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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
真章前編:Not Game Online

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真編・第1話【真実を明かす時】

いろいろあってこっちで一貫することにしました。(投稿遅れてるのは申し訳ない…)

今ある真編を移し終えたらあちらを削除いたします。


ここから完全シリアス注意です。

 日本時刻20:18…。

 ここはアメリカ、《NGO》本社の地下施設。

 炎の煙…そして火薬の臭いと血の臭いで充満していた。


 そんな中、八坂重郎と共に、一条雅信が地下施設の部屋に隠れながらノートパソコンに盗んだデータを読み込ませていた。


「まだ諦めてなかったか……五島ッ!」


「重郎、読み込めたぞ! ……やはり《現実仮想世界化計画》のようだな」


 読み込めたデータ。それは《現実仮想世界化計画》というもの。

 五島文桔との関係性は8年前、いや、それ以上前からだったのかもしれない。八坂重郎と一条雅信がまだ若い頃、組織で五島文桔とは同期だった。

 一時は仲も良く、いい仲間だったが、ある日、五島文桔が密かに企んでいた《現実仮想世界化計画》を知った八坂重郎と一条雅信は危険と判断しそのデータを破壊した。


 しかしさらに何十年と経ち。苺が言っていた八年前、《現実仮想世界化計画》がほぼ完成状態だったのを知ると部隊を結成し半ば強引に計画を阻止した。


 だが8年後……つまり今日この日。遂に《現実仮想世界化計画》が完成してしまったのだ。


「『世界そのものをデータ化し、全人類を仮想空間で保護。これにより人類は滅びず、地球の寿命や天災までも操作可能となる。』……か、それだけなら、まだ人類の新たな進化として受け入れよう……だが問題はこれを全て五島が仕切るということ、あいつの頭はネジがぶっ飛んでる、もし反抗団体が現れればそいつらを問答無用で殺すだろう……それにこれは、言ってしまえば五島が天災を操り、どんな人間の生死も操作可能ということだ」


「いや、待て、それにしたってそんな全ての人間という膨大なデータ、どこで保護をするんだ?」


「それはここに書いてあるな……っとまずい、嗅ぎ付けられた、逃げるぞ雅信」


 足音に気付いた重郎はそう言って拳銃を構えながらゆっくりと扉を開き、出口へ向かって走り出す。


「居たぞッ! 捕まえろ!」


 警備員が重郎と雅信に気付くとそう言って仲間を呼んで追い掛ける。


「雅信、援軍は!」


「さっき全滅したのが援軍だ! もうわしらしか残ってないッ!」


 そう、あくまで個人的に危険視していたが、組織全体で動かざるを得ない状態になっていた。充満した血の臭いは地下施設の警備員達と組織の戦闘員達の争いによって出た血液や死体によるものだ。


「ッ!? ぐあああッッ!!」


 突然施設中に発砲音が2回響き渡り、雅信が悲痛に叫んだかと思えば、足から勢いよく崩れ落ちる。


「雅信ッ!」


「っ、こいつらはなんとかしてすぐ追いかける! お前はデータを持って行けッ!」


「お前のその足でどうなんとかして追いかけるつもりじゃ!」


 右足の太股とふくらはぎに1発ずつ弾丸を受けた雅信。年齢も考えると今までの戦闘で体力も相当消耗しているはずだ。


「行けッ! 早くその事を誰かに伝えるんだッ! なんとかすると言ったらなんとかする! お前は今やるべきことだけを考えろッ!」


「……ッ! わかっている……早く来ないと置いてくからな! さっさと追いつけよ!」


 重郎はそう言い残すとノートパソコンを抱えると走る。

 そして、重郎の姿が見えなくなると雅信は一言呟いた。


「……ありがとう重郎…お前は最高の友だ……ありがとう、鈴……今まで全く構ってやれなくてすまなかった…お前は自慢の孫だ……じゃあな…ッ!」


 雅信はスーツのポケットからスイッチを取りだし、別れの言葉を言うと、スイッチを押した。




* * *




「ハァ! ハァ! 出口に誰もいなかったのは予想外じゃが…まぁいい……雅信、早く追いつ……ッ!?」


 重郎が外に出てそう言った直後、《NGO》本社の地下施設は爆発した。熱風と爆音が重郎を包み、爆風で身体が吹き飛ぶ。


「っ! 雅信、雅信ーーーッッ!!!」




 直後、重郎は理解した。仕掛けておいた爆弾を雅信は捨て身で起動させたのだと。しかし地下施設が崩れたならいずれこのビルも崩れるだろう。早く退避しなくてはならない。


「くそッ!」


 重郎はそう言うとその場を離れるように走り始める。


「ッチ! ……組織への連絡が着かんッ! こんなときに! あと誰か伝えられるやつは……!」


 重郎は走りながらスマホを操作して連絡を取ろうとするが、組織内も混乱しているようで連絡が着かない。必死に電話帳を探ぐると、一人だけ、このことを確実に伝えられる人物がいた。


「い、苺……」


 孫である苺とは週に1回は電話をする。1度だってその電話を無視したことはない。時間もない、連絡するなら一人だけだ、しかし、こんなことを孫に押し付けるような形になっていいのだろうかと重郎は迷った。


「……すまん苺…ッ!」


 少し悩んだ末に、重郎は地面にパソコンを置いて開くとパソコンを操作しながら苺に電話を掛ける。


『……もしもしお爺ちゃん! 八坂苺、今日も一日元気に過ごしました!』


 いつも通り、元気そうな苺の声を聞いて、重郎は焦る心が落ち着いていくのを実感した。


「あぁ苺、わしも元気じゃ……そして押し付けるようで悪いと思っているが緊急事態じゃ、わしの部屋のパソコンのメールを確認してくれ、パスワードは0413……メールにわしの仲間の電話番号も載せてある、そいつにそのメール内容を伝えてくれ………苺、愛しているぞ」


『お、お爺ちゃん…? わ、私もお爺ちゃんのこと大好きだよ!』


「あぁ、ありがとう、そして…すまん……」


『え、お爺ちゃん! どうしたの! ちょっと待っ……!』


 重郎は一点を睨みながら静かに電話を切った。


「いいのか八坂? 孫との最後の会話だぞ?」


 重郎の目の前に現れた五島が嘲笑うかのようにそう言う。


「……お前、なんでこんなことをする、世界のデータ化なんて出来るわけないじゃろう」


「出来るさ、まぁ確かに…最初は無理だと諦めた……だがな八坂、神はオレを認めてくれたんだ」


「何を言っとる…?」


 五島は重郎のその言葉に、嗤いを溢す。


「ククッ…簡単だ、とても簡単な話だよ……オレは神になる。この世界をデータ化し、オレが作った仮想世界、《NewGameOnline5》と融合させ……オレがその世界を支配する! 嗚呼、なんて素晴らしい、最高だ! この為だけに、オレは今まで生きてきたッ!」


 五島は大きく嗤いながらそう宣言した。


「なぜそうも支配したがるッ! そもそも全てのものを1人で管理できるわけないだろう!」


「支配する…理由…? あー、あったような気がするが……何だったかな……まぁいい、もうひとつの質問に答えよう。管理は出来るさ、それにオレが作ったシステムで半自動化出来る」


「わからない…なぜそんなことをしたがるんだ…?」


「わからなくて結構、もうその世界は完成する…説明する時間はない……だが礼を言おう、ありがとう八坂重郎、お前は過去に二度、そして今回で三度もオレの邪魔をした、だがそのおかげでこの計画は完璧になった……、しかし…神の邪魔をする愚か者には罰を与えなくてはならない」


 五島文桔はそう言うと何もない空間から、現代のものとは遠くかけ離れた形状の銃を取り出す。


「な、なんだ…それは……?」


「一応、現実世界に仮想世界のものを顕現できることは証明してみたが……これだけではわからんか、お前にも見せてやりたかったが……残念だ、神の審判の結果は変わらない」


 そう言って五島文桔は引き金を引くと、半透明の弾を発射した。


「なっ、なんだ!?」


 半透明の弾は重郎に接触すると風船のように膨張し、中に重郎を閉じ込める。


「オレの邪魔をした罪だ、お前の孫も殺して八坂家の血筋を完全に途絶えさせよう、さらばだ八坂重郎…あの世で孫が来るのを待ってるんだな」


「五島…貴様ァァァーーッッ!!!!」


 五島の言葉を聞いた重郎が叫ぶが、五島は無視して指を鳴らすと、風船のように膨張して重郎を包んでいた半透明の弾は白く硬化し、中の重郎を潰しながら元の弾の大きさまで小さくなっていく。

 そしてやがて…弾は重郎と共に虚無に消えた。


「……さて、うるさい虫も潰した…さあ、もう《NewGameOnline》というゲームは終わりだ、ここからは《NotGameOnline》という名の新しい《NGO》を始めようか…? ククッ…ハハハハハ!!!!!」


 そう嘲笑いながら、五島文桔は新世界の誕生を心から喜んだ。もう五島に人の心など無い。その心、その瞳には神として、世界を支配することだけが映っていた___。

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― 新着の感想 ―
[一言] SAOより非道(笑)
2020/06/29 11:04 退会済み
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