう。


「ベルっ!」


「ダメだよベリー! よそ見したらッ!」


《シュベルトフィッシュ・ノヴァ》のスピードは、恐ろしく速く、ベリーの背中に強い衝撃が走る。


「う……ッッ!?」


『______ッ!!!』


そして追い討ちをかけるように回転し、鋭いヒレでベリーを凪ぎ払う。


「ベリーッ!」


まだベリーHPには少し余裕があるくらい残っているが、ベリーの全身は痺れるような痛みに襲われていた。


「ピリピリする……っ!」


ベリーはなんとかHPを回復させようとポーションを取り出し飲もうとするが……。


「つ、使えない……!?」


水中ではポーションの使用も禁止されていた。


『____ッッ!』


「ベリー避けて!」


ベルがそう言うが、【絶対回避】を発動する時間すらなく、また一撃喰らいダメージを負う。

水中では制限されていることが多く、明らかに不利だった。


『____』


すると《シュベルトフィッシュ・ノヴァ》は『スゥッ』と姿を消す。


「き、気を付けてベリー! どっから来るかわからない!」


「う、うん!」


二人は身構えて攻撃に備えるが、動きがない。


「に、逃げちゃったのかな?」


「そ、そんなはずは……」


そう言った瞬間、薄暗い海の中が突如発光した。

それも物凄く強い光だ。


「眩しいっ……!」


《シュベルトフィッシュ・ノヴァ》は、新星の如く輝き、そのままベリー達を攻撃する。


「うぐっ! ダメだ、見えない!」


ベルは反撃しようとするが、強い光で見えず、さらに敵の素早さと水中で減速しているため、適当に撃っても弾丸が当たることはない。

さらに恐ろしいことに、光り続ける時間が長く、一向に反撃できない。


「ベリーのHPも少ないッ! なんとかしなきゃ……なんとか……!」


ベルは必死にこの状況を打開する策を考える。

《シュベルトフィッシュ・ノヴァ》はスピードが速く、攻撃力はそこまで無いが、ノックバックが強い。

そして固有能力で姿を消し、その後強く発光して連続で攻撃を仕掛けてくる。

そして水中ではこちらは一部のスキルとポーションの使用が不可能、さらに泳ぐスピードも遅く、使えるスキルの攻撃威力も小さくなっている。

そして《シュベルトフィッシュ・ノヴァ》のHPゲージは三本ある。


「これ……勝て……る……?」


攻めて泳ぐスピードが速く、そしてスキルの威力が落ちていなければまだ勝機はあった。

しかしそれもない。

勝つには今ここで水中に対応するスキルを取得するというあり得ない希望だ。


「【テレポート】で近付いても反撃される……武器も重く感じてうまく扱えない……っ」


負けたくない。だが負ける未来しか見えない。


「べ、ベル……!」


《シュベルトフィッシュ・ノヴァ》の発光がやっと終わり、海もまた暗くなる。そんな時にベリーが希望に満ちた声でベルを呼ぶ。


「ベリー、それ……!」


その時ベルが見たベリーが持つ《鬼神ノ太刀・烈火》の青い輝きは強く、ベリーは笑顔で言った。


「私に、任せて!」

その青い輝きは少女の笑顔と共にさらに強く輝く。

それはまるで未来を照らす、包み込むような温かい光だった___。

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