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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
真章前編:Not Game Online

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真編・第6話【これからやること】

『◎□↓◇□▲¬▼↓!!!!!』


 2つの爆炎をまともに喰らった《アプロディーテ・ユーベル》は呻きながら暴れだす。


「【覇気】!」


 しかし苺が【覇気】で動きを止め、全員で総攻撃を仕掛ける。

 大斗や理乃、士狼は、ダメージを負って傷付いた頭を重点的に攻撃し、鈴、正樹、林檎は機動力を落とすため機翼を攻撃して破壊を試みる。その間に苺は【閻魔】をチャージし始める。


「起き上がるよ! 【残刃解放】ッ!」


 《アプロディーテ・ユーベル》が【覇気】の効果が切れて起き上がろうとすると、皆は一旦後方へ離れる。そして正樹は予め発動していた【残刃刀】を解放してダメージを蓄積し、起き上がった《アプロディーテ・ユーベル》を怯ませる。


「【フルチャージ】、【オーバーチャージ】、【リミットブレイク・チャージ】! 苺、あいつにぶちかましちゃって!」


 鈴が苺の【閻魔】を【フルチャージ】などでさらに強化すると、そう言って【クリンゲル・シックザール】を発動し、《アプロディーテ・ユーベル》の防御力を低下させて後ろへ下がる。


「ハァァァアアッッ!!!」


 叫びながら、【閻魔】を解き放つ苺。《アプロディーテ・ユーベル》は渦巻く炎に包まれる。さらにそこから、苺は飛び上がって【閻魔】を連発していく。


「いち! にい! さーんッ!」


 そう言って苺は、頭、胴、機翼に3発の【閻魔】を撃ち込む。


「…っと!」


 苺は地面に着地すると、《鬼神ノ太刀・真閻解》を納刀し、体勢を低めにしながら【激流】、そして【真・激流ノ太刀・絶対零度】による【氷華】をノーボイスで発動する。


「【真・氷華ノ太刀・氷結地獄】ッ!」


 力強く地面を踏み込み、一直線に《アプロディーテ・ユーベル》に突っ込んでいった苺は、【真・氷華ノ太刀・氷結地獄】を発動して《アプロディーテ・ユーベル》の胴体を斬る。斬った瞬間、街も凍るのではないかと思うほどの冷気が発生し、《アプロディーテ・ユーベル》は【閻魔】の炎と共に凍り付いてしまう。


 そして数秒後、氷に亀裂が入ったかと思うと氷は大きく割れて崩れ、《アプロディーテ・ユーベル》は光の粒となって消滅した。


「ナイス、苺!」


「ナイス! 鈴!」


 その姿を見た街の人々は、一斉に歓喜の声を上げる。口々に「勇者だ!」、「希望だ!」と言う。


「…なあ、ここじゃなんだ、話もあるしお前達のホームに行っていいか?」


 士狼は武器を仕舞ってそう言う。確かに話すこと、そして気になることもいくつかある。


「はいはーい、退いてくださーい、通りまーす」


 そう言って鈴が道を人混みを掻き分けながらホームへ向かう。その間も、「英雄」だとか「神殺し」だとかいろいろ言われていた。




* * *




 人混みを通り抜け、やっとのことでホームに辿り着いた苺達は、ソファーに座って、お茶を飲み一息吐くと、話始める。


「んじゃ、改めて、俺の名前は六山士狼だ、好きに呼んでくれ」


 士狼は改めて自己紹介をする。皆もそれぞれ自己紹介をし終えると、早速本題に入る…前に。「気になる点が1つ」と鈴が右手を上げて言った。


「…士狼さん、ハクはどこに?」


 そう、鈴はいつも士狼の隣に居た、ハクが居ないことに気付いたのだ。


「あぁ、大丈夫だ一条、お前さんが想像してる最悪の事態にはなってない」


 士狼の言葉に、鈴は“死んでしまったのではないか”という最悪の事態は逃れていることにホッとする。


「でも…()()()()()()()なってない…って?」


 正樹が士狼にそう聞くと、士狼は簡潔に話す。


「ハク…まぁ本名は四舞白(しまはく)っつーんだが、ちょっと前に俺と四舞の二人で、フィールドに出てな、そんときに重傷を負ってな、今は治療中だ」


 士狼と白も戦うことを選んだのだろう。しかし現実だと認識して行う戦闘に、白は緊張しすぎてそれが隙となり、モンスターの攻撃を受けてしまったのだ。


「四舞さん…早く治るといいわね…」


「あぁ、まぁお前達も気を付けろよ」


 士狼は苺達に気を付けるよう言うと、鈴が本題に入る。


「じゃあ、今後のことについて、話そうと思う」


 そう言うと鈴は端末を操作し、モニターを出すと、ローゼが話始める。


『それでは、私から言わせてもらいます、まず、先程の戦闘で倒した《アプロディーテ・ユーベル》、アプロディーテは愛と美の女神やオリュンポス十二神の1人として知られています、恐らく五島はオリュンポス十二神をモチーフとしたユーベル化モンスターで私達に対抗してきたのでしょう』


 つまり、これからはこういったボスモンスターが街に襲撃にやって来るということになる。


「オリュンポス…? ってあれか、ゼウスとかの」


「街の防衛戦になるのかしら…? でも、その五島ってやつがこの世界を好きに出来るんなら倒したってまた来るんじゃないの?」


『その可能性は大きいです、ただ、一番厄介なのは…』


 倒しても倒しても、復活してまた襲ってくる。その可能性も高いとローゼは言う。しかし一番厄介となるのは、やはり……。


「“悪魔”…だね、いや、“悪魔”だけじゃない、世界を好きに出来るなら、私達のHPを0に、つまり手に触れもせずにいつでも私達を殺せる可能性もある……」


 鈴は自身の予想を真剣な表情で言う。世界支配の権原を持つ五島に、近付くことが出来るのかも危うい。


「でも…そうしないのは……?」


 理乃がそう疑問を問う。そうすればもう終わるのだ、しかし、五島はそれをしない。その理由は。


『ベリーが居るから…でしょう』


 ローゼがそう答えた。


「な、なんで苺が居るからなの?」


『実は五島と少しの間だけ会話をすることが出来たのですが…五島は八坂家を強く憎んでいるようでした、恐らくは……ベリーを苦しめて殺したい、と思っているのかもしれません…』


 そのローゼの言葉を聞いた苺は、胸をキュッと押さえて涙を堪える。しかし今まで他人からそこまでの憎悪や嫌悪を受け取ったことがない苺は、涙が溢れて、吐き気もしてくる。


『す、すみませんベリー! こんな話…』


「う、ううん…大丈夫、だよっ、ローゼ……大丈夫だから、続けて」


 苺は胸を押さえながら、声を絞り出してローゼに言った。


『……はい、では、私の予想ではこれからモンスターの侵攻が来るでしょう、そして、なんらかの方法でベリーや、皆を殺すつもりです……なので、これからやることは、“街の防衛”が主になってくると思います、それから…なるべく皆さんはベリーから離れないようにしてください』


 こうして、これからのやることが決まった。オリュンポス十二神というのだから、12体のモンスターが居るのだろう。それを全て倒し、レベルが100になったら《バベルの塔》へ向かい、最上階に居ると思われる五島のところまで登る。その間、苺とは離れてはいけない。


 そして士狼は白の元に帰り、苺達は戦闘の疲れもあることから、その日は早めに就寝した。

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