第100話【崩壊は止まらない】
第100話!!!!!
「っと、なんだ、もう終わりか?」
ベリー&ロウによる大爆発で、《ゲヴァルトツェアファレン・白虎》のHPは一瞬で無くなり、光の粒となって消滅してしまう。
「ロウさん! その大剣なに!? 凄い!」
「あぁ、こいつはこの前、確か《アンダーラビリンス》に行ったときにドロップしたやつだ」
ベルが《焼結島》、及び《アンダーラビリンス》を開放したことで、全てのプレイヤーが行き来可能となったのだが、《アンダーラビリンス》は現段階で7階まで存在し、まだまだ先があってレアアイテムのドロップ率も高いので今後も《アンダーラビリンス》に行くプレイヤーは増えていくだろう。
そんな中でロウが入手した大剣、《HS・インフレイム》は内部に着火装置が組み込まれており、それを利用することで爆発を起こすことが出来る。また刀身も一段階伸ばすことができ、攻撃力、火属性スキルを強化する効果を持つ。
「だが前の玄武ってやつより簡単すぎやしねぇか?」
「うん、確かに…あ、私なんか嫌な予感がする……」
そうベリーが言った通り、倒したはずの《ゲヴァルトツェアファレン・白虎》はHPMAXの状態で再び現れる。
それも一体だけではない。
「さ、三体も…!? まずい、ベリー達に攻撃が!」
ベルはそう言って、ベリーとロウのところへ急ぐが、間に合いそうにない。《ゲヴァルトツェアファレン・白虎》は前足を地面に強く叩き付け、大きめの揺れを起こすと地面から無数の尖った岩を突き出す。
「っ! ロウさん、掴まって!」
ベリーはそう言ってロウに手を伸ばす、ロウは少し困惑しながらもその手を掴む。
「…ッ!」
ベリーが一瞬強く手を握り力むと、色が【閻解】の黒から【激流】の青に変わり、【水流加速】が発動し、ロウを引っ張って瞬時にその場を抜ける。
「よ、よかったぁ~」
「お、お前今の…」
「ベリー、ロウ! 油断しちゃダメ!」
気が緩んでしまったベリーとベリーの行動に驚くロウにベルがすかさずそう言う。どうやらベリーが声に出さずスキルを発動したことはベルにはわからなかったようだ。
「「【絶対回避】ッ!」」
ベリーとロウは同時に【絶対回避】を発動し、別の《ゲヴァルトツェアファレン・白虎》の攻撃を避ける。
「補助しますよアップル! 【パワーフィールド】!」
「えぇ! 【クリティカルフィールド】っ!」
ハクとアップルが広範囲にプレイヤー達の攻撃力、クリティカル率を上げてステータスを補助する。
「【サウザンドシュート】ッ!」
ベルがたまたまプレイヤー達が攻撃したことでまとまった《ゲヴァルトツェアファレン・白虎》三体に向けて、【サウザンドシュート】を放つ。
「【幻手】、【雨ノ矢】!」
「【霧雨】、【霧雨ノ矢】!」
さらに続いてバウムが【幻手】を複数体出し、弓を持たせて大量に【雨ノ矢】を降らし、【激流】を解除し、【霧雨】を発動して《果ての弓》を装備し、【霧雨ノ矢】を放ったベリー……豪雨のような矢と銃弾の雨に《ゲヴァルトツェアファレン・白虎》達は怯む。
「フィール! 来い!」
「ん……【創造・槍】《ゲイボルク》……」
そしてソラが盾を上向きに構えてそう言い、フィールはその意図を読み取り再び《ゲイボルク》を【創造】し、ソラの盾に乗る。
「コンビネーションアタックだオラァァ!!」
ソラはそう叫び、盾に乗ったフィールを力強く飛ばす。
「……【ゲイボルク・フィニッシュ】」
そしてフィールは《ゲイボルク》を構え、【ゲイボルク・フィニッシュ】を発動、三本に分裂し三倍ほどの大きさになった《ゲイボルク》は《ゲヴァルトツェアファレン・白虎》達の胴体を突き、貫通する。
「フィール! 【バウンド】っ!」
そして落下するフィールの下に、ベルが【バウンド】を設置することでフィールは再び空を舞う。
「【創造・槌】ミョルニ……あ、これ雷だった……」
雷属性のハンマーである《ミョルニル》を【創造】しようとしたフィールだが、ベリーが雷を苦手とすることに気付きやめようとする。しかし。
「大丈夫、問題ないよ! やっちゃってフィール!」
ベリーは笑顔でそう言って【霧雨ノ太刀・一】を発動して攻撃する。
「わかった、《ミョルニル》……【ミョルニル・フィニッシュ】っ」
フィールはベリーがそう言うので、《ミョルニル》を【創造】し、【ミョルニル・フィニッシュ】を発動する。
フィールは巨大化していく《ミョルニル》を投げ、ベルの【バウンド】を利用して着地。
巨大化した《ミョルニル》は上空から雷雲を呼び寄せ、これまた巨大な雷と共に《ゲヴァルトツェアファレン・白虎》達を打つ。
『グォォ……』
三体の《ゲヴァルトツェアファレン・白虎》のHPは0になり、また光の粒となって消滅する。が、しかし。
『ガオオオオオオォォォンッ!!!』
次はなんと五体となってまた出現し、地震を発生させてプレイヤーを攻撃する。
「な、なんで…キリがない!」
「もしかしたら何かをしないとダメなのかもしれません!」
ベルの言葉に後退してきたローゼがそう言う。
「あぁ、《キャプテン・トートシュリット》と戦ったときの骸骨達と同じ感じかな!? ……いやでもこの空間に隠せる場所なん…て……」
船上での《キャプテン・トートシュリット》戦で骸骨モンスターを無限沸きさせていた水晶を思い出し、似たものがないかと探そうとするベルは、上を見上げて固まる。
「う…浮いてるんですけど……」
あった。しかし意外と簡単に見つかったそれは、ピタリと静止して浮いていた。




