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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
第五章:アンファング

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第109話【帰り道、森焦がす火鳥】

「高所恐怖症になるのはいいとして……雷はもう怖くない! うん! ベルびっくりするぞー! それにもう頭痛も怖くない! 新しいスキルも手に入れた! この調子で頑張るぞー! おー!」


 ベリーは一人、森の中でそう言って拳を突き上げる。

 もっと自身を鍛えて、第五階層にも居るというボス討伐に備える。すると鬼との戦闘でお腹が減ったのか、『くぅ…』という可愛らしい音が鳴る。


「あ、お腹空いちゃった……焼き鳥食べたい…な……え?」


 ベリーはお腹を擦ってそう呟くと、辺りの空気が熱くなるのを感じる。そして、ふと上を見上げると木々の間から炎に包まれる大鳥が目に入る。確かに“焼き鳥”だが……さすがのベリーもあれは食べたくない。


「あれなんだろう……って、えぇ!?」


 それは何か、その答えはベリーのメッセージログにあった。


『四神朱雀(すざく)の討伐クエストを開始します。』


 なんとあれが四神…朱雀らしい。


「え、えっと、うぇ!? こっち来てる~!!?」


 そしてどういうことだろうか、その場にはベリーしか居ないようで、四神《ローエンフリューゲル・朱雀》はベリーを発見するとその場所へ突っ込んでくる。


「あ、危ない……というか私一人だけなんて無理だよぉ!」


 ベリーはギリギリで回避するが、突っ込んできたせいで森の木の多くは焼け焦げてしまう。

 そもそも四神討伐クエストは複数のプレイヤーがランダムで専用フィールドに飛ばされる。しかし今回は他プレイヤーも居なければ、フィールドも専用ではなく、ベリーが歩いていた森のままだ。


「【鬼神化・激流】! 【水刃】ッ!」


 ベリーは火には水と、【鬼神化・激流】を発動し、【水刃】を放つ。しかし《ローエンフリューゲル・朱雀》まで【水刃】は届かない。さらに飛行スピードが速いので、届いたとしても当たるかどうかわからない。


「弓のほうがいいかな…? 【水龍ノ一矢】ッ!」


 ベリーは久々に使う《果ての弓》を装備し、【水龍ノ一矢】を放つ。《果ての弓》ということで、射程距離に問題はないが、矢のスピードが遅いのか《ローエンフリューゲル・朱雀》の翼を少し擦る程度だった。


「見通しも悪いし、ここじゃあ不利だ……草原のほうに誘導しよう…!」


 ベリーは草原に向かって森を走る。途中で矢を放ち、うまく《ローエンフリューゲル・朱雀》を誘導する。


「よし、出た! 【水龍ノ一矢】ッ!」


 ベリーは森を抜けると、【水龍ノ一矢】を【鬼神化】の効果により連続で放つ。


「す、凄い……ほんとに頭が痛くならないよ!」


 いったい何回発動したのかわからないほど連続で放ったが、頭痛の気配すら感じないことにベリーは驚きつつも、矢に命中し、落下してくる《ローエンフリューゲル・朱雀》を攻撃するため、【真・激流ノ太刀・高霎】をノーボイスで発動する。


「ッ! ここだッ!」


 そう言ったベリーは次の瞬間、《ローエンフリューゲル・朱雀》の頭から背にかけて大きく斬り、空を舞う。

 そして《果ての弓》に持ち変え、ノーボイスで【霧雨】を発動し、【霧雨ノ矢】を放った。


「…着地! って休んでる場合じゃないね! 【雷公】ッ!」


 ベリーは着地をビシッとシャキッとかっこよくキメると、【雷公】を発動する。


「【一発雷(いっぱつらい)】ッ!」


 ベリーは《鬼神ノ太刀・雷公》に力を集中させ、【一発雷】を放つ。【一発雷】は簡単に言えば超高威力の雷撃弾だ、もちろん雷なのでそのスピードは言うまでもない。

 【一発雷】が落下した衝撃で動きが止まっている《ローエンフリューゲル・朱雀》の頭に命中すると同時に、ベリーは左手を銃をイメージさせるような形にし、ノーボイスでさらに【遠雷(とおらい)】を発動する。

 【遠雷】は遠距離からの射撃技だ、ちなみに手をよく子供がやるような銃の形にする必要はない。


「フッ!」


 ベリーは《ローエンフリューゲル・朱雀》に接近しつつ【遠雷】を計23発撃つと、ノーボイスで【閻解】を発動し、《ローエンフリューゲル・朱雀》を踏み台にして飛び上がる。


「【火炎吸収】、【大閻解】!」


 ベリーは《ローエンフリューゲル・朱雀》の炎を吸収して火属性攻撃力を上昇させ、ロウにやった時の【閻解ノ大太刀】連続発動による超大太刀、自分でその状態を【大閻解】と名付けたままそれ以降使っていなかったが、ここでやっと発動する。

 【大閻解】と言う必要は無いのだが、これはベリーの気分の問題である。


「せいやぁぁぁッ!!!」


『クォォッ!』


 しかし落下してぐったりとしていた《ローエンフリューゲル・朱雀》は身体を起こし、ベリーの超大太刀を避けて見せる。

 これはベリーも予想外で、勢いがあるまま地面に突き刺さる。


「っ、まずい!」


 一瞬の隙を逃すまいと《ローエンフリューゲル・朱雀》は周囲に火柱を出現させながら、ベリーに向けて火炎球を吐く。

 火炎球はノーボイスで【絶対回避】を発動させて避けるが、続けて《ローエンフリューゲル・朱雀》はその翼を大きく揺らし、強烈な熱風を起こす。


「あちち! 【霧雨】、【霧雨ノ舞】!」


 ベリーはその【閻解】の炎に負けない熱さと風圧によろめくが、【霧雨ノ舞】を発動してなんとか持ちこたえる。


「HPもそんなに減ってないし……うぅどうしよう……!」


 メッセージを送信すれば恐らくは来てくれるだろうが、メッセージを打つ暇はない。

 《ローエンフリューゲル・朱雀》が出現させた火柱は風により火を纏う竜巻となり、ベリーを襲う。


「無敵時間だから大丈夫だもんね! 今のうちに皆にメッセージを……ってバウム君以外誰も居ないよ! うぅ、二人で四神を倒せるか不安だけど……『お願いバウム君、フィールドに来て!』っと!」


 話の趣旨を書いていないベリーだが、そのままバウムに送信する。

 バウム来るまでなんとか持ちこたえなくては。

災難が続くベリー。

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