表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!  作者: ゆーしゃエホーマキ
第四章:ユーベル

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/241

記念閑話【一条鈴の生まれて初めてのVRMMO】

第100話突破記念のお話です。

「ふふっ……ついに、手に入れた! 《NewGameOnlin4》!」


 鈴は《NewGameOnlin4》、略して《NGO4》のソフトを掲げて満面の笑みを浮かべて言う。

 今までテレビゲームだった《NGO》から、VRMMORPGになった《NGO4》はこれまでの人気も重なり在庫切れの店舗が多く存在した。そんな中、発売から2ヶ月以上経った今日、鈴はやっと買うことが出来たのだ。


「さてさて、ちゃっちゃと設定でも終わらせますか!」


 そう言った鈴は慣れた様子で同じく購入したVRMMORPGのハードの初期設定を素早く済ませる。


「それでは、行って参ります!」


 誰も居ない部屋だが、鈴はそう言って《NewGameOnlin4》の世界へ入り込む。



* * *



「キャラクリは…ふむふむ、現実の身体を元に自動生成か…髪型髪色と瞳の色を変えられると……んじゃあこうして……」


 鈴はそう目の前に表示されたキャラクタークリエイトの説明文を読み、髪を金髪で短めのポニーテール、瞳を鮮やかな青色にする。


「んでもって名前か! まぁこれはベルでいっか、“ベル”っと……!」


 鈴はキャラネームをいつも使っている“ベル”にし、『ようこそ! 《NewGameOnlin4へ!》』という歓迎の言葉を送られながら街へ転送された。



* * *



「お…おおおおおっ!!! 凄い! 動ける!」


 鈴、もといベルは感激しながら自身の身体を動かす。


「身体も軽いなぁ! おっ、クエスト! 《職業を決めよう!》なるほどなるほどすぐ行こう!」


 ベルはそう言って職業を決めるため、マップを見ながら街の中心核、《ギルド》へ向かう。


「うわぁ、人がいっぱい……NPC多いなぁ、あっ、すみません、職業を決めたいんですけど」


 ベルは《ギルド》に入り、頭上にマークが付いたNPCに声をかける。


「はい! 職業選択ですね? それではあなたのレベルはいくつですか?」


「えっと……あ、レベルは1です」


「初心者の方ですね、それでは五つの職業からお選びいただけます!」


 そう言ってNPCが表示してきたものには、《剣士》、《魔導師》《テイマー》、《兵士》、《回復術師》があった。


「うわっ、悩むなぁー…どうしよ」


「下級職業で、レベルが30を越えると《戦士》と《暗殺者》が解放されます、でも職業の変更には100万ゴールドが必要となりますよ」


 そうベルは呟いて悩んでいるとNPCが言う。


「ひゃ、100万…どうせなら課金にしてくれれば楽なのになぁ……」


 100万ゴールドという膨大な資金を集めるよりは、課金システムのほうが動力も少なく、それに精々300円程度の課金となるだろう。


「あの、職業無しでも戦えますか?」


「はい、問題はありませんが……武器がナイフしか使えないうえに防御力は《回復術師》より低くなりますよ?」


「が、頑張ります…レベル30になったらまた来ますね」


 ベルはそう言って《ギルド》を出る。


「…さて、合う職業が無かったから出てきたけど……クエスト進まないから初期資金も無し、武器も木製のナイフ……装備無し、防御力は絶望的、ってなんだこの縛り! 防御力絶望的ってその辺のモンスターにもやられるじゃんか!」


 自分で自分の首を絞めてしまったベル。しかし言ったからには成し遂げる。木製のナイフ片手にしぶしぶフィールドに出るのであった。


「は、速い! というかレベル1だから全ステータス低いんだよぉぉ! ぐふぉえ!?」


 そう叫ぶベルの腹に、一番難易度の低いフィールドの、一番レベルが低い小型の兎のような恐竜のような変なモンスターが思い切りぶつかる。


「え″、HP半分持ってかれた……強っ、なにこれラスボス?」


 ポーションを買うお金もないので回復することも出来ず、まもなく二撃目を喰らいベルはゲームオーバーになってしまった。


「……そうだ、全部避けちゃえばいいんだよ、防御力がないのに防御しようとするからいけないんだ……」


 兎恐竜モンスターに20回ほど倒されたある日、ベルはそう力無く呟いてフィールドに出た。



* * *



「あぶな、ちょ、タンマ! やめっ、なんで、仲間内呼ぶのは反則だよ!」


 しかし意外と順調に進んだものの、兎恐竜は仲間を四体呼んでベルに頭突きをしようと迫ってくる。


「っと、よしうまく避け…ぐふぉ!?」


 うまく避けたと思ったのに、その兎恐竜は着地した瞬間、こちらを見もせず突っ込み、ベルの背中を突く。


「ハァ、ハァ…や、やっぱ職業決めたほうがいいかな……はは」


 そう倒れ込んで言ったベルを見て、兎恐竜の一体が大きくジャンプし……


「ごはっ!!」


 ベルに頭突きをかました。


「う…生きてる…なんでぇ……」


 しかし何故かHPが残ってしまったベルに、兎恐竜は確実に仕留めようとベルの首へ噛み付く。


「んひゃああ!? なにすんだこらぁ!」


 首に噛み付かれ、声を漏らしたベルはそのまま噛み付いている兎恐竜にナイフを突き刺す。


『キュエェェ……!』


 すると運良く弱点に刺さったのか、兎恐竜は光となり消滅する。


「……『レベルアップ!』、『スキル、【クイックスラッシュ】を取得しました』だってさ」


 ベルはそう言ってゆらりと起き上がる。


『キュ、キュエ……』


「【クイックスラッシュ】ッ!!!」


 そこからは簡単な作業だった。兎恐竜は仲間を呼び、それを【クイックスラッシュ】で倒す。無職業だからなのか、【クイックスラッシュ】の消費MPはなんと2だった。


「【クイックスラッシュ】ッ!」


『レベルアップ!』


「【クイックスラッシュ】ッ!!」


『レベルアップ!!』


「【クイックスラッシュ】ッ!!!」


『レベルアップ!!!』


 【クイックスラッシュ】と『レベルアップ』というメッセージでログは埋め尽くされ、ベルは着々と経験値を稼いでいった。


「ハァ、ハァ……【クイックスラッシュ】……」


 ようやく最後の兎恐竜を倒したベルのレベルは……


「レベル5……まあ、そうだよね、このモンスター最弱なんだもんね……」


 そう言ってベルは、遥か遠くの大きな空を無言見上げ、黄昏たのであった。


 しかしこれから“PKの悪魔”だとか“伝説のソロプレイヤー”だとか言われるようになることを、この時のベルは知らない。

(もしやる気が起きたら)続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ