表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
第三章:焼結の魔術師

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/241

第62話【時を喰らう化け物】

ベル、そしてハクが目にしているのは、《フェアツヴァイフルング・エンゲル》が身に付けていた時計の一つ、ひときわ大きく、そして他の時計よりも豪華な装飾がされている時計だけが残っていた。


「ま、巻き戻ってる…!?」


ベルがそう言う通り、その時計の針が1秒ずつ巻き戻っていた。

そして巻き戻る速度はさらに加速する。


「ベル! 攻撃準備を!」


「わ、わかってる!」


そして、時計の針が正常に動き出すころには《フェアツヴァイフルング・エンゲル》の身体は全く無傷の元通りになっていた。


『____ッッ!』


《フェアツヴァイフルング・エンゲル》は、“移動”する時間を飛ばし、ハクの背後に現れ、長針の剣を振るう。


「ハクッ!」


ハクは避けれずに攻撃を受けてしまい、床にうつ伏せの状態で倒れる。


「こ……これは……行動制限っ……」


長針の剣の能力か、ハクは行動が出来なくなってしまう。


「【サウザンドシュート】ッ!」


ハクのHPもかなり減っているため、回復をしに行きたいベルだが、それではその隙に攻撃されてしまう。

今は《フェアツヴァイフルング・エンゲル》の攻撃対象を自分にして時間を稼ぐ。


『____ッ!』


しかし《フェアツヴァイフルング・エンゲル》は“移動”する時間をを消し飛ばす。すぐに近付かれてしまう。


「【分身】ッ! 【幻惑】ッ! これでどうだ!」


《フェアツヴァイフルング・エンゲル》はベルの【分身】、そして【幻惑】で混乱し、ベル本体への攻撃を外す。


「これで時間を稼いで……」


《フェアツヴァイフルング・エンゲル》がもし“攻撃をする”時間を飛ばすことが出来たら、それこそ無理ゲーだろう。

一方的にダメージを受けてゲームオーバーだ。


「……時計を破壊する! 【フルチャージ】ッ!」


あの時間を巻き戻した時計を破壊しなければ、倒しても倒しても復活するだろう。


「ファング……動けますよね……?」


『グォルッ!』


その頃ハクは、自身が受けた行動制限の状態異常の効果が切れるまでの時間を見て、戦闘に復帰できないことを知る。

あの長針の剣の攻撃は避けやすいが、当たればほぼ永久的に行動が出来なくなってしまうようだ。

だからハクは、ファングにベルを手伝うよう指示をした。

ファングはハクの持っていた杖を呑み込み、手足を生やす。


『グォォォォッ!!!』


杖から出ていたのはファングの本体のほんの一部だ。

そもそもあれは頭ですらない。


「で……でかすぎじゃないですかね?」


《フェアツヴァイフルング・エンゲル》の二倍以上はある身体を現したファング。

いつも杖から出ていたのは今、首元から無数に生えている口がついた触手だ。

四足歩行のようだが、その足も、尻尾にも口がある。

相手がどの位置に居ようと捕食する。


『____ッ!?』


《フェアツヴァイフルング・エンゲル》は突如現れた巨大な黒いモンスターに驚き、ベルではなく、ファングのほうが危険と判断し攻撃をする。


「ファング! その剣は行動制限されるから避けて!」


ベルが咄嗟にファングに言うが、ファングは避けずに長針の剣を受けてしまう。というか身体が大きすぎて動けないようだ。


「……えっと、ファングさん?」


『グォッ?』


しかしファングはピンピンしており、行動制限もされていない。

ベルはふとメッセージログを確認する。


「……『状態異常無効の効果が発動しました。』……よし、ファング! あいつの時計をぶっ壊しちゃって!」


『グォォォッ!』


ベルはメッセージログを見なかったことにし、ファングに指示をしてみるとファングは無数の触手を伸ばし、《フェアツヴァイフルング・エンゲル》の時計をバリバリと捕食する。


「言うことを聞くのはハクのおかげか……ってもう時計無いじゃん……【オーバーチャージ】! 【テレポート】!」


ベルはとりあえずこのままファングに倒させると《フェアツヴァイフルング・エンゲル》が胃の中へ行ってしまうので、【フルチャージ】、そして【オーバーチャージ】をして《フェアツヴァイフルング・エンゲル》の頭上へ【テレポート】する。


「【サウザンドシュート】ッ!」


そして【サウザンドシュート】で《フェアツヴァイフルング・エンゲル》を撃ち抜き、《アンダーラビリンス》の中ボスを倒したのであった。


「っと、ハク、大丈夫?」


ベルはハクの元へ駆け寄り、全ての状態異常を回復させるポーションを飲ませる。


「はい、すみません、途中から戦闘に参加できなくて……」


「い、いや……十分助かったよ……うん」


ベルはそう言って杖を吐き出し、またいつも通りのサイズになったファング見て言う。


「ファングもよく頑張りましたね、あとで干し肉をあげますよ~」


ハクがそう言ってファングを撫でると、『肉だ! エサだ!』と言うように歓喜する。


「よし、HPもMPも回復させたし、行こうか!」


「はい、これで恐らく先へ進めると思います!」


そう言ってベルとハクは来た道を戻り《アンダーラビリンス》の探索を再び開始した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ