表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君を知らないまま、恋をした  作者: 一ノ瀬麻紀


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/50

33 アクセサリー

「朝食を買ってきたから、一緒に食べよう」


 呼び鈴が鳴ったので、眠い目を擦りながら扉を開けると、ラパンが袋を手に持って立っていた。


「広場で朝市をやってたんだ。そこのパンが美味しそうだから買ってきた」

「えー。僕も行きたかったなー」

「行く前に声かけたのに、全然返事がないから俺だけで行ったんだよ。昨日は夜更かししてたんだろ?」

「うっ……。だって楽しかったんだもん……」


 昨日は初めてのお泊まりで、楽しくて嬉しくて、なかなか眠れなかったんだ。

 ログアウトボタン消失トラブルの時に、泊まったことはあるけど、あれは別。

 初めてリベラリアの夜を過ごしたけど、あの時は気持ちは落ち込んでるし、先は見えなくて不安だし、結局寝付けないまま朝を迎えたんだ。

 同じ『なかなか眠れない状態』なのに、こうも違うのかと思った。


 ラパンは、買ってきたパンとサラダをテーブルに並べた。そして、部屋に備え付けのコンロに鍋をかけ、スープを温めて、よそってくれた。これも朝市に売っていたらしい。


 食べ終わった後、今日一日の日程を確認した。


「今日はまず、グリーンヒル周辺のモンスターを狩って、素材集めするでいいか?」

「うん。この前攻撃魔法でモンスターを仕留めることができたから、今度はもう少し手際よくやっつけたい」

「練習を兼ねてだな」

「今日は、ラパンもユキもいるから、思い切りやってみてもいいかなって」

「わかった」


 ラパンがテーブルにマップを広げると、素材採取の場所の確認をした。


「この辺りがいいと思う。近くに回復の泉があるんだ。小回復だけど、実戦練習にはちょうど良いと思う」

「そんな便利な場所が!」

「この前のエラーの後に、ちょっとしたアップデートが入ったんだ。大きな変化はないけど、細かいところで利便性が上がっている」

「そうなんだね。僕も魔法でサポートできたらいいなって思うから、頑張る!」

「無理はするなよ」

「うん!」


 僕たちは宿のチェックアウトをし、荷物はマジックバッグにしまい、ラパンの提案したエリアに向かった。



「シロ、なかなか良かったぞ」

「うん、すごく頑張ってた。今日だけでも、魔法範囲は広がったし、威力も上がったよね」

「二人がいたから、大丈夫だと思ったんだ」


 午前中に依頼所へ行き、僕の訓練ついでにクリアできそうな依頼を受けて、そのまま草原に出た。

 いざという時に守ってくれる人がいると思うと、とても心強かった。僕は自分の力以上の結果を出せたんじゃないかな。


 僕たちはグリーンヒルに戻ってきて、依頼の達成報告と報酬を受け取り、貸し部屋に集まっていた。


「これ、さっき落ちてたものなんだけど……」


 僕はさっき草原で拾ったアイテムを、マジックバッグから取り出した。それは、ヘアゴムのような、何かわからないものだった。


「ああこれは、防御がプラスされるアクセサリーだ」

「ヘアゴムじゃなくて、アクセサリー?」

「鎧やローブなど、しっかりと装備するものと比べると軽視されがちだが、ステータス異常回避の効果や、身につけているだけでHP回復したり、冒険が後半になるほど効果の高いものが出てくるんだ」

「じゃあ、例えばこういうのを自分で作ったら、何か効果が付加されるのかな?」


 僕は、バッグの中からミサンガを取り出した。こちらの世界の糸を使って編んだものだ。


「僕、小さい頃から手芸が好きで、こっちの世界でも時間がある時に作ってみたんだ」

「これには、わずかにモンスター避けの効果が付与されているね〜」

「ユキ、わかるの?」

「僕、アイテム鑑定できるからね」

「えー。早く教えてよ」

「今まで必要なかったもん」


 さりげなく自慢された気もするけど、サポートキャラだから、できることが多いんだろうなと納得することにした。

 プレイヤーが楽しく体験版を遊べるように、ちょうどいい塩梅でサポートしてくれているんだろうな。


「もしかしたら、僕が一人の時にこのミサンガを持ってたから、モンスター遭遇率が低くなってたのかも?」

「そうかもしれないね」

「そっかー。良かった。あれ以上出てきたら、僕一人じゃ手に負えなかったもん」


 小さい頃の趣味が、こんなところで役に立つとは思ってもいなかった。


「ねぇ、回復系のアイテムだけじゃなくて、アクセサリーも作ってみたらどう?」

「アクセサリーを?」

「うん、自分たちで身につけるのもいいし、売って資金にするのもいいね」

「僕は戦闘するより、そっちの方が性に合うかもしれないなー」

「じゃあ、午後はアクセサリーを作ってみる? 初心者の部屋に練習用のアイテムがあるから、まずはそこで作るといいかな」


 ユキが提案してくれたので、午後はモンスター狩りをする代わりに、初心者の部屋でアクセサリー制作をしてみることになった。

 ミサンガの効果は小さいけど、これが重要なアクセサリーを作れるようになったら、僕も役に立てるってことだよね。


 僕の作ったアクセサリーを身につけ、颯爽とモンスターをやっつけるラパンとユキの姿を想像して、ワクワクと胸が高鳴った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ