表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRゲームの世界でキミを待つ  作者: 一ノ瀬麻紀


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/13

11 お土産屋の依頼

「いらっしゃぁ〜い」


 お土産屋さんの店内に入ると、のんびりとした声に出迎えられた。

 カウンターには、水族館で見るそのまんまのサイズのあざらしがいた。でも、ゴマフアザラシの赤ちゃんみたいに、全身に白い毛が生えていて、もふもふしたら気持ちよさそうだ。


 依頼主は『あざらしのメプさん』と書いてあったから、たぶんこのカウンターにいるあざらしだと思うんだけど……。

 僕は、初めての依頼にドキドキしながら、恐る恐るという感じで声をかけた。


「あの……これ、依頼を見てきたんですけど……」

「あ〜。品出しの手伝いに来てくれたのね〜。ありがとう〜」


 僕が依頼の紙を見せると、のんびりゆったりした動きで、カウンターの外に出てきた。

 水族館のあざらしと同じ動きだから、カウンター内は踏み台でもあるんだろうか。


「私はメプよ〜、よろしくね〜」

「僕はシロです、よろしくお願いします」


 差し出してきたメプさんの手(?)を取って握手をした。やっぱりもふもふで気持ちがいい!


「今回のお仕事の依頼はね〜、在庫数の確認をして〜、バックヤードに商品があるから〜、不足分を補充してほしいの〜」

「はい」

「こうすると〜、モニターが現れるから〜、補充した分とか〜、記録してほしいの〜」

「はい」

「わからないことがあったら〜、聞いてね〜」

「はい」


 のんびりした声に、緊張していた体がほぐれていく。メプさんは、癒しオーラ全開だ。


「シロ、俺はちょっと別の依頼を受けてくるから、終わったら連絡して。また後で落ち合おう」

「え? あ、うん! 行ってらっしゃい!」


 ラパンも一緒にいてくれると思ってたから、びっくりしてしまった。

 そりゃそうだよね。一緒に冒険するとは言ったけど、まだ街の中だし、ラパンだって用事はあるよね。

 僕はラパンに手を振り見送った後、メプさんに頼まれたお仕事を開始した。


 まずは、入り口近くの商品棚から確認していく。ここはぬいぐるみコーナーみたいだ。

 色々なキャラクターのぬいぐるみの中に、ユキとそっくりなうさぎを発見した。


「あ! 見て! ユキにそっくりな子がいるよ」


 僕は、いつも持っているバッグの代わりに、今日はウエストポーチを腰につけている。その上で器用に丸くなっているユキに向かって小さな声で話しかけると、ぺたんと寝ていた耳を立て、顔を上げた。


「それは、サポートキャラの公式グッズなんだよ」

「そうなんだね。ってことは、これはユキ?」

「うん、そうだよ。可愛いでしょー」

「ふふ。本物には敵わないけどね」


 僕はそう言いながら、ユキの体をそっと撫でた。

 散々撫でて満足したあと、棚のチェックを再開した。僕は何種類も並ぶぬいぐるみの中に、メプさんそっくりのあざらしを見つけた。


「あれ?」

「それはメプさんだよ」

「やっぱり。似てると思ったんだけど……。でもなんで?」

「私も、以前はサポートキャラをしていたからよ〜」


 僕が疑問に思ってユキに問いかけていると、後ろから声がした。


「え? メプさんはサポートキャラだったんですか?」

「そうよ〜。他にも歴代のサポートキャラがいて〜、このカラスとか桃もそうなのよ〜。私と同時期にサポートキャラで〜、活躍していたのよ〜」

「へぇ〜、そうなんですか〜」


 思わず、メプさんののんびりモードが移ってしまう。僕もゆったりとして、ちょっと語尾を伸ばした話し方になってしまった。


「定期的に入れ替わるんだけど〜、隠居とでも言うのかしらね〜。サポートキャラ引退後は〜、みんな好きなことして〜、のんびり暮らしているわよ〜」

「それで、メプさんはお土産屋さんを?」

「キャラグッズもいいけど〜、なんと言っても〜。ここはお菓子がたくさんじゃない〜? それが決め手だったわね〜」


 そう言いながら、メプさんはあはははと、楽しそうに笑った。

 そうか、メプさんはお菓子に釣られたのか……。


「他の子達も〜、みんな良い子だから〜、今度ぜひ会ってやって〜。案内するわよ〜」

「はい、ぜひお願いします!」

「じゃあ〜、品出しよろしくねぇ〜」

「わかりました!」


 品出し途中に私語を挟んでしまっていたのに、メプさんはとても優しく対応してくれた。おおらかで、器の広い人だなぁ。


「よし、じゃあお仕事ちゃんとやらなきゃね! ユキ、しばらくそこで大人しくしててね」


 僕がウエストポーチに乗っているユキを撫でると、「うん、わかった!」と返事をして、再びくるりと丸くなった。落ちそうで怖いんだけど、落ちないようになってるみたい。


 僕は再び棚に向き直り、商品の数を数えたり、倒れているぬいぐるみをきれいに並び直したりした。

 こうやって見ると、同じぬいぐるみでも個性があるんだなぁ。目の位置とか口元とか、それぞれ微妙に違う。

 やっぱり僕は、ウサギのぬいぐるみが一番可愛いと思うけど、メプさんと同じあざらしも可愛い。カラスも桃も可愛い。全部集めたくなっちゃうな。


 僕は戦闘に向いてないみたいだから、ずっとここで、可愛い物に囲まれてバイトするのもいいかな……なんて思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ