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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
第二章:ムラサメの刃

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第49話【ランクアップ】

遂に上級職へ!

「ふぅ……あとはこれをショップに売って……っと」


 ショップはプレイヤーが入手したモンスターの素材や武器、防具などを売り、それを欲しいプレイヤーが買うことができるシステムだ。

 ベリーはショップに様々な武器を売ると、装備を整え“待ち合わせ”の場所に向かう。


「待たせちゃったかな? バウム君」


「う、ううん! 大丈夫だよ! じゃ、じゃあ早速行こう」


 他のプレイヤーにはカップルかなんかだと思われているだろうが、断じて違う。バウムが見つけた上級職、《武者》を解放しランクアップさせるクエストに、ベリーも同行させて貰うことになったのだ。


「それにしても……こんなにすぐに熟練度を100%にするなんて凄いね」


「うぇ!? そ、そうかなー、えへへ」


 こうしてのんびりしているのにも訳がある。

というのもこのクエスト、強力なボスでは無く結構簡単なアイテム収集だ。

 アイテム名は《白薔薇の花片》、第3階層の森林フィールドの奥にある熱帯フィールドのさらに奥地、《天花の花園》という名前がついた特別なフィールドだ。

 ここはファストトラベルが使えないので、とりあえず熱帯フィールドの辺りにファストトラベルをしたベリーとバウム。


「バウム君そっち行ったよ!」


「了解! ハァッ!」


 二人でうまく連携して出現したモンスターを討伐しながら《天花の花園》へ向かう。


「【開放ノ術】!」


 ベリーは【開放ノ術】でステータスを強化して大木のモンスターに攻撃していく。


「うーん……モンスターの出現率が多いね、熱帯のフィールドはかなり広いから、結構疲労するなぁ……」


「うん、まだ大丈夫だけどちょっと疲れてきたよ」


 大木のモンスターはHPが多く、そして数も多く、熱帯フィールドの木に擬態しているので突然襲ってくることもある、かなり厄介なモンスターだ。


「少し急ごう、モンスターの出現率が多いから走って切り抜けよう」


「そうだね! 了解!」


 ベリーとバウムは走りにくい熱帯を転ばないよう慎重に走る。

途中モンスターが出現するが、無視して走る。無視できない強力なモンスターはベリーの【鬼神化】やバウムの【新月】で攻撃し、片付けていく。


「ッ! バウム君、あれ!」


「《モーントシール・ガイスト》っ! ベリー、あいつの攻撃に注意して! 【幻手】!」


 《モーントシール・ガイスト》は拘束スキル、【封印】の強化版の【魔封印】を使用する。

 【魔封印】は動きを制限するだけでなく、スキルを数分間使用不可にすることが出来るのだ。


『フーアーァァァッッ!』


「な、なんか透けてない?」


 《モーントシール・ガイスト》、月封印の精霊という意味なのだが、光に当たると透明になってしまうのだ。


「ベリー、あいつは確か、攻撃を与えたら透ける速度が遅くなるんだ! とにかく攻撃を! 【一閃】ッ!」


 バウムの指示でベリーも攻撃を開始する。


「よし、【鬼神化・閻解】! 【閻魔斬り】ッ!」


 ベリーの放った【閻魔斬り】は《モーントシール・ガイスト》の首を斬り、大きなダメージを与える。


「このまま攻撃すれば!」


 ベリーは続けて【覇気】を発動し、そして【鬼神斬り】を連続で発動しようとしたのだが……。


『フゥッ! フォゥ!』


「こ、これは……スキルが使えない!?」


 ここでベリーは《モーントシール・ガイスト》の【魔封印】を受け、スキル、そして行動を制限される。それはつまり隙だらけということ……もちろん《モーントシール・ガイスト》はその隙を逃さず、ベリーに木の根を操り攻撃、さらにレーザーを放って追撃する。


「【幻手】! ベリーを守れ!」


 バウムは【幻手】を発動してベリーを守らせ、自身は弓を構える。


「あれは多分光属性か……【常闇ノ一矢】ッ!」


 バウムは闇属性のスキル、【常闇ノ一矢】を放つ。

 【常闇ノ一矢】は貫通属性、そして毒属性も持っており、相手が毒状態の場合さらに攻撃力が増すスキルだ。


「もう一発! 【常闇ノ一矢】ッ!」


 【常闇ノ一矢】で《モーントシール・ガイスト》の頭を撃ち抜いたバウムは刀を装備し、【残刃刀】というスキルを発動する。


「【ダブルエンチャント・ダークフレイム】! 【残刃刀】ッ!」


 ダブルエンチャントとはバウムの副職業、《研究者》のレベルが上がると使えるようになる、“複合スキルの制作”だ。

とは言っても、二つ、または三つのスキルを同時に発動できるようになり、多少時間短縮が出来る程度なのだ。あとはMPの消費が少しだけ抑えられるといった程度だろうか。

 そして気になるのは【残刃刀】というスキル。これは入手条件がかなり厳しいエクストラスキルで、斬りつけたら一定時間、裂傷状態と同じような感じで刃が残るのだ。

そしてこれの凄いところは。


「【残刃刀】、【残刃刀】、【残刃刀】ッ!」


『フォウゥッッ!?』


「このくらいか……【残刃解放】ッ!」


 【残刃解放】というスキルを発動すると、残っていた刃が一斉に破裂して連続ダメージを与え、さらに《モーントシール・ガイスト》を傷を深く抉り、通常よりも持続ダメージが大きい特殊な裂傷状態にする。


「凄いバウム君! よぉーしっ! 私も、【閻解】ッ!」


 ベリーは【魔封印】の効果が切れ、再び【閻解】を発動する。


「【封印】ッ! 今だ、ベリー!」


 バウムは【封印】で《モーントシール・ガイスト》の行動を制限する。


「お返しだよっ! 【閻解ノ大太刀】ッ!」


 《タルタロス》戦の時には使えなかった【閻解ノ大太刀】を発動するベリー。

 刀は大太刀となり、ベリーはその重さに少しよろめきながらもしっかりと構え、周りの木々を燃やしながら《モーントシール・ガイスト》を一刀両断した。


『フ……ォォ…………』


「よし! 討伐完了だね!」


「うん、お疲れ様」


 《モーントシール・ガイスト》は光の粒となって消え、その後も何度かモンスターが出現したので交戦したが、特に何事もなく目的地である《天花の花園》に無事辿り着けた。



* * *



「わぁ! 凄いよバウム君! 花弁が空から降ってきてる!」


「ほ、ホントだ……凄い綺麗だね……」


 日の光が反射しキラキラと輝きながらゆっくりと降る花弁が積もり、花弁の絨毯を作っていた。

 それだけでなく、赤や黄色など様々な色、様々な種類の花が咲き誇っていた。


「あっ! あれじゃないかな!」


 ベリーが見つけた白薔薇は周りの花より一層輝いて見えた。


「《白薔薇の花片》、無事ゲットだね、ベリー」


「うん! これでランクアップだぁー!」


 こうして街に戻り、クエストを報告した2人は《侍》から《武者》へランクアップした。



* * *



『あの子の所に行きたいですね……』


「ん? どったのローゼたん」


『あ、いえ、こちらの話です! それよりゲームアバターを自分で作ってみたのですが……』


 と、ローゼと何故か打ち解けている八神。


「おぉ! 凄いかわいい! ねぇねぇ三嶋! これいいよね!」


「ん? ……おぉ、凄いな。まぁやっぱり自分の身体は自分で作りたいよな、じゃあこれでやっとくな」


『はい! よろしくお願いします!』


 ローゼが自身で作ったキャラは、まさに“戦姫”というような外見で、名前とも合っていた。

 こうしてアップデートの日も近づいていた。



* * *



「……こ、これは……これが俗に言う、“果たし状”!」


 街に帰り、ランクアップしてバウムと別れたベリーはあるメッセージを見て言った。

 差出人はロウ。そして内容は……。


『そろそろお前も頃合いだろ、明後日の正午12時、巌流島で待つ。……このメッセージ送信から10分後までに返事が無いようなら戦う気があると見なす。一対一のタイマンだ、忘れるな。』


「……一対一、ベルも負けた相手に……私が勝てる? ……いや、勝つ! 絶対に勝ってやる!」


 ベリーはその後、再戦ギリギリまで身体を鍛え、技を磨いた。


 “リベンジの時だ。”

___次回、【再戦】。

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