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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
真章中編:音の無い世界

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真編・第85話【燃えよ剣、鬼が如く】

燃えます。

 《END・MACHINE》のHPゲージは1本。しかし金属物ということもあり、高い防御性能があるため簡単には減らせない。


『___ッ!』


 咆哮するように機械音を響かせ、《END・MACHINE》は空を高速で移動する。


「右脚は斬り離したが、奴の本命はまだこれからだ。油断するとまたやられる」


「はい、まずは翼を壊します! 【燈火燦然】……【閻魔】ッ!」


 苺は【燈火燦然】を放って《END・MACHINE》の動きを誘導すると、【閻魔】を背に命中させる。


『攻撃、浅いです!』


「くっ……! ローゼは攻撃予測に集中して! ツァールさんは《END・MACHINE》の動きを誘導してください!」


『了解しましたっ!』


「了解した!」


 苺は2人にそう指示すると、チャージを開始する。炎が円形に展開され、輪が高速で回転し始める。


『急降下突進、来ますッ!』


『Pi__!! Ggggッ!』


 ローゼがボイスチャットにて、苺とツァールに攻撃を伝える。


「こっちに来てもらおうか、【一閃】ッ!」


 そう言うとツァールは【一閃】を飛ばし、《END・MACHINE》の右翼に命中させる。その衝撃で苺に向かっていた《END・MACHINE》は方向が右側に寄り、ツァールの元へ突っ込んでくる。


「いい子だ……ッ!」


 そのままツァールは太刀を構え、【螺閃(ラセン)】を発動する。突き出された刃は光を放ち、螺旋状に《END・MACHINE》の胸部を貫く。


『Go_GA__ッ』


 突進の勢いのまま、《END・MACHINE》は地面に激突してダウン状態になる。


「……来るか」


『《END・MACHINE》、スキル発動の予兆を感知ッ!』


 ダウンした《END・MACHINE》を見てツァールが呟いた瞬間に、ローゼがそう叫ぶ。


『__【終告響音(シュウコクキョウオン)】』


 その瞬間、重く、耳障りな終わりを告げる音が周囲に響き渡る。《END・MACHINE》は自ら外装をひっぺがし、その形を変えていく。


「変形とはロマンがあるな。外装を捨て、身軽さを優先したか」


『ベリーのチャージ率80%です!』


「ふむ、もう少しか……」


 ローゼから苺の状態を聞いたツァールは地面に転がっていた石ころを拾い上げる。


「【シュート】……!」


 スキルでアシストし、石ころを《END・MACHINE》に投げつける。避けられることなく命中したが、そのダメージはゼロだった。


「どうやら、ここからは君の出番のようだ、苺クン」


「【心眼】発揮……!」


 《燈嶽ノ太刀・真閻》のスキル、【心眼】で《END・MACHINE》の弱点部位を目視し、高速で回転していた炎の輪を《鬼神ノ太刀・真閻》の刃先に集束する。


「集束する希望の光、終息する世界ッ! 【真・閻解ノ燈閻真太刀・鬼神全真纏・燈華煌穿(トウカコウセン)】ッ!!!」


 その温度は1000℃を超え、一点集中させる。放った衝撃で足が地面を擦る。苺はなんとか踏ん張って《END・MACHINE》に命中させ、頭部から左肩を焼き斬る。左腕が落ちて地面を抉り、砂が舞う。


『Pippppp___』


 残った頭部から光が消え、シャットダウンの音らしきものが鳴り、《END・MACHINE》の動きが止まる。だが、まだHPゲージはミリ単位で残っている。


『ヒビ…ケ……オモウガママ……ニ……』


「__ぐっ!?」


 再起動した《END・MACHINE》はそう呟くと右腕から音波を発する。頭の中が震えるような感覚に、苺は頭を抱えてうずくまる。【終告響音】の効果……音で相手の動きを止め、持続的にHPを削る。そして削ったHP分だけ持続ダメージを上昇させる。つまり、時間が経てば経つほど減るダメージ量がどんどん増えていくのだ。

 脳に響く音。それはスキル発動を妨害するためのものでもある。声を発することで脳に強く認識させたスキル名を、システムが感知して発動する。それが《NGO5》のスキル発動システムだ。つまり、脳内で全く別のものを同時に考えたりすると発動は出来ない。本来は多数のスキルを同時使用するのを阻止するためなのだが、それを利用したのが【終告響音】というスキルだ。


「近づけば僕は死ぬか……苺クン、死ぬなッ!」


「くっ……私が、聴きたい音…はこんなのじゃない……! 遠雷ッ! …遠雷ッ!」


 範囲外に居るツァールが苺に聞こえるよう大声でそう伝える。苺は音を止めるため、なんとか指を銃の形にして【遠雷】を発動しようとするが……全くの無反応。ポーションを取り出しても音の振動により瓶が割れてしまう。


「もうこの世界は……無音なんだッ!!」


 そう叫ぶと行動不能状態の中、無理矢理に手を動かして腰のベルトに挿していた《HS・リードナイフ》を引き抜き、全力で投擲(とうてき)する。


「届けぇぇぇぇぇぇ!!!!!」


 音の衝撃で速度が落ちていく《HS・リードナイフ》に向け、苺は願うように叫ぶ。普通ならそれで速度なんて上がるはずもない。……だが、その想いが【終告響音】のスキル発動妨害の壁を超え、スキルとして届く。

 発動された【閻魔】は《HS・リードナイフ》に纏わり付いて炎剣と成る。__が。


「ッ!? 浅すぎる!」


 ツァールが焦りの表情を浮かべながら言う。

 炎剣はヒットしたものの、軽い金属物が響いただけでほとんどダメージにはなっていなかった。《END・MACHINE》の腹部の装甲に、刃先だけが突き刺さった状態だ。


『ベリー、HPがっ!』


「大丈夫ッ! 私にはみんなが居るから! だから、お願い……! 【インフェルノ】__ッ!」


 苺は叫んだ。うるさく鳴り響く音の中、声を張り上げてスキル名を叫ぶ。【インフェルノ】……士狼が持っていた《HS・インフレイム》の付属スキルで、発動すると火属性武器から爆炎が何発も撃たれる超火力攻撃スキル。

 ナイフを手にはしていない……だが、《HS・リードナイフ》は答えるように紅く、強く、燃え滾らせる。


 一撃目__炎が全体を包むように爆発し、《END・MACHINE》の装甲のほとんどを剥がす。


 二撃目__炎が刺すように爆発し、《END・MACHINE》の内部を燃やす。


 三撃目__炎が爆発し、《HS・リードナイフ》をグッと押し込む。


 四、五、六撃と爆発し、《END・MACHINE》は動きを止める。


 七撃目__爆発した衝撃でナイフが宙を舞う。そして、ラスト八撃目。動けるようになった苺がナイフを掴み、爆発加速して急降下。そのまま《END・MACHINE》の頭部にナイフを突き刺し、バラバラに破壊した。周囲に散らばり、熔けた部品が次々に光となって消滅していく。


『Ga…Gooo……』


『《END・MACHINE》の残量HPゼロ……完全消滅を確認……! クエストクリアです!』


 クエスト進行度が遂に3/4になり、《終わりの試練》の終わりが見えてくる。


「はぁッ……はぁッ……! ツァール、さん!」


「……なんだ?」


「__私の師匠に、なってくれませんかっ!!」


 太刀を納め、ツァールに向き直った苺は声を張り上げて言った。

うまはじメモ!


ー終告の機 《END・MACHINE》Lv300ー


 高い防御性能と機動力を生かして縦横無尽に空を舞い、敵を翻弄しながら鷲のような脚で攻撃する。ホーミングレーザーも撃つことが出来るがエネルギー消費が激しいため使わない。

 【終告響音】は行動不能、スキル発動妨害、持続ダメージという当たったら終わりと言っても過言ではないスキル。しかし行動不能効果が弱いため、反撃の余地はある。

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