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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
第三章:焼結の魔術師

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第61話【フェアツヴァイフルング・エンゲル01】

時は刻まれる、絶望への時間は刻一刻と近付いている。

ベルは開いていた日記をそっと閉じた。


「ベル、これからその魔術師というやつと……戦うのですよね?」


ハクは少し心配そうな表情で聞く。

こんな日記を見て、いつも通り戦えるだろうか。

しかしベルは、何かを覚悟した目で前を向く。


「戦うよ、だって約束したからね、真っ直ぐボス部屋まで行くって」


そう言ったベルは日記を机に置き、部屋を出る。


「……ベルがそう言うのなら、ボクも全力でお手伝いします」


「ありがとう、じゃあ……さっさと突破しますか!」


ベルとハクは、そう言って白い床を蹴った。



***



「ハク! 【クイックショット】ッ!」


「【エンチャント・パラライズ】!」


ベルの合図で、ハクが【エンチャント・パラライズ】を発動する。麻痺属性が付属された【クイックショット】に当たったモンスターは麻痺で動けなくなっていく。


「走るよ!」


「はいっ!」


動けなくなったモンスター達を横切ってボス部屋を目指して走る。

しかしやはり高難易度のダンジョンなのか、そう簡単にはいかない。


「行き止まりッ!」


《アンダーラビリンス》、地下迷宮というだけあり、迷路になっている道はボス部屋までの道を遠ざけていた。


「お、おかしいですよ! ここはさっき行きました!」


「えっ!? じゃ、じゃあこっち!」


あっちこっちへ走って移動しているベルとハクは完全に道に迷っていた。


「ど、どうなってるの……ここも行ったよね?」


「はい……今来た道も、この先の道も……さっき通ったばっかりです」


無限ループの可能性を考え出したベルだが、それでもモンスターを麻痺で無効化し、進む。


「あ、あれ? 上りの階段!? 戻ってきちゃったよ!」


「ハァハァ……お、恐らく何か仕掛けが、それかモンスターの仕業でしょう……」


気づかないうちに別の道へ瞬間移動しているのだろう。

ベルは仕掛けより、モンスターの可能性が高いと予想して、辺りの壁を探る。


「このダンジョンの中ボスか……【サーチ】」


ベルは【サーチ】を発動してみる。

すると見事にヒットした。


「隠し扉だ! ハク、行くよ!」


「え、ちょっ、待ってくださいよぉ~!」


そう言って二人は隠し扉の奥へ進んだ。



***



ベルは白く広い道から、薄暗く不気味な道になったことで、やはり中ボスが居ると確信する。


「……音がする」


「音ですか? ……ボクには聞こえないですね……」


ベルは『カチッ……カチッ……』という、時計の針が動く音のようなものを聞く。

その音は先へ進むほどどんどん大きくなっていき……。


『_____ッ!』


「ッ! こいつが中ボスか!」


薄暗い道を抜けると、白く輝く空間が広がっていた。その光は少し安心させるような暖かい光なのだが。

待ち受けていたのは真っ黒な羽を持ち、身体中に様々な時計を身に付けている天使のようなモンスターだった。


「《フェアツヴァイフルング・エンゲル》……!」


「バフをかけますッ!」


ハクはすぐさまベルに強化スキルを施し、そして【マジックアロー】を放つ。


『_______ッッ!!!』


「ダメージが通る……! ユニーククエストのモンスターでは無いようです!」


《フェアツヴァイフルング・エンゲル》に【マジックアロー】のダメージが入ったことで、ユニーククエストのモンスターではないことがわかる。

つまりハクも攻撃に参加できるのだ。


「よし、HPも少ないみたいだし、一気に畳み掛けるよ!」


「了解です、ファングッ!」


『グルォォォッ!!!』


通常のボスモンスターに比べて、HPが低い《フェアツヴァイフルング・エンゲル》は、ハクに向けて攻撃をする。


『______ッ!』


『カチッ』という音が部屋中に響くと、ハクは大量の秒針のような矢に囲まれていた。


「ッ!? 【テレポート】ッ!」


ハクは何とか【テレポート】で回避するが、次はこうは行かないだろう。


「【ライトニング・ショット】ッ!」


ハクは反撃に【ライトニング・ショット】を発動して攻撃する。

するとまた『カチッ』と音が鳴り、《フェアツヴァイフルング・エンゲル》はその場から消え、ベルの背後に現れた。


「【絶対回避】ッ!」


《フェアツヴァイフルング・エンゲル》は長針のような剣を持ち、ベルに振り下ろすがベルは【絶対回避】で回避する。


「時間停止……? いや、これは……時飛ばしか」


時間停止は魔術師の時の感覚を覚えているため、何となくわかるのだが、それが無いとなると移動する、行動した時間を飛ばしているということになる。


「つまり攻撃が終わってるっていう場合もあるけど……そこまで鬼畜に出来てないはずッ! 【バーストグレネード】ッ!」


ベルは【バーストグレネード】を放り投げ、《フェアツヴァイフルング・エンゲル》の右腕に持っている剣を破壊する。


「HPは低い! 【クイックショット】ッ!」


「【フレイムチャージ】ッ! ファング!」


HPは低い、勝てない相手では無い。

ベルは【クイックショット】で身体の時計を破壊し、ハクは【フレイムチャージ】をしたファングに攻撃させ、炎を解放する。


『グルァッ!!!』


解き放たれた炎に包まれる《フェアツヴァイフルング・エンゲル》のHPはみるみる内に減っていき、やがてHPは0になった。


「よし……これで先に進め……る……?」


《フェアツヴァイフルング・エンゲル》を倒し、先へ進めると思ったベルだが、忘れてはいけない、ここは高難易度ダンジョン。

そう簡単にはいかないのだ。

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