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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
真章前編:Not Game Online

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真編・第19話【安息を願う】

・*・:≡( ε:)待たせたな!((殴

 苺の目が覚めて、皆が安心していると精神世界で倒したはずの《ヘファイストス・ユーベル》が動き出す。


『ア……いイ、素晴ラシい 魂だ 欲しイ』


 いや、何か様子がおかしい。まるで魂が抜けたような目をしているのに、ただならぬ殺意が苺達を刺す。


「こいつ…全員戦闘態勢! なんかヤバい雰囲気だぞ!」


「っ、【チャージショット】!」


 大斗の言葉に、苺達は再度武器を構える。そして鈴は《ヘファイストス・ユーベル》の脳天目掛けて【チャージショット】を放つ。


『オ前ハ イラヌ』


 《ヘファイストス・ユーベル》はそう言うと【チャージショット】を弾き、身体から大量の血液を噴出する。その血液は《ヘファイストス・ユーベル》の手のようになると鈴に向かっていく。


「【絶対回避】ッ!」


「っ、避けきれねぇな! 【オートガード】ッ!」


 一撃目を回避した鈴に、大斗が【オートガード】を発動して追撃を防御する。


『ア……Aアぁaaア!!! 魂ヲ寄越セェeeェェ!!!』


 《ヘファイストス・ユーベル》がそう叫ぶと飛び散った自身の血液が形を変化させ、全身を包むように纏わりつくと、身体のデータが書き換えられる。


《ヘファイストス・ユーベル・ソウルイーター》


 それが彼の新しい名とそれを象徴する身体だ。

その身体は痛々しくも禍々しい身体になり、今だ噴き出ている血液も出た瞬間に鎧のような不気味な何かに吸収される。


「なんでそこまでして苺の魂が欲しいッ!」


『グォォオオオオオッッッ!!!』


 鈴の言葉ももはや届いていないようで、《ヘファイストス・U・S》は物凄いスピードで苺へ接近する。


「【鬼神化】ッ!」


 すると苺は【鬼神化】し、《ヘファイストス・U・S》の勢いを止める。足が地面にめり込むほどの強い衝撃に、苺は一瞬苦渋の表情を浮かべる。


『ガg…グアaaa……ッ!』


「苺っ…!」


「もう、休んでください…」


 苺はそう言うと《ヘファイストス・U・S》の首を斬り落とした。HPもほとんど削れていたようで《ヘファイストス・U・S》は即死し、首の切り口から残った血液が噴出して血の雨となった。


「…また皆と楽しく暮らせる世界に戻すためだけど…やっぱり、命を奪いたくないよ…」


 光の粒となり消滅した《ヘファイストス・U・S》が居た場所をじっと見つめながら苺はそう言った。


「仕方ないんだよ…苺、大丈夫だから…苺がそんなに考えることじゃないよ」


 鈴はそう言って苺の頭を撫でる。


「鈴……うん、帰ろっか」


「…うん」


 苺と鈴の会話が終わると、皆はその場を後にして《ホーム》へ帰った。




* * *




(あの刀…よくわからないけど凄く馴染んでた…ずっと昔に…ううん、むしろ__。うーん……やっぱりよくわかんないな……)


 夜、ベッドで寝そべりながら苺は思考を巡らせていた。例の刀のことも気になるが、残りのオリュンポス十二神をどう対処するかだ。そろそろ無傷で攻略するのも難しくなってくるだろう。


「確かあと残ってるのは…アテナ、アルテミス、ポセイドン、ヘラ、そしてゼウス…5体か……あれ? でもこれじゃあ十三神? あ、でもそっか、ヘスティアがオリュンポス十二神に入れなかったディオニュソスを哀れんでその座を譲ったとか聞いたことある…。それに十三神以外のモンスターも…居るよね」


 つまり特例で入っているので十二神ではなく十三神となるのだが、やはり用意するモンスターは多いほど良いのだろう。もちろんオリュンポス十三神以外のボスモンスターを用意されている可能性もある。しかしそこに何かイレギュラー要素を感じて、苺に不安が押し寄せる。


「…スキルリストオープン」


 苺がそう言うと取得したスキルの一覧表が出てくる。そこには沢山のスキルが書き込まれていた。思い返せば今まで戦闘中にどんどん取得していた。取得し、頭に浮かんだスキル名を言っただけなのだ。


「なんで取得したスキルがどんなものかわからないのに…ちゃんと使えたんだろう?」


 勘か、それとも未来からの贈り物だろうか。__すると部屋の扉が『コンコン』とノックされる。


「…苺、起きてる?」


「うん、起きてるよー! 入ってどうぞ~」


 ノックしたのはどうやら鈴のようだ。何故か少し身体をもじもじさせながら部屋に入る。


「その…この歳でこんなこと言うの恥ずかしいんだけど…えと、い……」


「い…?」


 鈴は顔を赤くし、目を泳がせる。


「い……一緒に寝ても! いい、かな…って…」


「それは全然いいよ~! でもどうしたの?」


「今日…苺が急に倒れちゃったでしょ? その時私…苺が死んじゃったんじゃないかって…怖くなって…だから」


「心配してくれてるんだね、ありがとう鈴…私も今日は人肌で暖まりたい気分だよ…だから一緒に寝よっか」


「うん、ありがと…」


 少々珍しい鈴の態度に驚きつつも苺は掛け布団を上げて手招きする。


「……苺の香りがする」


「え? そうかなぁ? 自分じゃわかんないね……、ねぇ鈴、明日、天気が良かったらどこか行こうか」


「ふふ、そうだね…たまには息抜きしないとね、じゃあおやすみ、苺」


「うん、明日はいい日になるといいね…おやすみ~………すぅ……すぅ……」


 そう言うと苺は疲れていたようですぐに寝てしまう。すると鈴は静かに苺に向けて言う。


「……苺、もう苺に無茶はさせないよ…全部、私が受け持つから……苺は皆を笑顔にしてね…」


 そう言い終えると鈴も目を瞑り、眠りに入った。


 今夜は夜空が美しく、穏やかな風が吹いている。明日はいい日になりそうだ。

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