1章、はじまり
「次なんの時間だっけー」
「魔法だよ…しかも今日実習とか、だるくない?」
「ダルい。てか現代に魔法とか、時代遅れ感すごい」
隣の列の女の子2人組がグダグダ文句を言っている。
わたしはそれを黙って聞き流していた。
魔法が必修科目になったのは、ちょうどわたしが中学生になった時。
それまで魔法の存在が信じられてきたのは「魔女」と呼ばれる生き物がいた15、6世紀のころぐらい。その後は魔法なんてファンタジーの世界のもので、現実ではありえないものとされてきた。
それが現在。
地図にすら記されていない、北極点に近いところで島が見つかった。
なんとそこには魔法使いが住んでいた。
世界は様々な手を尽くし魔法使いから魔法を教わり、それをかがくと融合させ、更なる利便性を図った。
その結果、魔法学という学問が生まれ、「この先の将来に欠かせない学問」として、必修科目として導入された、という訳だ。
ダラダラと移動し始めるクラスメイトを横目に、わたしは魔法実習室へと足を早めた。
みんな魔法はめんどくさいだの言うけれど、わたしは魔法が好きだ。
いやだって普通に考えて…みんな魔法が使える自分を想像したことがないのか!?
わたしはめちゃくちゃ想像した。小学生のころ、自分が魔法を使って魔王を倒す超ベタなファンタジーだってノートに書いたことあるし、妄想が行き過ぎて、自分はもしかして魔法使いなんじゃないか?と錯覚したことすらあった。
中学生のころ、必修科目になったときは飛んで喜んだ。
なのに周囲の反応は
「まさか厨二病じゃあるまいし」
……うそだろ!?!!?!!?
夢見ろよ!!!!!!!!!
それから、わたしは魔法に没頭した。
これはそんな妄想限界JKの日常である。