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生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
第五章:アンファング

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第106話【五老人ミニゲーム・ファイナル】

ファイナル!

「……んー、んーー? んんーー!」


 ホームの部屋で一人、腕を組んで唸るベリー。

 【真閻解】という奥義を持ったが、解除時の反動による負担が怖い。なぜか前は押し止めることに成功したが、次はそうとは限らない。リスクの少ない、何か強力なものが必要だ。


「むぅ……ハッ! そうだ! 《五老人ミニゲーム》!」


 ベリーはふと、《五老人ミニゲーム》を思い出す。4をクリアしてからかなり日数が経っているが、《五老人ミニゲーム・ファイナル》の挑戦権はまだ手元にある。いつ、どこでそのクエストが発生するのかわからない。しかし、何か得ることが出来るはずだ。


「…よし! 歩こう!」


 ベリーはそう言って立ち上がり、第五階層のフィールドを探索し始める。


「人、増えてきたなぁ……」


 フィールドを歩きながらそう呟く。現在最終階層である第五階層には、続々とプレイヤーが増えていた。

 モンスターの平均レベルも80や90となり、雑魚相手でも気を付けなくてはならない。


「うーん、お爺さん居ないなぁ…挑戦権持ってますよー! おおーい!」


 ベリーは黒い葉の木の森に入り、そう大声で言ってみる。

 日の光を遮るその葉は外から見ると黒いが、葉の裏側は虹色に輝いていて、様々な花や小動物が居て、森の中はとても神秘的だった。


「あれ、なんか石が増えてきた?」


 しばらく歩いていると、地面を転がる石が増え、歩きにくくなっていることに気づく。

 石をよく見ると、なにやら文字が彫ってあったり、さらには壁のようなものまである。“木に侵食された遺跡”という言葉が相応しいだろう。


「わぁ…おっきい……!」


 少し木々が開けた場所に辿り着いたベリーは、目の前の古いが形が残った、大きな遺跡を見て言う。不思議な形をしており、五つの柱が中央を囲っており、なぜかそこだけ日の光に当たっていた。


「誰か居ませんかー! ってあはは、いるはずないよね、疲れたしハンバーガー食べよう」


 ベリーは転がっている適当な岩に座り、《クインテットタウン》で買ったハンバーガーを食べて休憩する。


「もぐもぐ……石凄いなぁ、はむ? なんか綺麗な石発見!」


 ハンバーガーを食べながら辺りを見回していたベリーは、白色のような、青色のような、黄色のような……不思議な色の石を見つける。


「光に通すと透ける……!」


 光が当たっている五本の柱の中心に立ち、石に光を当てて透けて黄色く輝くのを眺めるベリー。すると、石になにやら文字が浮かび上がってきた。


「な、なんだろう? “雷”……かな?」


 浮かび上がってきた文字は“雷”という字に酷似していた。そして、ベリーの持つ石の輝きが強くなっていくのと同時に、空が黒い雲に覆われる。“雷”という文字から、ベリーは何か嫌な予感がした。


「ま、まさか……」


 ベリーがそう呟いた瞬間、黒い雲が強烈に光ったかと思うと、巨大な稲妻がベリーの元に落ちてきた。


「うわぁぁあああ!!? し、痺れ……あれ? なんともない? でもやっぱり雷怖い!」


 雷に直撃したベリーだが、衝撃があるどころかHPも減っていない。雷のトラウマを克服してきていたベリーだが、治っていたのにまたトラウマが蘇る。ベリーが雷を嫌う理由としては、昔、目の前で落雷を見た、という理由だ。音もそうだが、なにより地面に直撃して一瞬で消えたのにも関わらず、その地面を破壊するほどの威力に「あの時あの場所にいたら……」と考えてしまいトラウマとなったのだ。


「痛くないのはいいけど……うぅ……!」


 そう言ってうずくまるベリー、しかしそれで終わりではなかった。突如立っていた地面が消えたのだ。


「うわぁぁぁあ!!! 落ちるっ! 落ちるよぉ!!!」


 何処かに掴まろうとしたベリーだか、掴まるものなどなく、そのまま下へ、下へ……気付いたときには第一階層に来ていた。


「ど、どれだけ落ちるのぉぉ!!! あっ、着地! どうしよう!」


 着地のことを忘れていたベリーは落ちながら懸命に脳をフル回転させる。


「高霎で上へ! あぁダメだ! 踏み込まないとぉ! えっと、えぇっとぉ! 【絶対回避】ッ!」


 忘れていた【絶対回避】を発動するが、果たして耐えられるのだろうか?


「【鬼神化・激流】!」


 第一階層の地面も消え、地下へ落ちていくベリー、地面が近いことを悟り、【鬼神化・激流】を発動する。


「【水流加速】ッ!」


 ベリーは地面ギリギリで【水流加速】を上へ発動する。【水流加速】は水流の力で俊敏力を強化したり、その方向へ水流を利用して瞬時に移動することが出来る。なので上へ発動することにより落下を軽減することに成功したのだ。


「こ、怖かったぁぁぁ! 高所恐怖症になるよぉぉ! いや落下恐怖症? そんなことよりここどこぉ!」


 パニックで早口になり、気になることが多すぎる。とりあえず深呼吸して落ち着いたベリーは、マップを開く。


「地下階層…《試練の間》……? 地下なんてあったんだ!」


 ここは第一階層の地下に存在する地下階層。言うなれば第零階層だ。《試練の間》というのは恐らく、ベリーが持っていた《五老人ミニゲーム・ファイナル》の挑戦権が無くなっていることから、これから発生するクエストは……。


『挑戦者を確認しました。クエスト、《五老人ミニゲーム・ファイナル》を開始します。』


「おぉ! よーし頑張っちゃうよ!」


 ベリーは目的の《五老人ミニゲーム・ファイナル》を見つけ、張り切ってそう言った。

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