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悠結  作者: まいんと
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2014年、僕は幸いにも現役高校生として志望校に合格した、最も入りたいと思っていた大学の学科だ。同好会も、以前から入りたいと思っていたものに入ることができた。付き合いで飲む酒、初めての飲酒はビールだった、世の中の大人はどうしてこんなに苦いものを好むのかわからない。そんなことを考えながらも、先輩方の話に耳を傾けていた。


初めて酒の席で先輩が教えてくれたことは、酌の仕方と乾杯の仕方だった。ビールの瓶を両手で持ち、ラベルを相手に見せながら注ぐ、瓶をおくときにもラベルを最も年上の方に見せるように置く。乾杯をする時には相手よりもグラスを下げて行う。


4月で入学仕立てだったことも相まってこの飲み会に参加していたのは、同じ学科の友人である莉だけだった。


「そういえば同じ講義にいつもいるよね、同じ学科なのかな、よろしくお願いします」


「うんよろしく、莉っていうよ」


「それは、麗しの、麗さん?」


「ううん、草冠に利益の利で、莉」


「珍しいね、よろしく」


莉は、凛とした人だった、自分は自分、他人は他人としっかり分けることのできる人間だった。

ある一点まではきっと僕と同じような境遇に立たせられたことがあるのだろうと感じられた、だがそこでとった決断は、全く、正反対だったのだろう。


僕は、他人に極力好かれるような努力をすることを決めた。次に所属する団体の中では絶対に周りから嫌われないように振る舞うことを、高校を卒業と同時に決めた。


一方で莉は、他人などどうでもいい、自分は一人でも生きていくのだと心を決めている、そんな風に見えていた。どんなに僕に興味をもって話しかけてくれようと、どんなに人当たりよく接しようとも、いつでも発する言葉に、"しん"の強さが見てとれていた。


莉は、きっと僕には無くてはならない友人になる、絶対に、無くてはならない存在に。

初めて出会ったときから、そう確信していた。



飲み会の席での、所謂外さず、相手に不快感を与えず、強いては褒められるような酌の仕方を教わったその後は、ひたすら先輩方の話を聞き続けていた。会話の内容は思い出せないが、大方僕は、彼らの立ち位置や考え方を学び、一人一人の対策本を作っていたのだろうと思う。

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