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君に会いたい…

作者: HIROYA


雅人まさとは19歳


女友達の少ない専門学生だ


雅人に女友達が少ないのには訳があった…


雅人は彼女ができると

その人しか見えなくなってしまう…そして

そのうち女友達とは一切

メールも電話もしなくなってしまう…


彼女だけに猪突猛進

まわりが見えなくなる

まるで猪みたいな男なのである…


しかし、半年前に彼女と別れたばかりだった


そんな雅人は

ある夏休みに、居酒屋でアルバイトを始めた…


そこの居酒屋で半年前からアルバイトをしていたのがかえでだった…


楓は雅人に

一通りの仕事を教える役目を、店長に与えられていたのだった


雅人に仕事を教えていく


そのうち二人は仲良くなっていった…


楓はこう思っていた

雅人は自分より先輩だけど

バイトでは後輩


なんか不思議な感覚…


雅人は

同じバイト先の23歳のお姉さん 美咲みさきのコトが気になっている…


美咲は仕事をしているが

かけ持ちで夜もバイトをしていた


美咲は大人っぽくて

美人で

優しくて

オシャレで明るい!

雅人にとっては

女神のような人だ…


そしてその恋の相談相手が楓だった…


雅人は店が暇になると

いつも楓に美咲のコトを相談しているのだ…


美咲は楓にとっても

美人で、優しくて、頼りになる先輩だし

憧れの女性でもあった…


雅人が美咲をスキになるのも当然かな

そんな気がしていた


美咲は楓よりも先に

この居酒屋でバイトをしているのだが


仕事をしているので

バイトに来る回数は学生の二人よりは少なかった


雅人は

美咲がいない時も


「美咲さんに会いたかったのになぁ〜!」


「美咲さんってさぁ〜

俺のコトを呼び捨てで呼ぶときあるじゃん!」


『あの

「まさと〜」の

発音と声がたまらないんだよねぇ〜!』


「なんか胸がキュンってするっていうか…」


そんなコトばかり言っているのだ


楓は内心

こいつ馬鹿だな

と思いながら相談にのっていたのだが


最近は

そうでもないような…


雅人と話をしていると楽しいような…


なぜかそんな気がする…


楓はバイトがあまり好きではなく

欲しい物を買うために仕方なくやっていたのだが


最近はバイトに行くのが

どこか楽しみになっている


それは雅人がいるから?


自分でも

よくわからなかった…


楓は

男友達の多い女の子で

17歳の高校生である


楓は男友達は多いのだが

彼氏はいなかった


その理由もいくつかあった


楓はどちらかというと

可愛い方だしモテる方だ


しかし男っぽい性格で

どこか男を上から見ているようなところがあった


高校に入ってから5回も

告白されたが


もちろん告白してきた男を全員ふった


けして理想が高いわけじゃないけれど


あまり人をスキにならないタイプだった…


男友達が多いので

男の恋の相談には慣れている方だったが…


この雅人は何かが違った

楓が出会ったことのないタイプだった…


美咲の可愛い所や優しい所を見つけては

一人ではしゃいでいる


見た目は普通の男だが


まじめに仕事をしている時は、男らしく見える


話をしている時も

話がうまいのか…いつのまにか雅人のペースに引き込まれてしまう


楓は

雅人には何とも言えない不思議な魅力があるように思えていた…


しかしその相手

美咲には大人で男前な彼氏がいた


雅人も美咲に彼氏がいることは知っている


楓からも聞いていたし


美咲も


「明日は久しぶりのデートなんだよね〜!」と


嬉しそうに言っている


それに

雅人のバイト中に

美咲が彼氏と一緒に来店した事があったのだ


その時の雅人の

モジモジした態度が

年上なのに

まるで子供みたいで

楓には可愛く思えていた


とはいえあの二人を

引き裂けるほどの魅力は雅人にはないような…


雅人は19歳だが

美咲の彼氏を見ていると


自分がまだまだ

子供に思えてくるのだった


自分は学生だし

大人の壁はまだまだ遠い


雅人はこの時ほど

早く大人の男になりたいと思ったことはなかった


その上

雅人と楓がいつも仲良く話しているのを見て


「仲いいねぇ〜2人!

  付き合っちゃえば?」


なんて美咲に言われてしまっている始末…


もう諦めた方がいいのかもしれない…


さすがの雅人の心も挫けそうだった


美咲を好きな気持ちは確かなものだ


しかし

彼氏と別れて自分と付き合ってくれる訳がない


たぶん美咲にとっても自慢の彼氏だろう


そんな事ばかり考えてしまう自分がいた…


相談相手の楓も

正直どうしたらいいかわからなかった


美咲は

かっこいい彼氏もいるし、いつも幸せそうなのだ


楓の中では

もう諦めた方がいいんじゃないか…という思いもあったのだが


雅人はこんなに美咲を想っているのに


美咲がそのコトを知らないのはダメだ


雅人にも

想いを伝える権利はあるはずなんだ


そう思ったので


「告白しないで後悔するよりは 彼氏がいても想いだけは伝えておいた方がいいんじゃない?」


と雅人に言った…


楓の言葉に雅人は

胸のもやもやを吹き飛ばされたような気がした


そうだ

このまま何もしないで諦めるよりは


彼氏がいても

告白して気持ちを伝えたい


そして

自分が美咲のコトを好きだということを

美咲に知ってもらいたい


だってこんなに美咲を想ってるんだから


後で後悔はしたくない

そう思った


そして次の日は

雅人、美咲、楓の三人がバイトに来ていた


雅人は

楓に小声で

今日告白することに決めたからと伝える…


雅人の緊張が楓にも伝わってきた


たとえダメだとしても

応援してあげたかった


高校生の楓は10時にバイトを終えて家に帰った


楓もどうなってしまうのかが気になって

ほとんど眠れなかった


告白を決意したとはいえ

雅人の緊張はかなりのものだった


閉店時間が近づくにつれてドキドキが大きくなる


そしてその時がきた…


バイトを終えた美咲は

店を出て階段を下りていく


雅人は慌てて追いかけて

美咲を呼び止めた


「美咲さ〜ん!」


そして二人は

駐車場の隅に身を寄せる


「どうしたの?」と

言う美咲に雅人が言った


「美咲さんのコトが好きなんです…

彼氏がいるのはわかっているんですケド…

やっぱり自分の気持ちを伝えたくて…」


美咲から返ってきた言葉は


「ありがとう…」


「でも雅人の気持ちには答えられないから…本当に

ゴメンね!」だった


美咲は驚いていた

雅人が自分のコトを好きだったなんて


てっきり雅人は

楓のコトが好きだとばかり思っていたのだ…


そして次の日

楓はその事を知る

そして雅人を励ました…


雅人が言う


「ダメだったケド…

自分の気持ちは伝えることができたし…

相手に知ってもらえることができたから

もう後悔はないよ


それに楓が背中を押してくれなかったら告白なんてできなかったよ


本当にありがとう!」


その言葉に楓は


「そうだよね!想いを伝えるのは大事だもんね!頑張ったよ雅人君は…」


そう返した…


しかしその時

楓は雅人を好きになってしまっている自分に気付く


あれ、何かがおかしい

この感情はいつ生まれたのだろう…


それは照れ臭いとかいう感情ではなくて


まぎれもなくスキという感情だった…


楓は驚いていた

まさか自分が雅人のコトを好きだったなんて…


しかし雅人は、その週を最後にバイトを辞めることが決まっていた…


その最後の日

楓と雅人はメールアドレスを交換した


雅人が辞めてからも

楓の想いは日に日に強くなってゆく…


雅人のメールアドレスは知っているが


メールを送ったのは

バイトの最終日に

「お疲れさまです〜」だけだった


それ以外にメールを送る口実も別になかった…


これではダメだと

2回ほどメールのやりとりをしたが


「元気にしてる?」


「学校頑張ってね!」


その程度だった


それから

2ヵ月ほど過ぎた頃


いつもより元気がなかった美咲に楓が声をかけると


美咲は彼氏と別れた事を楓に告げた


それと同時に…


美咲が偶然雅人と出会い

それからよく一緒に遊びに行くようになったという話を聞かされた…


楓はショックだった

雅人のコトが好きなのに

何もできない自分が悔しくて仕方なかった


雅人は美咲に告白したのに


自分は雅人に告白することができなかった…


と言うより

雅人の恋をいつも応援していた自分が


失恋したばかりで落ち込んでいた雅人に

告白するなんて楓にはできなかったのだ…


もう少し早く

自分の気持ちに気付いていたなら…


告白を止めることも出来たのかもしれない


そんな事すら考えてしまうぐらいだった…


それから一週間も経たないうちに美咲は雅人と付き合ってしまう…


一度だけ

勇気を振り絞って

雅人にメールを送った


「やっと美咲さんと付き合えたんだね!

おめでとう!幸せにね〜」


「あ!そういえば私も3ヵ月前は雅人のコトが

ちょっとだけ気になってたって知ってた?」


楓には

これが精一杯だった…


その後

雅人からアドレス変更のメールが届く


そのアドレスには

美咲のイニシャルが入っていた…


楓の瞳から

涙が溢れだしてくる…


これがもし

自分のイニシャルだったらどんなに幸せだろう…


そんな事ばかり考えてしまう楓がいた


しかし、雅人への想いは毎日募るばかりで


やり場のない感情に楓の心は張り裂けそうだった…


楓は

これも運命かもしれない

雅人とは初めから縁がなかったのかもしれない


ずっと憧れていた女性と付き合えたんだし


あの美咲さんが彼女なら私も祝福したい


雅人が幸せだったらそれでいいじゃないか


そう思おうとしたが


簡単にはいかなかった…


雅人への大きく膨らみす

ぎた想いは


楓の小さな胸の中では

とても支えきることが出来なかったのだ


学校で友達といる間は

まだ気が紛れていたのだが


ふと一人になると

涙が溢れだしてくる


毎日のように涙して

張り裂けそうな胸を必死で押さえていた…


こんなに苦しいのなら


こんなに悔いが残るのなら

出会わなければよかった…


そう思ったコトもあった…


でも私はもう一度


雅人に会いたい…


会って想いを伝えたい…



こんなに好きな人の

背中を押した自分の手に


楓は問いかける


「どうして気付くコトが出来なかったの?」


「どうして…」



それは気付くのが遅すぎて叶わなかった恋…



でもまだ…

今でも君に恋しています


できることなら

君がそうしたみたいに


好きな人がいると

わかっていても


愛しい感情


君を想うこの気持ちだけは

伝えておきたかった…


苦しいほどに涙してもいい


後悔が残るよりは…


君は今

どうしてますか?


幸せに過ごしていますか?



私はもう一度


君に会いたいです…




いつも近くに居たのに…自分の想いを伝えられなかったコト…みなさんもありますか?そんな気持ちを小説にしました。。。

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― 新着の感想 ―
[一言] とても切なく仕上がってるなと感じました。 相手がいる人への告白は勇気がいりますもんね。
[一言] 話の内容はとても良かったと思います!会いたいのに会えない、好きなのに伝えられないという苦しい気持ちがよく感じられます! ただ文章の改行といいますか、おそらくこれはケータイで読めばなかなかいい…
[一言] 初めまして、ウメ子と言います。 とてもいいお話だと思います。 楓さんの気持ちがとてもよく分かりました。好きな人に好きな人がいて、自分の気持ちに気付くのが遅くて……ていうのは何だか切ないなって…
2008/01/10 14:27 退会済み
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