真編・第61話【終齎】
その獣は終わりを齎す。
そしてそして!!!
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「【真閻解・鬼神纏】……」
『グルル……』
【真閻解・鬼神纏】を発動した苺を見て唸る《END・BEAST》はその牙を剥き出しにする。反応から察するに苺にのみ敵意を向けているようだった。
「ミナちゃん、サナちゃん、クーちゃん……私が注意を引くから攻撃お願い」
「「うん!」」
『承知致しました。【晶龍の加護】!』
《クォーツドラゴン》のスキルにより、苺達に防御力上昇と属性耐性上昇のバフが付与される。その瞬間に苺は飛び出し、《END・BEAST》の左脚を斬る。
『__ッ!!!』
「【赫灼ノ陽魂】、【真・閻解ノ燈閻真太刀・鬼神全真纏・華炎刀墜】……!」
《END・BEAST》は反撃に苺を踏み潰そうとしたが、苺は上へ高くジャンプすると同時に【赫灼ノ陽魂】を発動すると、続けて華炎刀墜により二刀を突き出して墜ちる。攻撃後で無防備となった《END・BEAST》の左肩に命中すると【赫灼ノ陽魂】の効果も重なり爆炎がその巨体を包む。
「お、おねーちゃんすごい……」
「ミナ、あたし達も行くよ!」
爆炎に包まれる《END・BEAST》を見て双子は言う。
『足止め致します!』
「「【クイックスラッシュ】っ!!」」
《クォーツドラゴン》がブレスを吐くと《END・BEAST》の脚に命中し、当たった部分が結晶化していってその場に拘束する。その後ミナとサナが2人同時に【クイックスラッシュ】を発動し、《END・BEAST》の胸を十字に斬り裂く。《キラー・フランベルジュ》に付属している【破壊者】で与えたダメージはかなり大きい。
『……ベリー、あのモンスターのレベルは200です』
「うん、油断はしないから安心して」
『はい、では私は皆さんが予測出来ないような攻撃を警戒しておきますね!』
「お願い。【真・閻解ノ燈太刀・激流纏・高霎】……」
苺は心配するローゼにそう言うと《鬼神ノ太刀・真閻》のみを納刀してチャージを開始する。
「サナ、追撃!」
「わかってるよ!」
ミナとサナは続けて縦横無尽に《END・BEAST》の身体を斬ってダメージを蓄積させていく。
『【水晶柱】!』
さらに《クォーツドラゴン》が床からいくつもの水晶の柱を出現させて《END・BEAST》を囲み、拘束状態を継続する。そして双子はその出現した柱を踏み台にして高い位置にある頭や背にも斬撃を喰らわせる。
「【水刃】、【真・閻解ノ燈太刀・激流纏・三途川】……!」
苺は高霎をチャージしているので行動が制限されているが、《燈嶽ノ太刀・真閻》でスキルによる斬撃を飛ばすことで攻撃する。
『グルォオオオオオッッ!!!』
『ベリーっ! スキル発動の予兆を感知しました!』
「高霎……ッ!」
《END・BEAST》が咆哮すると部屋の雰囲気が一変し、薄暗くなる。そして、ローゼが予兆を感知したことを苺に伝えた瞬間にチャージしていた【真・閻解ノ燈太刀・激流纏・高霎】を解放し、《鬼神ノ太刀・真閻》を瞬時に抜刀する。
「スキルが発動する前に……! 【焔烙】ッ!」
部屋を縦横無尽に駆け巡りながら、高霎を1連、2連と連撃をどんどん重ねていく。その最中で苺は《燈嶽ノ太刀・真閻》を握る左拳で《END・BEAST》の喉元を殴ると、【焔烙】を発動する。そして《燈嶽ノ太刀・真閻》に【赫灼ノ陽魂】と【雷公】を部分変身させ、まだ連撃を重ねていく。
『私達も追撃です! 【晶光】ッ!』
「「【ブレイクスラッシュ】っ!!」」
さらに《クォーツドラゴン》は身体に反射した光を倍増させて放つ【晶光】を発動し、双子は水晶で出来た床を粉砕する刃を飛ばす【ブレイクスラッシュ】を発動する。
「雷鏖降災陣ッ!」
苺は【真・閻解ノ燈太刀・雷公纏・雷鏖降災陣】を発動して災害級の雷を降らせる。《END・BEAST》のHPを削るためではあるが、直接当てるのではない。《クォーツドラゴン》が発動した【晶光】は“光”にカテゴライズされるものなら何だっていい、たとえ炎でも雷でも……光源であれば反射する。そして雷鏖降災陣は超高威力のスキルだ。それが倍増するとなると、この与ダメージは災害を超えたものとなる。
「「やあっ!!!」」
そして双子の【ブレイクスラッシュ】は威力が高い単発攻撃スキルだが、相手のステータスをランダムで一種類だけダウンさせる効果を持つ。さらに【破壊者】の効果で攻撃する度敵に感じさせる重さと破壊力が上昇していて、防御力も無視する。
『グルォロロロロロロロッ!!!』
「【霧村】___」
苺の高霎の連続発動による数百にも及ぶ超連撃と、雷鏖降災陣を利用した超威力の【晶光】、そして双子の【破壊者】で破壊力が上昇した【ブレイクスラッシュ】……ここまで連撃が重なれば【焔烙】の“連撃が重なれば重なるほど敵の受けるダメージが増えていく”という効果はかなり大きいはずだ。あとは残ったHPを削り切るために【霧村】でHPとMPを吸収、【焔烙】の持続ダメージもあって《END・BEAST》のHP一気に減っていく。
「す、すごいです! あんなに強そうな敵の攻撃をひとつも受けることなく倒しました!」
「す、すごい! あんなやばそうな敵をこんな一瞬で倒すなんて!」
ミナとサナはぴょんぴょんと飛び跳ねて苺に抱きつく。……しかし、苺と《クォーツドラゴン》はじっと一点を見つめたままだった。
「ど、どうかしたんですか?」
「ど、どうかしたの?」
「いや……多分、終わってない」
『えぇ…まだです。まだ……終わりは齎されていない』
不安げに聞いた双子に、苺と《クォーツドラゴン》は答える。
その瞬間、光の粒となって消えかかっていた終齎の獣 《END・BEAST》は、まるで逆再生された映像でも観ているかのように元の形へと戻っていった。




