表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
第三章:焼結の魔術師

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/241

第69話【クリンゲル・シックザール】

『【ドラゴンフレイム】……【スキップ】』


《ヘルツ》の持つ《焼結の宝杖》から、【ドラゴンフレイム】という強力な火属性魔法スキルを発動し、広範囲に広がっていく炎はゆっくりで、ベルは簡単に避けれると思っていた。

しかし【スキップ】された炎は、避けようと身構えていたベルの目の前に現れた。


「なっ!?」


突然の事で……いや、誰でもこんな攻撃は避けれないだろう。

一瞬で炎に包まれたベルのHPは一気に減り。

ギリギリ1ドットだけ残り耐えることができた。


「…………」


『どうしたベル? 回復しないのか? まぁ回復する暇も与えないが……【ソニックブーム】ッ!』


回復行動を取らないベルに違和感を感じるが、【ソニックブーム】の威力を利用し地上のベルに急速接近する。


『【マジックウェポン・ブレード】ッ! これで終わりだッ!』


【マジックウェポン・ブレード】で《焼結の宝杖》の先端に半透明の刃を作り出し、ベルに突き刺そうとする。

【ソニックブーム】のスピードからして、ベルが避けることは不可能だ。

……そのはずだった。


「フッッ!!!」


ベルはナイフを《焼結の宝杖》の刃に当て、上手く攻撃を反らす。


「せいッ!」


さらにそこから縦にナイフで《ヘルツ》にダメージを与える。


『くっ! 【フレイムショット】ッ!』


《ヘルツ》は反撃に【フレイムショット】を発動する。


「遅いッ! 【アイス・エイジ】ッ!」


ベルは【フレイムショット】を軽々回避し、そして【アイス・エイジ】の効果で《ヘルツ》の身体が薄く凍り、拘束される。


『やるじゃないか、ベルッ!』


「フッ! 【サウザンドスラッシュ】ッ!!!」


拘束し、動けなくなった《ヘルツ》に【サウザンドスラッシュ】で連続攻撃を放つ。

《ヘルツ》のHPは一気に削られ、もうナイフで一度刺すだけで倒せるレベルまで減った。


「………………っ」


『……どうした……ベル、やらないのか? 《暗殺者》なのだろう……? アサシンが弱った敵を放っておくのか……?』


《ヘルツ》の身体はボロボロになり、《焼結の宝杖》は役目を終えたかのように『パッ』と姿を消す。


「私はアサシン何かじゃないよ、あなたと同じ、ただの人間」


ベルはナイフを下ろし、そう言う。


『人間……人間か、おかしなことを言うな……私はただのゲームのモンスターだ』


「私には人間に見えたよ、思い出を持っていて、考える力があり……そして感情がある………人間と全く同じことをしてるじゃんか」


激しい戦いで、ダメージを負った城も、崩れようとしていた。


『そうだな……でも私は人間ではない、モンスターだ。

わかっているだろう、ベル、トドメを刺さなければモンスターはいつまで経っても倒せない』


《ヘルツ》はそう言って、ベルのナイフを持つ手をそっと持ち上げ、自身の心臓の部分に持ってくる。


『やってくれ、私はもうゲームに疲れた……』


そう言って頬笑む《ヘルツ》を見て、途端にベルは涙が溢れる。


「やっぱり、人間だよ……そんな優しそうな笑顔……私でも出来ないよ……」


『天に召されるかはわからないが……お前がどんなに辛いときも、苦しいときも、その困難を乗り越えると信じて見守っているよ』


《ヘルツ》はそう言って、目を閉じる。


「ありがとう……ヘルツ……」


ベルはそう言って、ナイフにほんの少しだけ力を入れて、《ヘルツ》のHPを削りきった。


『……出来ることなら……普通の人間としてお前と、弟と……ゲームがしたかったよ……ベル』


「私も、そう思ってるよ……ヘルツ」


《ヘルツ》の身体はゆっくりと光の粒となっていき、やがてその優しい笑顔と共に消滅し、光の粒は天へ舞っていった。


「…………泣くな、私……もう泣くな、しっかり前を見て歩け……!」


ベルはそう自分に言い聞かせ、《ヘルツ》からドロップした、たった一つのアイテムを見る。


「《KS01》、クリンゲル・シックザールか……」


ユニーククエストの報酬である銃、《KS01》を手に入れた。

そしてベルは《ヘルツ》との戦いで精神的にも強くなったと感じていた。


「私、頑張るッ! ってそうだハク!」


と、ベルがハクを思い出し、あたふたしていると、青い光が出現してハクが現れた。


「__わ、急に【テレポート】? ってベル、ボス戦は終わったのですか?」


急な瞬間移動だったらしく、驚くハクはベルを見付けるとそう言って駆け寄る。


「うん、終わったよ……。えっと、ハクは大丈夫だった?」


「はい、多少モンスターに襲われはしましたけどね……問題ないです。さぁ帰りましょう、ボクはもうくたくたです」


「そうだね、私もだよ……帰って休もう」


そう言ってベルとハクは城の中央に出現した街へ帰還するテレポーターに向かう。


「……ありがとう、元気で」


ベルはハクの後に、最後にそう言って街へ無事帰還した。



***



「あっ! おーいベルー!」


「ベリー! と、ロウってことは……狩りの帰りかな?」


ベリーの顔を見て、少し安心したベルは、そう二人に聞く。


「まぁな、というかそっちはなんだ? 珍しいな」


ロウはベルとハクを見て言う。


「いろいろあってねぇー……」


「そうですね……ロウさん、今日はボク物凄く疲れたので、これで失礼しますね」


ベルとハクは疲れが一気に押し寄せ、説明する気力も無くなっていた。


「ん、そうか、お疲れさん……俺も今日はログアウトするわ」


「はい! ロウさん! 今日はありがとうございました!」


ロウとハクがログアウトするのを見送ったベリーとベルも、ログアウトしようとすると、ある光景を目にした。


「ベル……あれ……波?」


「え? うーん……よく見えない……あ、そうだスコープ……」


海の街の外に波のようなものが見える。

ベルはスコープでそれを確認すると、ベルの表情は楽しそうなような、「うへぇ」という感じの複雑な顔だった。


「はい、ベリー」


「あ、ありがとう……」


ベリーはベルからスコープを渡され、それで波のようなものを見ると。


「さ、魚っ!?」


その波は全て魚だった。

《ヘルツ》戦、無事終了!

そして何やらベリーにまたモンスターに囲まれるトラウマが……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ