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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
真章中編:音の無い世界

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真編・第67話【輝かしい未来を願って】

まぶしいです。

 《グレンツェント・ツークンフト》、銀色の鎧に身を包んだ《END・INFANT》が持つレイピアの銘だ。刃に反射する光を自在に操り、その光に当たった者には受ける効果が反転するという特殊な状態異常を付与させることが出来る。そして、銀色の鎧は光の射程距離と威力の両方を向上させる効果を持つ。


『ベリー、現在のステータス値が大幅に低下しています! 数値がほとんどレベル160と変わりないですっ!』


「でも真閻解を解除する訳にもいかない……!」


 レイピアと銀色の鎧を装備した《END・INFANT》は、小柄ながらに威圧感が凄まじい。【真閻解・鬼神纏】を解除したところでステータス値は通常に戻るが攻撃手段が少ない。《END・INFANT》の技術レベルからして、苺は全力で相手をしないといけない。


『【グレンツェント・シュトラール】ッ!』


 そうスキル名を叫び、《END・INFANT》が攻撃を仕掛けてくる。苺を狙い、剣先を突き出すと光線を何発も射出する。


「フッ!」


 苺はその光を二刀を用いて難なく弾き返す。__だが。


『まだだ!』


 《END・INFANT》はそう言うと、レイピアを指揮棒のように振り、苺に弾かれた光線を曲げて再び苺を狙う。


「【赫灼(カクシャク)陽魂(ヒダマ)】、ハァァッ!!!」


『爆破攻撃か、森の中だと言うのに派手なことをするッ!』


 苺が発動した《燈嶽ノ太刀・真閻》のスキル、【赫灼ノ陽魂】の火属性攻撃力の上昇は逆に低下するが、それでも爆破威力はかなりある。苺は赫灼する刃を振るって光を打ち消しながら爆発を起こし、その煙で姿を隠す。


『【ライズジャンプ】……そこだな、【グレンツェント・シュトラール】ッ!』


 しかし《END・INFANT》はスキルにより高く飛び上がり、全体を見回して呟くと光線を上からいくつも降らせる。


「氷華ッ!」


 苺は氷華を纏い、上方へ《鬼神ノ太刀・真閻》を振って氷塊を生成し、光線を防ぐ。


『光よ!』


 空から落ちる《END・INFANT》がそう言うとレイピアが白く光り出し、その光がどんどん強まっていく。


「眩しい……っ!」


『あの者に癒しを、【グレンツェント・ヒール】!』


 発動されたのは回復スキルだ。だが、効果反転の状態異常に陥っている苺には毒と同じこと。厄介なのが回復スキルは防御出来ないという点だ。唯一、【スキルキャンセル】や【スキルバインド】といったもので対処が出来るだろうが、苺はそれらのスキルを取得していない。


「ぐああああ!!!?」


 高い回復効果があれば、反転してそれだけダメージになってしまう。苺のHPは一気に40%減ってしまう。


『【ヒール】、【クイックヒール】ッ!』


 さらに回復スキルを使われ、30%、15%と苺のHPは削れる。


『さて、もう君に次はない。リキャストタイムが終わったらこの戦いも終わりだ』


「………いや、まだだよ」


 そう言うと苺は《鬼神ノ太刀・真閻》と《燈嶽ノ太刀・真閻》を納刀する。


「私1人じゃ……出来ない。だから__ッ!」


『だからなんだ! 君には何も救えない!』


「そんなことない、私はっ! 世界を元に戻すんだ! 鈴に、あとはお願いって言われたんだッ!」


 そう叫んで、苺は《END・INFANT》の後ろに建つ小屋へ一直線に走りながら雷公を纏う。


「私に全てを救える力があるのなら……もう二度と失わないッ! 失いたくないッ!」


『でも、遅いッ! 【グレンツェント・シュトラール】ッ!』


 《END・INFANT》はそう言うと小屋に向かってレイピアを突き出し、先程よりも強く光る白い光線を放つ。人が走る速度と光の速度、どちらが速いかなんて明白だ。


「___ハッ!!!」


 だが苺は真横に来た光線を【雷槌】を発動して殴り、方向を変えてしまう。


『なっ、光を殴った!?』


 【雷槌】で殴られた光線は、空へ高く飛んでいくと弾けて消える。

 そして苺は小屋の扉を開くと《鬼神ノ太刀・真閻》を抜刀し、ハヅキとミツルを拘束している縄を斬ると、手を差し伸べて言う。


「お願い、一緒に戦って……!」


「喜んで!」


 ハヅキはその手を取ると笑顔でそう答える。なぜ自分達が拘束されていたのか、《END・INFANT》の言葉から察しはつく。しかしハヅキは巻き込まれたなんて思っていない。


「全く、ハヅキ姉はお人好しだよ」


「そうかなー? 苺ちゃんはわたし達を見捨てることも出来たのに、罠かもしれないのにここへ飛び込んで来てくれたんだよ? わたしを助けるために!」


「いやそもそもぼく達が捕まったのって苺さんが原因じゃ……まぁハヅキ姉がいいならいいけど! とりあえずこれ終わったらいろいろ聞かせてくださいね!」


「うん、ごめんね……あと、ありがとう」


 苺がそう言うと、ハヅキが《ディモス・ハンマー》を振り回して小屋の床を思いっ切り叩き、小屋を吹き飛ばす。


「さあさあさあ! 戦闘再開だよ!」


 吹き飛んだ小屋や、周辺の木々の枝が落ちる中でハヅキはそう言った。


『……救える力があるという自覚、そして行動する勇気……救えたことによる自信……母さん、やったよ……』


 《END・INFANT》は苺の姿を見ながら聞こえないように呟く。


『__人数が増えたからといって勝てると思っているのか?』


「勝てるよ、だってハヅキちゃんとミツル君は……仲間だから」


 戦う人数が増えたのではない、仲間が増えたのだ。そしてそんな仲間を救うことが出来た。


「仲間だなんて嬉しいこと言ってくれるね! おねーちゃん頑張るよ!」


「いや苺さんの方が歳上だからね!?」


 姉弟はそんな会話をしつつ、武器を構える。


『ならその仲間とやらを葬りさろう、【終視開眼】ッ!!』


 終視の子 《END・INFANT》は終わりを視るためにその目を開く。それは未来予知のようなもので、あらゆる終わり方を《END・INFANT》は視て知ることが出来る。

 兜の隙間から覗く目は、終わりを視て苺を睨む。


「みんなは私が守り抜く」


「わたしは大勢の人を守れる自信なんてないから2人を守るよ!」


「危なっかしいなぁ……あんまり前に出過ぎないでよハヅキ姉! 【エレボス】っ!」


 必ず終わらせる。必ず救う。そう出来る力があるのならと苺は《燈嶽ノ太刀・真閻》も抜刀する。心強い仲間が居るのだ、簡単に燃え尽きたりなんてしない。苺、そしてハヅキとミツルはそれぞれ武器を構え、《END・INFANT》との決着をつける。

次回もお楽しみにッ!!!

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