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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
真章中編:音の無い世界

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真編・第69話【峰奉村】

村です。

 《END・INFANT》を討伐、そしてデータ保存に成功した苺達は数時間森を彷徨いやっと見つけた《竜島》に存在するたった1つの村、《峰奉村(ホウマツムラ)》の宿で休息していた。


「ありがとねハヅキちゃん、ミツル君」


「いいっていいって! でも苺ちゃんすっごい強いんだね! わたしもレベル100になれば出来るのかなぁ……!」


「レベル100だとしても、相手のレベルはおれ達よりずっと高かったよ」


 ミツルは苺の瞳を覗き込むように見つめて言う。


「うん、あのね___」


 苺はハヅキとミツルに自分のレベルが今250であること、そして《終わりの試練》のこと、自分が何をしようとしているのかを話した。2人は苺が話終えるまで静かに耳を傾け、苺の現状を知った。


「に、にひゃく……なんか凄いことになってたんだね」


「2人を巻き込むつもりはなかったけど……ごめんなさい」


「謝ることはないよ、仕方ない。わたしは気にしてないから!」


 そう謝って苺は頭を下げる。話を聞いたハヅキは笑顔で苺の頭をぽんぽんと撫でる。


「理由を話してくれてありがとうございます、苺さん。なんかスッキリしました! ……あと、姉がすみません」


「い、いいよ、大丈夫」


 そう苦笑いしながら言う苺は、まだハヅキに頭を撫でられる。


「ミツルも頭撫でる〜?」


「撫でないよ! というかよく先輩にそんなこと出来るね!?」


「だってカワイイじゃない!?」


「かわ……いやそれでもダメ! 苺さん困ってるから!」


「仕方ないなー」


 頬を膨らませ、少し不機嫌になりながらハヅキは苺から離れるとミツルを睨みながら《ディモス・ハンマー》の手入れを始めた。


「あ、あー……そうだ、そういえば【エレボス】の効果が変わってたんだった」


「あぁ、ユニークスキルとユニークスキルは互いに影響を受けるからね。どんな効果になったの……?」


「えっと、“あらゆるモノの干渉を受けない”……らしいです」


「ってことは攻撃以外も防ぐってことか! 凄いぞ我が弟よー!」


 ハヅキはそう言ってミツルの頭をぐりぐりと乱暴に撫でる。まだ苺と引き離されたことを根に持っているようだ。


『エレボスは地下世界を意味しますから、スキルを発動するとその範囲内が違う場所になることで影響を受けなくなるのだと思います』


「じゃあもしかしたら【エレボス】はもうこれ以上成長しないかもね」


『その可能性は高いですね、でもフィールの【ラグナロク】を防ぐことも出来そうなので…これ以上強くなると……』


「今の時点で発動中は無敵だもんね……」


 ハヅキにプロレス技をキメられているミツルを見ながら苺は言う。やはり少しでも戦力は増強して置いた方がいいだろう、いつ五島が動き出すかわからない。


『それにしても……この世界にNPCがまだ居るとはですね』


 ローゼが歩く人々を眺めて言う。ここ《峰奉村》は特殊らしく、そこに居る者が全てNPCだったのだ。普通の人間と何ら変わりない、この世界で生きている者達だ。宿の店主に話を聞くと《焼結島》の火山を神として崇めているらしく、明日、毎年の冬に行われる冬祭り、“峰奉祭(ホウマツサイ)”というものが開かれると言う。宿の窓から外を見るとNPC達が寒い中で祭りの準備に追われていた。


「ねぇねぇ、お祭り明日なんだよね! みんなで行こうよ! 屋台とか出るんでしょ? リンゴ飴とか食べたいなぁ!」


「あ、おれも焼きそばとか久しぶりに食べたいかも」


「……そうだね、みんなで行こっか」


 たまにはのんびりとするのもいいだろう、そう思った苺は微笑みながら言った。それなら明日に備えて今日は寝ようと、3人はベッドに入った。


「……っておれは床かよ!」


「ベッド1つしか無いから仕方ないでしょ! わたしは苺ちゃんと寝たいもーん、それともわたし達に挟まれて寝たいのかな?」


「あ、ハヅキ姉は寝相悪いからやっぱいいです。苺さん、お気をつけて」


「あ、うん、気をつけるよ」


 そうしてベッドに苺とハヅキが、そのベッドの隣に布団を敷いてミツルが眠る。



* * *



「むにゃあ〜」


「ぐえぁぁああああああ!?!?」


 翌朝、ハヅキがベッドから落ちてミツルの腹に頭突きをかました。


「だ、大丈夫……?」


「ダイジョバナイデス……」


 ミツルの叫び声で起きた苺がそう聞くと、ミツルは震えながらそう伝えた。するとハヅキが目を擦りながら起き上がる。


「……うあぁあ〜! おはよう苺ちゃん! いい朝だねぇ!」


「うぐおっっっ」


「ハヅキちゃん、下にミツル君が……」


「あ、ホントだ。朝ごはんどうしよっかぁ〜」


 ハヅキは苺に指摘されてミツルの上に座っているのに気付くが逆に体重をかけて朝ごはんの話を始める。


「え……【エレボス】……っ!」


 限界を迎えたのか、ミツルは【エレボス】を最小範囲で発動して自分の身を守る。


「うきゃあ!? 弾かれた!?」


「解除…! はぁ……助かった」


 【エレボス】の効果でミツルの上に座っていたハヅキは弾かれ、ベッドの上にダイブする。


『さすが絶対防御空間ですね……』


「結構跳ねるね」


 どうやら強く意識すれば範囲内に入っているものも外へ弾くことが出来るらしい。すると、外から太鼓を叩く音が響いてくる。


「お祭り、朝から始まるみたいですね」


「そういえば店主さんも今日の朝から明日の朝まで、ずっと太鼓を叩きながら村を巡るって言ってたね」


「じゃあもう屋台出てるかな? せっかくだし今から行って長く楽しもうか!」


 ハヅキがそう言うので苺達はさっさと着替えると宿を出て、屋台が集まっている村の中央に向かった。

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