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第一話

 駄菓子屋。

 少女が店を散策していた。店の中には駄菓子が棚に並べられている。まあ、駄菓子屋なので当然と言えば当然なのだが――。


「おじいちゃん、これちょうだい」


 少女はお金を置いて、駄菓子屋にあるシュークリームを頬張る。

 ああ、シュークリームは美味しいなあ――そう思いながら、彼女は外へ出る。

 おじいちゃんが出てくることは無い。恥ずかしがりやなおじいちゃんなので、出てこないのである。――彼女の母親は、彼女にそう教えた。


「こんにちは、柊木さん」


 家へ帰る道中、柊木さんに出会う。柊木さんは少女の隣に住む女性である。一人暮らしをしていて、よくコンビニにご飯を買いに行く姿を目撃されている。


「柊木さんもおいしそうなチョコレイトを食べていたなあ」


 少女は呟きながら、イチゴ味のシュークリームを食べ終えた。

 ああ、お腹いっぱい。

 少女はたった一個のシュークリームでそう思ってしまうくらい、胃が小さいのだ。





「めいちゃーん! あそぼーっ!」


 めいちゃんの家は、少女の家の隣にあった。とはいえ、柊木さんの家の逆側にある家である。


「はあい!」


 少し遅れて『めいちゃん』は出てくる。

 めいちゃんは同い年の友達だ。だから、少女と一緒に遊ぶのだが。


「……ごめんね、お父さんが居るから」

「そっか。じゃあ、しょうがないや。めいちゃんのお父さん、家で遊ぶと怒っちゃうもんね。外で遊ぼう……にも、昨日は雨が降っていたから外はぬかるんでいるし」

「ほんとごめんね。また明日、遊ぼう?」

「そうだね。そうしよう」


 そうして、少女とめいちゃんは別れた。





「おじいちゃん! お菓子食べたいなあ!」


 駄菓子屋。

 しかし、声は聞こえなかった。

 仕方ないなあ、と思いながらお金を置いて彼女はビスケットサンドを手に取った。ストロベリークリームが挟まれた、とても甘い食べ物。

 彼女はそれを――思い切り頬張った。





 そして彼女は家に戻る。

 手を洗い、夕食を食べ、母親とテレビを見て、眠る。

 そんな生活だった。



 ――そんな、生活だった。






 一週間後。

 少女は今日も散策していた。

 少女は柊木さんに挨拶して、黄緑さんという女性のパティシエの家へ向かった。

 黄緑さんはパティシエ。美味しいお菓子を作る職人だ。

 ここに来るのを、一週間の楽しみにしている。


「いらっしゃい」


 黄緑さんは笑顔で少女を出迎えた。


「おいしいシュークリームを、ちょうだい!」


 少女の無垢な笑顔を見て、黄緑さんは笑顔で頷いた。



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