第115話【不穏】
出血大サービス(ブシャア)で一日に二話連続更新です!
ただの気まぐれです。
あと短めです。短めだったからさっさと更新したとかじゃ…ないんだからね!
「にしてもすっげぇデカイ部屋だなぁ」
「ん……暮らせる……」
苺の見舞いに来た大斗と理乃がそう言って病室の部屋を見る。
「だからって二人とも怪我はしないようにね」
「わかってるって、だがあのモンスター、ホントにヤバかったなぁ……即死攻撃なんて聞いてねぇよ」
「そうね、苺があれを倒したなんてちょっと信じられないわ……はい、あーん」
「あぁ~…ん! ありがとう林檎ちゃん!」
正樹は大斗と理乃にそう言いお茶を飲む。大斗もそれはもちろんわかっている。ただ《ローエンフリューゲル・朱雀・ユーベル》の即死攻撃技には驚いていた。
「失礼します、三嶋です……っとこれはまた大勢居ますね」
「また来ます」という宣言通り連日で三嶋が来た。
「ちょうど良かった、鈴さん、皆さんに前の話は?」
「あぁー、ここだけの話って言われたけど、私達のパーティーメンバー全員関係はあるから、話しておきました」
「なら話は早いですね、まずローゼが戻ってきました、本社でアップデートが行われていたようです、ただ、あまり元気はよくないみたいですね」
三嶋はそう苺達に伝える。元気はよくないようだが、戻ったことを聞いて、とりあえず安心する。
「それで、ですね……単刀直入に言うと、あなた達に依頼があります」
「依頼? なんのだ?」
「……第五階層を登ってください」
第五階層を登る、つまり第五階層をクリアするということだ。
「な、なんでまた僕達に…?」
「……第五階層ボス、実は今、社員はボス攻略を禁止……まぁプレイヤーが誰か一人でもクリアしない限りそれはダメなんですが、つまりまだ誰もクリア出来ていないんですよ」
そろそろ誰かクリアしてもおかしくない時期なのに、誰もクリア出来ていない……そう、難易度が物凄く高いのだ。それ自体に普通は何も感じないだろうが、三嶋の勘だ、ローゼの事といい、ユーベルの事といい、本社に対して不信になってきていた。
「ただの勘ですが、クリア出来るとしたらあなた達しか居ないと思いました、お願いします」
「んー、俺は別にいいけどよ、どうだリーダー?」
「リーダー? え、わ、私っ!? あっそうだ私だ!」
「そうだね……リーダーである苺の判断に任せるよ」
大斗と鈴はそう言ってリーダーである、苺に聞く。
「うぅーー! わかりました! いつかはクリアしたいしね!」
「あ、ありがとうございます…! 何もないなら良いんですが、何か嫌な予感もするので、慎重に行ってください、報酬は支払います」
こうして第五階層攻略を依頼された苺達、その依頼自体は何の問題もない。しかし、三嶋の勘はよく当たる。
例えば、“全て仕組まれている”といったものだ。
* * *
「………あぁ、社長……彼女達、第五階層をクリアするようです、どういたしましょう?」
ライ・スフィールは盗聴器片手にそう五島文桔に連絡を取る。
『そうか……問題ない、“アレ”を送れ、良いデータが取れる』
「はい、わかりました」
ライ・スフィールはそう言って電話を切る。
「さて、それでは準備をしますかね……」
そう言ってライ・スフィールはパソコンを開き、第五階層ボス、《ヴァールハイトテューア・シュピネ》を弄る。
「ワタシの家族のために、頑張るんですよ……」
そうライ・スフィールは言うと、エンターキーを打ち、《ヴァールハイトテューア・シュピネ》をユーベル化させた。




