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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
真章中編:音の無い世界

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真編・第64話【ワームと熾天使と翼、そして迫る姉弟】

第三階層です。

『キシュルォォォ!!!』


『な、何度見てもぞわぞわする見た目ですね……』


 《シュツルム・ワーム》、二対四枚の羽根に、青く発光している身体……捕食しようと歯がビッシリと生えた口を開けて迫ってくる。第三階層ダンジョンの中ボス的存在のモンスターだ。


「【真・閻解ノ燈太刀・鬼神纏・閻魔】……!」


『キュルッシィィィィ!?』


 以前は逃げ惑っていたが、今回は冷静にスキルを発動して《シュツルム・ワーム》を焼き尽くす。しかしレベルが高くなっているため一撃とまではいかない。


「……7連ッ!」


 ならばと苺は連撃で《シュツルム・ワーム》のHPを削り切った。


『あのモンスターは1体だけではありません、早く下へ降りてしまいましょう!』


「そうだね、あんまり見たくないし……」


 そう言って苺はさらに下へ降りていった。



* * *



 《シーツリヒター・セラフィム》、第三階層のボスモンスター。相手の属性に有効な属性へ変化することが出来る熾天使だ。苺が初めて【真・激流ノ太刀・高霎】を使用したのもこの場所だった。


「また来たよ、天使さん」


『……プレイヤーを確認。【審判】を開始します』


 ダンジョンを出て第三階層に到達すると、周囲に漂っていた炎が集まり三対六枚の翼を持つ天使が現れる。


「【真閻解・鬼神纏】、部分変身……【氷華】【雷公】」


『プレイヤーの属性を確認、水属性へ変化します』


「やっぱりベースのほうの弱点属性になるのか……」


 苺はそう言うと《シーツリヒター・セラフィム》のホーミング弾を【遠雷】で撃ち落とす。


「はぁあッ!」


 【氷刃】と【雷刃】を同時に発動し、二刀で《シーツリヒター・セラフィム》の翼を切断する。


「悪いけど急がなきゃいけないんだ、【真・閻解ノ燈閻真太刀・鬼神全真纏・華創氷崩】……!」


 そう言った苺が《鬼神ノ太刀・真閻》を振るうと、周辺の温度が一気に低下して地面と《シーツリヒター・セラフィム》が凍りつき、その後崩壊する。


「……【断ち斬り】」


 声に出さずに【解放者(リベレーター)】を発動した苺は氷が崩壊した瞬間に熾天使を断ち斬る。


『__ッ、___』


「まだHPが残ってる……レベルが高いからかな……」


『ベリー、何かこちらに近付いて来るものがあります』


「なんだろう、とりあえず終わらそう……。ごめん、じゃあね天使さん」


 そう言うと《シーツリヒター・セラフィム》の残りHPを【真・閻解ノ燈太刀・激流纏・高霎】で削り切った。これで第三階層ダンジョンはクリアしたが、苺はローゼの言う接近してくるものが気になる。このダンジョンが存在する《竜島》に居るものと言えば島の名前通りドラゴン系モンスターと有翼系モンスターが多い。飛べることが出来るので他の島にもたまに出没することもある。


『ふぅ……どうやらプレイヤーのようですね。ってベリー、またスキルを取得してますよ!』


「えっ、気付かなかった……どんなスキルかな」


『少々お待ちを………【飛焔(ヒエン)ノ翼】というスキルですね、自由に飛び回ることは出来ないみたいですが瞬時に上方へ飛び、数秒程度なら空中で移動が可能……回避スキルですかね』


「結構使えそうだね、覚えておくよ」


 そうして新たに取得したスキルについてローゼから詳しく聞いていた苺の元に、接近していたものが視界に入る。


「あっあっあっ!!! そこの人、逃げてください! これ止まらないんです!」


 苺の目の前に現れたのはそう言いながら大剣をグルグルと振り回し、接近する中学生くらいの男の子だ。


「ミツル! だからスキル解除しなさいっていつも言ってるでしょ!」


「ハヅキ姉、だって全然止まってくれないんだよ!」


 その男の子……ミツルの姉と思われる、苺と同じ高校生くらいの少女……ハヅキが走って弟を追いかける。


『これは……どうしますか?』


「避け……たらダンジョンの壁に激突しそうだね、仕方ない……」


 そう言うと苺は拳を構え、向かってくるミツルを睨む。


「えっちょ……何を!?」


「あ、うちの弟けっこー頑丈なんでぶっ飛ばしちゃってください!」


「ハヅキ姉!? 何言ってんの!?」


「じゃあ……お言葉に甘えて……ッ!」


 その瞬間、苺はしゃがむことで遠心力により回転するミツルの大剣を回避し、その後勢いよくジャンプ……顎に拳を喰らわせ吹き飛ばした。


「ぐえっっ」


「おぉー初めて壁にぶつからずに止まったね!」


『べ、ベリー、あのミツルさんのHP、結構減ってますよ……』


「う……次は気をつけるよ」


 目を回して仰向けに倒れるミツルの頬をぺちぺちと叩きながら笑うハヅキを見て苺はそう言った。今の状態ならレベル100くらいの差があれば素手でも余裕を持って戦えるようだ。


「大丈夫? えっと……ミツル君」


「……はえ? あ……どうも……って顔近っ!?」


 ミツルの顔を覗き込んで苺がそう言うと、ミツルは頬を真っ赤にして転がるようにその場から離脱し起き上がる。赤くなった頬は姉にぺちぺちと叩かれたことで腫れたものではないようだ。


「ありがとね、弟を止めてくれて! わたしはハヅキ、この世界になる前は高校一年生! レベルは92!」


「っ、あ……ありがとうございます。おれはミツル、あのバカっぽい姉の弟です。この世界になる前は中学二年でした。レベルは90…です!」


 苺に向かい、頭を下げて2人はそう自己紹介をする。


「私は苺、えっと……高校二年生。それでレベルは……」


『ベリー、レベルは伏せておいた方がいいかと。この2人が何者なのかまだハッキリしませんし……』


「__レベルは100だよ」


 苺はローゼの言葉を聞いて姉弟に嘘のレベルを伝える。確かに最初の双子のように襲ってくるかもしれないし、“自分達もきっとあんな風になれるから大丈夫”と変に期待させてしまうかもしれない。苺の現状レベルは第三階層ダンジョン攻略のおかげか246まで上昇し、《NGO5》の最高レベルとかなり差がついてしまった。


 第三階層……《鬼神ノ太刀》の成長と、ロウとの決着、そしてベルが戦った《ヘルツ》に……ローゼと出会ったのもここで現れたの四神玄武戦がキッカケだ。第三階層では様々なことがあった。ならば、今の苺がここに訪れることで何か得ることが出来るかもしれない。いや、得なければならない……苺はそう思うと、レベル100というのに驚いている姉弟を見ながら何か不穏な空気を感じ取った。

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