表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRゲームの世界でキミを待つ  作者: 一ノ瀬麻紀


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/26

19 うさぎの街

「いらっしゃーい!」


 三匹の子うさぎたちは、僕たちの足元まで来て、ぴょんぴょん跳ねながら、口々に「いらっしゃい」とか「こんにちは」とか元気に挨拶をしてくれた。

 それに続いて、この前助けたうさぎさんが顔を出した。


「いらっしゃい。わざわざ足を運んでくださり、ありがとうございます。モンスターは大丈夫でしたか?」

「こんにちは。モンスターを寄せ付けないアイテムを使ったので、何事もなくたどり着けました」

「それは良かったです。ささ、とりあえず家でお茶でもと言いたいところなのですが、我が家はうさぎ仕様になってまして、ちょっと手狭なのです。なので甘味処でお茶でもしませんか?」

「甘味処?」

「甘いお菓子と美味しいお茶をメインに、軽食なども取り扱っているお店ですよ」

「それはぜひ行きたいです!」


 僕とうさぎさんが盛り上がっていると、その様子をラパンとユキがニコニコと嬉しそうに見つめていた。

 最近はラパンだけじゃなく、ユキまでも僕の保護者のようになっている気がする……。


「私はうさぎの姿のままで変化(へんげ)できないので、おもてなしができなくて、申し訳ないです」

「そんなことないです。こうやって歓迎していただき、素敵なお店を紹介してくださるだけでも、僕は嬉しいんです」

「そう言っていただけると、私も嬉しいです。……あ、ここですここです!」

「うわぁ、可愛い!」


 足を止めたのは、まるでお菓子の家のような、メルヘンチックな建物だった。

 可愛いものが好きな僕は、一気にテンションが上がった。


 店内も、うさぎモチーフのグッズなどを中心に、可愛いもので溢れ返っていた。


「この街って、住んでるのもうさぎが多いし、グッズやモチーフもうさぎ関連が多いんですね」

「ええ、そうなんです。うさぎを前面に押し出した、観光地になればいいなって、街全体で頑張っているところなんです」

「それは僕も大歓迎です! どこを見てもうさぎだなんて、夢みたいです」

「ふふふ。じゃあ、常連さんになっていただけそうですね」

「もちろんです!」


 ログイン禁止を言い渡されて、気落ちしていた日のことなどすっかり忘れるくらい、僕は幸せで楽しい気持ちでいっぱいになった。

 先生に、ゲームの中とはいえ無理しすぎないようにと言われたのも忘れ、ついつい一緒になってぴょんぴょん跳ねてはしゃいでしまった。



「楽しい時間は、あっという間ですね……」


 僕は、うさぎさんと三匹の子うさぎたちに見送られ、街の出入り口まで来ていた。

 うさぎさんを訪ねて、ホワイトバロウに来たのはついさっきのような気がするのに、もう夕焼け空だ。

 明るいうちにグリーンヒルに戻らないと、夜は昼間より強いモンスターが出るらしい。とは言っても、アイテムを使えば問題ないけど、ログアウト時間が遅くなってしまうのもいけない。


「また遊びに来てくださいね」

「もちろんです。何度でも来ます」


 僕たちは再会を約束して、街を出た。夕焼けは綺麗だけど、今はログアウトの時間が近づいているのを実感してしまうから、やっぱり寂しい景色に思えてしまった。



 この日の夕飯も、食事処で済ませることにした。他にも食事ができるところはあるけど、ここが一番メニューが多い。

 ゲーム世界の不思議な食材や料理にもだいぶ慣れ、見た目が変わっているものを選んで注文するようになった。だって、現実世界じゃあり得ない料理も多くて、ここでしか楽しめないから。


「本日の日替わりメニューだって!」

「なんだろう? 聞いてみるか?」

「ううん、聞かないで頼んで、何が出るのか楽しみたい!」

「ほぉ、来たばかりの頃とは大違いだな」


 僕が余裕ぶって、内容がわからないメニューを注文しようとしたら、ラパンは楽しそうに笑った。


「お待たせしました、こちら、『星砂のリゾット』です」

「星砂!?」

「はい、ルミナ海岸の砂浜で取れる、特別な星砂なんです。この星砂だけは食べられるんですよ。食感も楽しいので、温かいうちに召し上がってみてください」


 僕は店員さんの言葉を半信半疑で聞きながら、スプーンですくってみると、僕の知っているのと見た目そっくりな星砂が入っていた。食べたらガリッとかいわないよね? ちょっと心配になったけど、ぱくりと食べた。


「うわぁ! すごい、口の中でパチパチはじける! あの有名アイスみたい!」


 しかも、とても美味しい。リゾットは優しい味で、星砂の刺激が不思議なアクセントになっている。


「ほんとだ!」

「おもしろーい!」


 ラパンもユキも、初めて食べたらしく、僕と同じような反応をしている。僕たちは顔を見合わせ笑い合った。


「ごちそうさまでした。美味しかったー!」

「次回も日替わりメニューを頼んでみるか?」

「いいね! 新しい出会いがきっとあるよ!」

「そうしよー」


 僕たちは楽しく次の約束をしながら、店を出た。

 そして、今日は宿には泊まらず、この場で解散することになった。

 また明日ねーと言いながら、パネルを出現させ、ログアウト操作をした。


 この時僕は、明日もいつものようにゲームを楽しめると、疑いもしなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ