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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
第二章:ムラサメの刃

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第39話【悪夢の王冠】

一同は階段をひたすら上り続け、やっとラスボスの部屋にたどり着いた。


「ハァ……ハァ……もう決めた、俺もうここに来ねぇ!」


身体を動かしたいソラは到着するなりそう叫んだ。

トラップや謎解きなんかがあるわけでもなく、モンスターが現れるわけでもなく……とにかくひたすら階段を上るという地味な作業で正直飽きていた。


「そうだね……じゃあさっさとボス倒して第三階層に行こうそうしよう」


ベルも正直階段を上るだけとは思ってなかったのだ。

モンスターとの戦闘も《ブリッツェン・アインホルン》と極たまに出現する雑魚モンスターの皆さんだけだった。


「ファイトだよ皆! えいえいおー!」


「ベリーはなんか凄い元気になってるし……」


ベリーは雷が無くなったことで元気になり……いやいつも以上に元気だった。


「まぁこのメンバーなら余裕よ、早く行きましょ」


アップルが白狼や大鷲を撫でながら言った。


「ん、早く……次の階層見たい……」


フィールもいつも通り剣を創造して言う。

こうしてボス部屋の扉は開かれた。


「「「「「「え………………?」」」」」」


部屋に入った瞬間、全員言葉を失った。

ボスと思われるモンスター……部屋の真ん中に王様が座るような大きめの椅子があり、その椅子の上に王冠が浮いていた。


「あれが……第二階層の……ラスボ……ス?」


見た目からして攻撃方法は突進……出来て魔法を発射する程度だろう。そして驚くべきなのはなんとレベルが1なのだ。


「綺麗だねー」


ベリーは王冠の素直な感想を言う。


「ネームが表示されない……?」


そしてベルがボスの名前が表示されていない事に気づく。


「やっぱバグか?」


ソラが王冠をつついて言う。


「そう……なのかな? 僕はそうは思えないけど……」


バウムは王冠をじっくり眺める。特に変わったところは無い、普通の王冠に見える。


「レベルとHPも表示されてるし、一応倒してみる? 何かイベントが始まるかも」


アップルの言葉にベルが頷く。


「そうだね、一応最高火力で潰そう、フィールお願い」


と、最高火力を出せるフィールが剣を構える。


「【創造・剣】レーヴァテイン……【エンチャント・ヘルフレイム】、【加速】……!」


フィール以外の全員が瞬きをした瞬間にボスのHPは0になり光の粒となって消え___。


「はぐぅ!?」


光の粒となって消えたと思ったら王冠はフィールの頭に瞬間移動した。

フィールは頭から王冠を剥がそうとするが、びくともしない。


「な……《ナイトメア・クラウン》?」


突如ボスのネームが現れる。《ナイトメア・クラウン》、悪夢の王冠。

やがて苦しんでいたフィールは静かになる。


「……フィー……ル?」


ベルがフィールを呼ぶが返事は無い。

しかし少ししてフィールは口を開いた。


『手に入れたぞ……久しぶりの身体だ……ククク、しかもかなりの力を持っている』


確かにフィールの口から聞こえた言葉だった。


「これは……もしかして乗っ取られた!?」


アップルがそう言う。

その通り。第2階層ラスボス《ナイトメア・クラウン》はHPを0にしたプレイヤーを乗っとるのだ。

現在フィールは意識はあるが行動不能状態だった。


「あの王冠を壊すしかないね! 【鬼神化】!」


「そうだね、さっさと倒してやろうじゃない! 【幻惑】!」


ベリーとベルがスキルを発動して言った。その言葉に他の二人も頷き武器を構える。


「よぉーっし! 【覇気】っ!」


と、ベリーが【覇気】で動きを止めようとするが……。


「【スキルカウンター】」


「え!?」


【スキルカウンター】でカウンターされ、範囲攻撃である【覇気】なので全員が動けなくなってしまった。


「うぅ、まさかスキル使えるなんて……皆ごめんね」


「いや、大丈夫、僕がしばらく抑える! 【幻手】!」


バウムは【幻手】を発動してフィールを押さえ付ける。


『ふん、くだらんな、【エンチャント・ヘルダークネス】!』


《ナイトメア・クラウン》に乗っ取られたフィールは【幻手】をものともせずに、【エンチャント・ヘルダークネス】を発動して全員に斬りかかる。


「ぐっ……状態異常が切れたらその王冠ひっぺがして塔の外に捨ててやる……!」


ソラは身体を無理矢理動かそうとしながら言うが、身体は動かない。


『やれるものならやってみるがいい! 今の私は無敵だ! 弱点などない! この身体は素晴らしい、素晴らしいぞ! 今ならなんでも出来る!』


その言葉にソラは何故かキレた。


「人の身体勝手に使ってんじゃねぇよ無機物野郎! テメェは乗っ取ることしか出来ない能無しだろうが!」


『なぜ怒るのだ? 私が世界の王となれば皆幸せになれるのだぞ? ……いやそうか、お前はこの女が好きなのだな? ならお前は執事として側に置いてやろうではないか!』


「お前に王は務まらねぇ、お前のようなやつが王になる資格は無い……ッ!」


そう言ったソラは【覇気】の拘束をなんと無理矢理解き、剣を構える。


「ちょ、そ、ソラ!?」


「こいつは俺がやる、久しぶりにキレた、悪いな皆」


ベルはソラの行動に驚いていた。スキルによる拘束を無理矢理解いたのだ、無理もない。


「……ソラ」


「……なんだバウム」


するとバウムが静かにソラに呼び掛ける。


「や、やり過ぎないでね?」


何かを思い出したのか、バウムは少し震えながら言った。


「すまん、無理☆」


そう言ったソラのそこからの行動は速かった。

王冠を思いっきり剣で斬り飛ばしたと思ったらスキルを連発。

MPが尽きてもポーションを飲みながら王冠を殴り蹴り……。


「あぁ……やっぱり無理だったか……」


「ば、バウム君……どういうこと……?」


【覇気】の効果が切れたベリー、そしてベルとアップルは戦闘には参加しなかった……というかしたくなかった。


「ソラは怒ると止まらないんだ……前はなんとか僕が止めたけど……」


バウムはMPが回復してまたスキルを連発しているソラを見ながら言った。


『ひっ!? やめ、やめて! もうしないから! ちょっ、オーバーキル! オーバーキルだから!』


もう既に王冠が謝っている始末。


「……あ、動いた」


少ししてフィールが自由になる。


「フィール、大丈夫?」


「ん、私は平気……だけど……」


チラッと見た先にはソラと《ナイトメア・クラウン》……。


「オラオラどうした反撃してこいよ!」


『いや、あの……もう、HP無いんで、やめてもらっていいですか?』


どうやらこのモンスター、HPが無くなってもしばらくは消えないようだ。

ソラはまだまだ殴ったり床に投げつけたりしている。


「「「「「う、うわぁ…………」」」」」


もうそう言うしかなかった。

しばらくすると怒りも鎮まってきたのか、ソラは王冠を持って宣言通り塔の外に投げ捨てた。


『あ……やっと終わった……』


王冠は悪夢から解放され、そう呟いて消滅した。


「ふぅ……スッキリした、ほらさっさと行こうぜ」


「う、うん、そうだねー」


ベルはそう言ってそそくさとダンジョンの外へ向かう。


「ソラ……優しい、ありがとう」


「え、お、おう……別に……うん、大したことはやってねぇ……ほら、早くあいつら追いかけるぞ」


「「………………」」


ベリーはベルを追いかけて先に行き、ソラの言動に何かを悟って暖かい目で眺めたバウムとアップルだった。



***



《ナイトメア・クラウン》戦が、ちょっと特殊な感じで終わり、第二階層に到達したベリー一行。

その街はとても美しい街だった。

悪夢を見たのは王冠のほうだった……。

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