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メールオーダー

村についてからは大分駆け足だった。

村の上空に怪鳥が現れ右往左往する村人。しかもその背中から生け贄にされたはずのエリスが降りてくると、怪鳥自体が美女となって事の顛末を伝える。

で、エリスはもうここには入れないからと荷物をまとめて家をでる…

もう街に行くには遅い時間だからエリスの家に一泊、村長の家で夕飯ごちそうになって戻ってくる。

はい、今ココねー


村でのやり取りはあまり雰囲気のいいものではなかった。特にエリスが助かったことに対して戻ってこなければ良かったのに考えているのであろうわかりやすい視線が向けられていた。


「あんな空気を見せられた後じゃ確認を取るのもバカバカしいけど、本当にいいんだな?」

「もちろん。それに外の世界を見てみたかったの。お義母さんが生きていた時は街にもあまり行かせてもらえなかったぐらいだし。」

「なかなかに過保護じゃの。だが、ああいった村では人を流失させないよう、規制をかけてるところも多いみたいだしのぅ。」


都会に憧れるのはどこの世界も同じようだ。しかも俺のいた世界とは異なり、街と街の間には魔物や盗賊などがでて、移動だけでも一苦労&命がけなので、街に出ずに一生を終える人も少なく無いという。


「それとは別に何かあるみたいだったけど、教えて貰えなかったの。」


何やら訳ありだったようで、少しさびしそうに首を左右に振るエリスに、余計なことを言ってしまったかとメイヤも申し訳無さそうに声のトーンを落としてしまう。


「とりあえず、今夜はエリスの家に泊めてもらって明日朝イチで街に向かおう。メイヤに乗せて貰えば直ぐなんだろうけどお互いの戦力も知りたいし、何よりも俺のレベルアップが必要だからな。」

「たしかにご主人は面白い力を纏ってはおるが、レベル2だしのう。異論はないのじゃ」

「レベル上げをしながら行っても日が暮れる前には着けるはずだから問題無いわ。」

「なら、決まりだな。明日は朝早いし今日は解散。」


話を終えるとエリスとメイヤはエリスの部屋へ、俺は用意された客室へと入っていく。

用意された客室は小奇麗で、常に清掃されていたのが伺える状態だ。綺麗に敷かれたシーツにダイブするも思ったよりも眠気はやって来ず、そう言えばわざわざお願いしたスキルをまだ試していなかったと体を起こしスキルをチェックする。


メールオーダー:無属性魔法。異世界に連れてこられる時に祝福としてつけてもらった。

        いわゆる通信販売のようなもの。

        一日一回に限り使用可能。


項目には必要最低限のことしか書いておらず、詳細をうかがい知ることができない。どうすれば使えるのかも不明なままとりあえず『メールオーダー』と声に出してみる。

すると目の前に半透明のまさに通販画面のようなウィンドウが開き、その上に小さいウィンドウがさらに開く。


【メールオーダーLv1

使用回数:1/1回

取り寄せ可能個数:10

※使用回数は毎日AM5時回復】


うん、この世界が現実でなおかつ別次元だと言うなら、この世界作ったやつ俺の世界のMMORPGやってただろ絶対。

取りあえず小さいウィンドウをタップするとそのウィンドウは消え、発注画面がその場に残る。


発注画面の右上には

『所持金0G0S20B/472,601,000Y』

とある。

おそらく左がこの世界の通貨で、右側が円。俺の元々の通帳の中身な気がする。

家とか車とか大きな買い物はしなかったので、大半の給料が残った状態だ。にしても、学生アイドルって、売れると稼げるものなんだな…と改めて思ってしまう。

まぁ、飽きもせずに歌だ、ドラマだ、バラエティーだと忙しく趣味もまともにさせてもらえなかったのだから正当な報酬なのだと思っておこう。


オーダー画面は大分類・中分類・小分類に分かれていて食べ物系から雑貨、衣類など多種多様に用意されている。ただし元の世界より全体的に割高なのはやはりこっちに無い技術の集大成だからだろうか。

あぁ、アニメや電子ゲームは残念ながらこの世界に動画技術が無いせいなのかないが…漫画はある!しかも一昨日発売されたばっかりの新刊が!!!コンサートの準備や本番のせいで買いに行けなかったんだよなぁ。


とりあえず買いそびれていた漫画や、好きなお菓子やすぐに食べれるだろう缶詰などを発注可能個数入れるとオーダーボタンを押す。

オーダー内容の確認画面でOKを押すとウインドウがシュワっと音を立てて消え、次の瞬間足元に木箱が現れる。そしてその中には今オーダーしたばかりの品がしっかりと入っている!

俺はワクワクしながら早速漫画を手に取るが…


「ご主人、おるかの?」


思わずベタに居ませんと答えてしまいたくなったがぐっと堪え、扉を開ける。

開けた先には部屋着と呼ぶに相応しい、薄手の服を着たメイヤが廊下に立っている。


「どうした?なにかあったのか?」

「いや、旅に出る前にうちが知っている限りの知識を伝えておこうかと思って来たのじゃ。道中では何があるかわからぬし、主はいろいろと訳ありのようだからのぅ」


今後動くにしても、この世界の事を知らなければ何をしたらいいのかもわからない。無知は死を早めるだけだ。現実だろうがゲームだろうが知識は武器である。

まずは必要最低限の知識《武器》を手にするため俺はメイヤを室内へと招き入れた。

主人公は基本順応しやすいタイプです。

あと、隠れオタスキルも高いので、人当たりはいいです。

じゃなかったら、やりたいわけでもないのにアイドルなんてできないと思う。

周りに流されやすく見えるけど…きっと芯はあるはず。きっと。

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