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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
真章前編:Not Game Online

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真編・第12話【もう1つの防衛戦】

 これは、苺達が《デュオニュソス・ユーベル》《デメテル・ユーベル》《ヘルメス・ユーベル》の3体と戦っている最中に起きた出来事である____。




* * *




「ッ、来やがったか!」


 警報が鳴り響くと同時に士狼はそう言って勢いよくイスから立ち上がる。


「六山さん、すみません…戦力になれなくて…」


「四舞、んなこと気にすんな、お前はその怪我を治すことに専念しろ」


「…はい……六山さん、死んじゃ嫌ですよ…?」


「ハァー、わーってるよ、安心しろ」


 士狼は《HS・インフレイム》を手に持つとそう白に言う。


「行ってくる」


「はい、待っています」


 白の言葉を聞くと、士狼は部屋を出て、戦闘に向かう。急がなければ苺達が危険だと思ったのだ。


「……違う、何か違うな…」


 しかし、士狼は走る足を止めて空を見上げる。慌てふためく周囲の人達の会話から察するに、敵は3体、《バベルの塔》方面の門に攻めてきているらしかった。

 ここ《クインテットタウン》には街全体をを囲む壁に、5つの門がある。凡そ北西、北東、南西、南東、そして北に門があり、タワーと同じく結ぶと☆形になる。《バベルの塔》は北西位置にあるため、オリュンポス十二神モンスターは北西門付近に居ることになる。だが、3体も居るのなら別の門を攻めて戦力を分散させることも出来るはずだ。もっとも協力し合うことで真価を発揮するというなら話は別だが。


「……行ってみるか」


 士狼はそう言って、真逆の南東門へ向かう。それはただの勘だった。だが、どうしても気になった。3体が北西門1つを襲うとなるとその門だけに戦力は集まる、そうすると他の門はほぼ無戦力になるのだ。自分の勘を頼りに南東門へ向かう士狼は、南東へ向かうに連れて周囲の人達が自分とは真逆、北西方面へ向かっていく様子に足を速める。


「ッ!? これは…!?」


 南東門に到着した士狼が目にしたのは、既に街中に侵入し、人を両手の槍で串刺しにして殺していく、《アーレス・ユーベル》の姿だった。両手に持つ槍は大きく、その身体も巨人のように大きい、周りの建物もそれによって破壊されていた。


 ただ何よりも、槍に刺されてずるりと抜け落ちる人の身体が一目見てから頭から離れない。地面に落ちた身体は光と灰になり消滅する。辺りにはまだ新しい真っ赤な血が残っていた。


「テッメェェ!!!」


 他人の事など、正直どうでも良かった。しかし士狼は、目の前で成す術もなく殺されていく人達を見て恐怖より怒りが沸いてくる。それに既に街に侵入されている以上、ここで食い止めないとさらに被害は拡大していく。士狼は本能に任せ《アーレス・ユーベル》をぶった斬る。


「コイツ…! ッチ、1人じゃ厳しいか…ッ」


 《HS・インフレイム》の刃は通った。しかしダメージはあまり減っていないように見える。


『◎▽◇○●◎◎◇』


 何かをブツブツと唱えるように言った《アーレス・ユーベル》は、直後右手の槍を天に掲げ、黒い球のようなものを作りランダムに発射する。


「危ねぇ逃げろ!!!」


「ひっ!? ッ、ぐああああああ!!!!!」


 その黒い球は、逃げ遅れた一人の男性に直撃した。《NGO5》にあった装備をしていたので元プレイヤーだったのだろう。レベルも60は確実にありそうだった。しかし、男性はその黒い球と同じ様に暗黒のような真っ黒に変色した瞬間、消滅した。


「あの攻撃…まさか…!」


 士狼は自身に迫る黒い球を回避する。間違いだとは思いたいが、例えレベルが100のモンスターがレベル60のプレイヤーに攻撃しても、よっぽどの事が無ければ即死はあまりしない。つまり、この《アーレス・ユーベル》は…。


「即死攻撃か……厄介…いや、厄介どころじゃねぇか!」


 即死攻撃、《NGO5》でも、極々一部のモンスターだけ使用していた攻撃だ。それでもその攻撃は比較的避けやすかった。しかしこの黒い球は曲がりくねったり、直線に突撃してきたりと動きが特殊で非常に避けづらい。


「一番面倒なのに当たっちまったかッ! 【バーニングスラッシュ】ッ!」


 しかしそれでも士狼は怯えることなく的確に攻撃する。【バーニングスラッシュ】の効果で火傷状態にもし、多いHPを確実に減らしていく。


「【パワーアップ】、【スピードアップ】!」


 敵の隙が出来たら強化系スキルを発動し、即死攻撃にも注意しながら攻撃する。


『◆◆●$$♂●▲¥¬∀!!!!!』


 《アーレス・ユーベル》は士狼を踏み潰そうとしたり、槍を投げて攻撃するが、中々当たらずイラついている様子だ。


『o⊆∀d〓figf〒▽↓tgywo@○●oydofho$+∞£ziッ!!!!!』


 今までのモンスターとは明らかに違う、物凄い怒りの咆哮を街中に響かせると《アーレス・ユーベル》は黒い球を大量に生成して士狼を狙う。


「怒りてぇのはこっちだバカ野郎ッ!!!」


 士狼はそう叫ぶとその場から消えるように走り、《アーレス・ユーベル》の足を踏み台にして街の建物の残骸から残骸へと飛び上がる。


『↙★▶▽◇❉θζ$!?』


「【フルチャージ】ッ!」


 士狼は【フルチャージ】を発動して《アーレス・ユーベル》の顔面を狙って建物の残骸を踏み台にさらに飛び上がる。


「【オーグメント・エクスプロージョン】ッ!!!」


 【オーグメント・エクスプロージョン】を発動すると、士狼はまず《HS・インフレイム》の爆炎で超加速し、《アーレス・ユーベル》の顔面を刃の部分で殴るように攻撃すると、周囲が空気の振動で揺れるほどの威力の大爆発が起こった。


『*・/…A厂●Ⅹ…Ъ▽Р✝ФП◆……』


「人間舐めんな…ッ!」


 士狼はそう言うと《HS・インフレイム》を振り、埃を払う。

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