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旅立ち

一番近い街まで約半日、レベル上げをしながらだと一日かかるだろうとの事で、朝出発しようとした際に村長の奥さんからお弁当を手渡される。

エリスに対して年齢が近い女性は確かにイジメに近い雰囲気を感じるが、大人からはさほど嫌悪感は感じられず、むしろ腫れ物を触るような空気を感じる。

そんな違和感を感じながらも今そこにとやかく言うべきではないだろうと、弁当を受け取り唯一見送ってくれる村長夫妻に礼を告げて村を後にした。


「とりあえず、街までは道沿いに行ったところって事だから、レベル上げしながら進むか。」


昨夜から伝えていた方針を改めて口に出し歩き出すと、5分もせずに行く手を阻むようにスライムが現れる。


「スライムか、エリスとメイヤはスライムぐらいなら軽いんだよな?」

「問題無いわ。」「当たり前じゃ。」


二人からの回答にならば…と昨夜覚えたばかりの魔法を試そうと一歩前へ出る。


「えーと、火の精霊よ。」


手のひらを目標であるスライムへと向け、この世界の火の魔法を司っている精霊の名を呟く。

すると手のひらのすぐ前に小さな火の球が発生し、スライムへと向かって飛んで行くと見事にぶつかり魔石を残して焼きつくしてしまう。


「おー…魔法だ。」


己の制御によって顕現した魔法に少なからず高揚を覚え、とりあえず昨夜覚えた水・土・風と試してみる。

試してわかったのは、放出される魔力は術者のイメージによってその形を変えると言うことだった。


ファンタジー好きな中二病患者が自身で考えた長ったらしい呪文の果てに世界を破滅させるような妄想ではない。実際に火が発生して敵を倒した。感動に震えていると、後ろから別の意味で震えている声が聞こえてくる。


「な、なんで、何も使わないで魔法が使えてるの!?」

「おお、うちも何も使わないゆえ忘れていたが、人の子は媒介が必要じゃったな。」


そうだった、そうだったと頷くメイヤの横で、エリスは説明しろと目に困惑を浮かべている。そういうことは早く言ってくれ…

このまま一緒に旅をするならば、隠しておくのも無理だろうと、異世界人であること、神様の加護により全適性があることなどを改めて説明する。

とは言え、それだけでは説明がつかないので、視線でメイヤに助けを求めるとしばらく考えて答えを出してくれる。


「おそらくは神からの加護が強く、精霊との結びつきも強く何も使わずに使えるのじゃろ。本来人の子は精霊との結びつきが希薄ゆえ杖や、防武具に印を刻みその力を借りておるからのぅ。」

「ありえない、次期聖堂教会教皇様と名高いルカ様ですら媒介をお使いになっているのに…」


メイヤの出した答えに、ありえないと否定の言葉を連呼するエリスの様子に、本来ならば魔法の発動はどうしているのかを問いかけてみるが、エリスには気がついてもらえない。


「…ス、エリ…、……エリス!?」

「ひゃはいっ!!」


何度目かの問いかけにようやく意識を引き戻すと、改めて魔法について問いかける。


「魔法適正と言うのは生まれた時から個々に付与され、通常は一種、良くて3種が付与されます。稀に、…私のように適正無しの人間も生まれますが…私の事はともかく、過去最高の大魔法使い様でも3種が限度だったと聞きます。

そして、人が魔法を使うには、属性付与の魔石が埋め込まれた武器・防具などが必要です。大抵の場合は杖やロッド、剣などの武器につけているはずです。」


エリスから人が使う魔法のなんたるかを聞きながら、近寄ってくる魔獣たちを魔法で蹴散らしていく。

それを眺めるエリスは、理解できないが、とりあえず納得しようと難しい表情を浮かべている。


「そう言えば、エリスの戦い方聞いてなかったな。やっぱり、それか?」

「私はこれを…魔法適正が無かったせいか、剣適性が高く現れたから。」


俺が指さした先、エリスの背に背負われた女性が扱うにしては余りあるであろう両手剣。なんというか、ゲームでこの剣だったらビキニアーマーが絶対セットだ。

エリスは身の丈近い長さのある両手剣を鞘から引き抜くと、近くに現れた魔獣へと軽く古い下ろす。スキルのおかげなのか、エリスの実力なのか、はたまた剣の性能なのか、柔らかくなったバターを切るかのようにあっさりと切り捨ててしまう。


「いや、この辺であっさり倒せるようじゃなきゃ生きていけないから…ね?」


昼食を取りながら、エリスの鮮やかな身のこなしを褒め称えると照れるでもなく真顔で返されてしまう。

現代日本で多少忙しけれどのほほんと暮らしていた身。同年代ぐらいの女子が身の丈もある大剣を振り回していたら感動するのは当たり前の事だろう。


「さて、初めての冒険でいろいろ倒したんだからレベルは上がってるかな?」

「この辺りの敵は弱いけど、本当にレベル2だったなら4か5にはなってると思いますが。」


降り立った土地の敵は弱い。なんという定石。そしてありがたい。レベル1で召喚されたのがラスダンちょい手前じゃ目も当てられないからな。


カズキ イチガヤ

Lv10

HP:350/350

MP:100/280

防具:布の服

武器:ナイフ

スキル:短剣術Lv4、初級火魔法Lv3、初級水魔法Lv3、初級土魔法Lv3、初級風魔法Lv3、初級精霊魔法Lv1、回復魔法Lv1、状態異常回復Lv1、鑑定Lv2、メールオーダーLv1

パッシブスキル:経験値上昇、自然治癒、全属性適応、言語習得、魅了チャーム

装備アイテム:マジックバッグ(無制限)、マジックリング(100)


「おお、上がってる上がってる…レベル10だって。」


この一言により再びズルいの合唱を聞く羽目となった。

だいぶ間が空いてしまいました…

お読みいただきありがとうございます。

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