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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
第二章:ムラサメの刃

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第37話【お守り】

1週間が経ち、超大型アップデートが終了した。

新たに追加された副職業を解放するため、各自使用したい副職業のクエストへ向かっていた。

それはベリーも同じで、機械の街にてクエストを受注していた。


「これを持ってくればいいんですね、わかりました!」


ベリーは指定された素材を入手するために、フィールドに出て素材を集める。


「っと、その前に……あっ、居た居た!」


フィールドに出る前に、もう1つクエストを受ける。

それがレベル解放クエスト。

ベリーはレベル50なので、このクエストをクリアしないとそれ以上レベルアップが出来ないのだ。

副職業のクエストとレベル解放クエスト。どちらも素材を集めるものだった。


「えぇっと……魔法鉱石20個、銅鉱石10個……こっちが金の歯車?」


金の歯車がよくわからないが、どちらも洞窟で取れるようだ。

ベリーは道具屋でツルハシを数本購入し、適当な洞窟へ向かう。


「せいっ! ほいっ! そいやぁ!」


ツルハシを振り、鉱石を採掘する。銅鉱石は沢山取れるが、魔法鉱石の数が少ない。


「金の歯車ってなんだろう……?」


ベリーは金の歯車について考えながらツルハシを振る。

しかしわからない、攻略サイトを見れば一発なのだがベリーはそんなことを知らない。

そうこうしている内に、魔法鉱石も全て揃ってしまった。


「おーい、歯車やーい! 出ておいでぇー!」


と、歯車を呼んでみるが現れるはずもなく……。


『キュキ……?』


「は、歯車が浮いてる……」


……現れた。複数の歯車が合わさって出来たようなモンスターが現れた。

ベリーは絶対このモンスターからドロップすると確信し、刀で攻撃してみる。


「えい!」


と、軽く刃を当てただけで、歯車のモンスターはバラバラになった。

HP、防御力が低いこのモンスターだが、洞窟の奥を見ると大量に、ウジャウジャと居た。


「よぉーし、全部倒しちゃうよ! 【霧雨】!」


HPが低いので、【霧雨ノ太刀・一】などの霧雨でダメージを負ってすぐバラバラに崩れる。


「【霧雨ノ矢】っ!」


歯車モンスター達が次々と倒されていく。

歯車の残骸が辺りに散らばっている。そう、残骸が散らばっているのだ、普通モンスターを倒したら小さな光の粒となり、空へ舞い上がって消滅する。

本来であれば、金色の歯車を持っているモンスター、つまりレアモンスターを倒せば金の歯車はドロップするのだが、ただレアなので出現率が低い、そしてただの歯車のモンスターを倒すと残骸が溜まっていく。


「せいっ! ってあれ? 歯車は?」


ここでベリーが散らばっている歯車の残骸が無くなっていることに気づく。それもそのはず、大量の歯車は集合し、巨大な戦車のようなモンスターを形成していった。

《ツァーンラート・オートマトン》という名のモンスターは、ベリーという攻撃対象を発見すると、重々しく動き出した。


「これ倒したら金の歯車ってドロップするのかな……?」


もちろん《ツァーンラート・オートマトン》を倒せば報酬として金の歯車や、その他の様々な素材も入手出来る。

というか道を塞がれているので倒さなければ洞窟から出られない。


「でも邪魔するなら倒しちゃうもんね! 【鬼神化】!」


しかし驚くことが起きる。《ツァーンラート・オートマトン》は全体に向けてレーザーの砲撃を開始する。

それはベリーには当たらないが、砲撃が終了すると地面が赤く焼けていた。


「うわぁ……あちっ!? 熱いよこれ!」


ベリーが居るところ以外全ての地面が焼け石以上に熱く、火傷の状態異常を受けてしまう。


「あ、あれ? これってまずい?」


すると《ツァーンラート・オートマトン》はベリーに向けて砲撃をチャージしている。

どうやらこの攻撃を避けられないように最初に全体攻撃をしたようだ。

アップデートでモンスターのモーション変更、そしてAI化によりモンスターはこれまで以上に生物らしく、いや、生物となった。


「でも、負けないよ! 【閻魔】、【絶対回避】!」


『キュォオオオオオ!!!』


《ツァーンラート・オートマトン》は高威力のレーザー砲を放つ。だかしかし【絶対回避】の効果でベリーは回避する。


「…ッ!」


回避した先はもちろん焼けた地面、熱さを堪えてベリーは丸腰の《ツァーンラート・オートマトン》に近づいた。


「【閻魔】ッ! 連続発動!」


突如の連続の爆風、ベリーの【閻魔】の連続発動だ。洞窟内はサウナなんてレベルじゃないほどの熱気に覆われ、なんと《ツァーンラート・オートマトン》が真っ赤になるほどの熱だった。


『ギィ……ギ、ギ、ギ…………』


《ツァーンラート・オートマトン》のHPは一瞬で0になり、光の粒となって消滅した。

ドロップ品に金の歯車もちゃんとある。


「よしっ! これでクエストクリア!」


ベリーはアイテムをしまうと機械の街へ帰っていった。



***



帰ってきたベリーは、クエストを報告し、レベルを解放。そして副職業、《鍛治師》を手に入れた。


「ふぅ~! 副職業セット……っと」


ベリーはステータス画面で副職業をセットする。

副職業《鍛治師》はHPと攻撃力の上昇、武器の強化、アイテムの作成が可能なのだ。

ベリーがなぜこれを選んだか、それには訳がある。武器の強化が出来ればベル達の役に立てるということもあるが。


「………………」


《ツァーンラート・オートマトン》のドロップ品を使用して、鍛治場を借りて黙々と作業をするベリー。

数時間経って、やっと完成した。


「出来た! フフッ……我ながら良い出来……ベルも喜んでくれるかな」


そう、ベルに贈るプレゼントを作りたかったのだ。

現実世界でも誕生日プレゼントはいつも欠かさず渡しているが、この仮想世界でもベルに何かプレゼントしたかったのだ。


「あっ、ベリー、こんなところに居たんだね……ってことはベリーの副職業は鍛治師かぁ……私は《罠師》にしたよ!」


ベルはベリーを探していたのか、鍛治場に入ってくる。

ベルが副職業に選んだのは《罠師》、名の通り様々な罠を作ることが出来る、暗殺者であるベルに最適な副職業だ。


「ベル! 良かった、ちょうど渡したい物があるんだ!」


「え、えぇ? 私今日誕生日……じゃないよね? なんかあったっけ?」


「えぇっと……日頃のお礼? ってことで、はい! お守りだよ!」


ベリーはそう言ってベルに、鈴の形をしたお守りを渡す。


「うわぁ! 凄い! こんなのも作れるの!? ありがとうベリー! 大切にするよ!」


ベルは凄く笑顔でとても喜んでいた。


「ベル、まだ驚くのは早いよ! それにはちゃんと使い道があるんだからね!」


「な、なん……だと……!?」


「まずそれは装飾品だから装備出来るでしょー、あとはHP上げたり、リロードもちょっと速くなるんだよ! あとあと、この鈴は音は出るけど、ベルは暗殺者だから凄く小さいんだよ!」


と、ベリーはベルにお守りの効果を説明する。


「リロードが速くなるって、凄い便利! ありがとう、じゃあ早速装備してー……っと、よしっ! オッケー!」


ベルはベリーがくれたお守りを装備する。首に装備された鈴のお守りはネックレスのようになっていた。


「うん! 凄く似合ってるよ! ベル!」


「そ、そうかな……ありがとうねベリー」


ベルは少し顔を赤くしてベリーにお礼をした。


「私こそ、いつも迷惑かけてばっかりで……」


「ベリーが元気だと、私も元気になるんだよー、ベリーはそのままで良いの」


ベルはそう言ってベリーの頭を撫でる。


「うぅ……子供扱いしてない?」


「してないしてない! 全然してないよ!」


「ほんと?」


「……ちょっとしてるかなー?」


「も、もうっ!」


この日はベリーとベルにとって、とても大切な日となった。

この幸せは大切にしなければならない。ベリーはそう思った。



***



そしてベリー、ベル、フィール、アップル、バウム、ソラの6人で、第3階層へ向かう為に、第2階層のボスを倒す。

次回! 第2階層! ボスッ!

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