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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
第五章:アンファング

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第121話【勝華爛漫】

 ベルの【クリンゲル・シックザール】により麻痺させられていた《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》が再び身体を動かし始める。


「皆さん、触れれば即死と思って行動してくださいっ、回避を最優先に!」


 攻撃力が未知数、測定不能となった今、そう考えて行動したほうが安全だろう。それにもしかしたら《ローエンフリューゲル・朱雀・U》の時のように、街に強制送還されてもおかしくはない。


「ああ! とりあえずヘイトは俺がとる! フィール、一緒に来てくれ!」


「ん、わかった」


 敵の攻撃を防御するのなら、《聖剣士》であるソラと【反撃者】によるカウンターができるフィールが適任だ。


「なるべく一人にならないようにしましょう! 何があるかわからないわ!」


 そのアップルの意見はもっとも重要だろう。《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》の動きはプログラムのものというよりは人間味のある、つまり自身の考えがある行動に見える。一人になったところを狙われる可能性は高いだろう。


「賛成だよ! ヘイト担当はソラ君とフィール、補助担当はアップルとローゼ、ということは……私とベルとバウム君は主に攻撃担当だね!」


「そうだね、私は一応補助班の傍で援護射撃をするよ、単純に火力だけならフィールだけど、ただ火力で押してもアイツは倒せない、ベリー、バウム君、よろしく頼むよ」


 ベリーとベルはそう言って戦闘態勢を取る。

互いを信じているからこそ任せられる。頼もしすぎる仲間とリーダーだ。


「短期決戦で行くよ! 皆! 【真閻解】ッ!」


 ベリーはそう言うと【真閻解】を発動して、髪も装備も、全て鮮やかな赤に染まる。


「ベリー、まだ黒くなっているけど……本当に大丈夫?」


 バウムがベリーの《鬼神ノ太刀・真閻解》を見て言う。ユーベルウイルスで剣先が黒くなっているが、今のところ異常はない。だがむしろそれが怖い。


「多分大丈夫だと思う、けど、もし何かあったらお願いできるかな? バウム君」


「うん、何か起きる前に止めて見せるよ、ベリー」


 二人はそう言って会話をすると、戦闘を始める。



* * *



「【カウンター】……!」


「【カウンターシールド】ッ! 【神技・盾突き】ッ!」


 フィールとソラが《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》に対して攻撃、そして防御をうまくこなし、自分達をうまく狙わせる。


「準備完了!」


「こっちもチャージ完了だよ!」


 アップルとローゼの補助により攻撃力を上げたバウムとベリーがそうベルに向かって言う。


「よし、【クリンゲル・シックザール】ッ! 第一攻撃開始ッ!」


 そう言ってベルが自身のHPを70%削り、《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》の防御力を低下させると第一攻撃を開始させる。


「【残刃解放】ッ! 【刃裂(ばれつ)一閃】ッ!」


 そしてまずバウムが《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》の先に両脚に残しておいた【残刃刀】を解放し、【刃裂一閃】を顔面、主に目の部分を狙って放つ。

 【刃裂一閃】は見事《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》の目に命中すると、風船のように、しかしグレネードのような威力で破裂する。

 それにより《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》は目を抑える。さらに【残刃解放】により、両脚が崩れて地面に膝を着く。


 そしてそれを見たベリーが納刀した《鬼神ノ太刀・真閻解》を押さえ付けながら跳躍して《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》に接近する。


「……ッ! 【真・閻解ノ燈太刀・鬼神纏・閻魔】ァァァーーッッ!」


 素早く抜刀し、噴き荒れる炎の威力を利用してスピードを付けたベリーは、そう叫ぶように言いながら《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》の後頭部を狙って、フルチャージした【真・閻解ノ燈太刀・鬼神纏・閻魔】を放つ。


「ハァァアアアーーーッッ!!!」


 《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》の硬い皮膚を気合いで斬って通り過ぎると、ベリーは身を翻し再び燃え上がらせ、連続で【真・閻解ノ燈太刀・鬼神纏・閻魔】を発動させる。


「全員ベリーに続けぇぇーー!!!」


「【フルチャージ】、【ベシースング】ッ!」


「【ニーズヘッグ】ッ! 【ポイズンブレス】!」


「【神技・竜車輪】ッ!」


「【エクスカリバー・フィニッシュ】……!」


 ベルの合図でローゼ、アップル、ソラ、フィールの四人がスキルを放つ。


「【心月命斬】ッ!」


「【フルバースト】ッ!」


 そしてローゼ達四人の攻撃で怯んだ《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》に、バウムの防御貫通の【心月命斬】とベルのスナイパーライフルによるレーザー砲、【フルバースト】で追い撃ちをかける。


「攻撃、来ます!」


 ローゼのその合図で全員後方へ大きく跳躍し、《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》の腕による凪ぎ払い攻撃を回避する。


「バウム君、準備は!」


「いつでもいいよ!」


 ベリーが再び《鬼神ノ太刀・真閻解》を納刀してチャージしながらバウムに聞く。もちろんバウムは《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》が脚を崩した時すでに【残刃刀】を発動しておいた。


「皆! 私の攻撃力底上げして! 次で決めるからっ!」


 ベリーはチャージしながらそう皆に言う。防御力を低下させてベリーが連続でスキルを使ったおかげか、今の攻撃で《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》のHPは8万減った。つまり残りは17万ということになる。単純に計算すれば残り9万になるので、次で倒せるとは思わないが、ベリーはやると言ったらやるのだ。


「「「【パワーアップ】ッ!」」」


 ベル、アップル、ローゼが出来る限りベリーの攻撃力を上げていく。


「【授技・身体超強化】ッ!」


「……【創造・強化】、【パワーアップ】……!」


「【太陽ノ加護】ッ!」


 ソラもステータスを超強化する【授技・身体超強化】を発動する。フィールは強化スキルとして【パワーアップ】を【創造】して発動する。そしてバウムは攻撃力と火属性攻撃力を上げる【太陽ノ加護】を発動する。さらにアップルとローゼによりクリティカル率もプラスされる。


「【開放ノ術】、【正宗ノ技】……!」


 ベリー自身も攻撃力を上昇させる。が、しかし。


『Go▲z+g◆k*;so●■vj@s◆%lgk▼##▼hlッ!』


 《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》は強く、そして不気味な咆哮を上げたかと思えば、ベリーが浮き上がった。


「な、なんでぇ!?」


 ベリーはそう言って驚きながらも、チャージは止めない。


「っ! ベリーの刀が!」


 ベルがそう言って指を差す、全員がベリーの《鬼神ノ太刀・真閻解》を見ると、鞘が黒く変色していた。

 《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》がユーベルウイルスを操りベリーを、《鬼神ノ太刀・真閻解》を浮かせたのだ。


「うぐっ、腕の力がぁー!」


 《鬼神ノ太刀・真閻解》にぶら下がっているベリーはチャージしつつそう言った。

 すると高度の上昇が止まったかと思えば、急降下したではないか。


「まずい! あの高さじゃ!」


「僕が行きますッ! 【残刃解放】ッ!」


 バウムはすぐに【残刃解放】を発動し、《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》の脚を崩した。しかしベリーは《鬼神ノ太刀・真閻解》に引っ張られるように落ちていく。


「【満月】ッ! 【月光一閃(げっこういっせん)】ッ!」


 全身全霊をかけたバウムの渾身の一撃は、《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》の胸に向かって放たれる。だが、それは強靭な腕によって弾かれてしまう。


「まだだ! 【影断ち】ッ!」


 そう言ってバウムが再び縦に放った【影断ち】は弾かれた【月光一閃】に追い付くと二つに割った。

 そして分離した【月光一閃】の片方が再び《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》に向かい、その曲がりくねった禍々しい角を斬った。


『▼■▲▼▼●▲◆◆■▼ッ!?!?!?』


 角を斬られたのが予想外だったのか、《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》は頭の角があった部分を抑えて喚く。

 すると《鬼神ノ太刀・真閻解》に付着していたユーベルウイルスが消えていく。


「ッ! ありがとうバウム君! …(はや)きこと風の如く、(しず)かなること林の如く、侵掠(しんりゃく)すること火の如く、動かざること山の如し……!」


 ベリーはバウムにお礼を言うと、空中で態勢を建て直し、詠唱する。


「…【風林火山】ッ!」


 そう言って、《五老人ミニゲーム・ファイナル》で鬼から貰ったスキル。【風林火山】を発動する。【風林火山】は俊敏力、クリティカル率、攻撃力、防御力を一時的に3倍させるスキルだ。


 もうベリーの攻撃力はこれ以上は上がらないだろうというところまで来た。

 そしてこれが、正真正銘、最後の一撃となるのだ。


「これで、私達の勝ちだッ! 【真・閻解ノ燈閻(とうえん)真太刀・鬼神全真纏(きじんぜんしんまとい)勝華爛漫(しょうからんまん)】____ッッ!!!」


 《鬼神ノ太刀・真閻解》はその一瞬だけ変化し、《真・鬼神ノ太刀・燈閻》と成り、ベリーはより一層、いや、二層にも三層にも紅く美しく輝く。


「せやァァァーーーッッ!!!!」


 そしてベリーは強く、しかし優しく、縦一直線に紅い光を残しながら《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》を斬った。

 勝利の花が咲くのは、そう遅くはなかった。ベリー達の勝利を祝うかのように、《ザ・アンステーブル・ユーベルデーモン・A》は光の粒となって舞っていった…。


 背景に花火のような光の粒が舞う中、ベリーのその姿は荒ぶる炎の鬼神の如く神々しく。

 一輪の紅い花の如く美しかった____。

悪魔討伐ッ!



うまはじメモ!“勝華爛漫”

『美しく咲き乱れる勝利の花』という意味が込められている。

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