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本の紹介27『二人がここにいる不思議』 レイ・ブラッドベリ/著

作者: ムクダム
掲載日:2025/12/03

SFの名手が紡ぐ、優しい読後感が嬉しい珠玉の短編集

 23作品が収録された短編集で、亡くなった両親をレストランに招待する男の話や、丘の上で手を握りあいながら夜空を見上げる男女の話など、しんみりとする内容が多く読後はちょっと感傷的な気持ちになります。中には、背中がゾクっとするようなホラーテイストの話もありますが。

 ボリュームはそれほどではないものの、1品ずつしっかりとした満足感が味わえるのでちょっと心を休めたいときに読むのにうってつけの作品だと思います。

 未来的なガジェットが登場し、管理社会が舞台となっているようなゴリゴリのSFよりはちょっと不思議な出来事が日常に不意に訪れるような作風の方が好みです。ディック作品のようなコテコテのSFも楽しいのですけれど。

 ブラッドベリは多作な作家で、邦訳された作品も数知れずです。「火星年代記」や「華氏451度」などの有名どころも面白いですが、短編で語られる日常SF的な作品にその真骨頂があるように感じます。

 私は漫画家だと萩尾望都先生が好きで発表された作品はほとんど読んでいると思います。最近出たスケッチ集も当然購入済みです。萩尾先生の作品の中にはブラッドベリの短編小説を原作としたものがあり、私は最初に漫画を読み、そこから逆流する形でブラッドベリ作品を読み始めたクチですね。入り口が萩尾先生だったので、ブラッドベリ作品を読むときは頭の中で萩尾先生の絵で物語が展開されることになります。これは大変幸福なことです。

 ブラッドベリの良さは、非日常的な事象を日常に溶け込ませる技量にあるように思います。SF作家という肩書きを知らなければ文学作品として読み進んでしまう作品も多いかと。本来、ジャンルがどうこうというのは後付けで、作品はただありのままに楽しめば良いと思いますが。

 面白い設定や奇抜なアイディアを盛り込んだ作品に触れると、それらをオチとして大々的に表現するものや、本来装飾に過ぎないものを物語の中心としているようなものに行きあたることが多いのですが、ちょっと興醒めしてしまいます。設定やアイディアはあくまで作品を構成する一部であって、全体の中でにどう扱うのが効果的かを見極めるのが大切だと思います。

 この点、ブラッドベリは飛び道具のようなものをさりげなく物語の中に盛り込んでおり上品な作品作りをしているなという印象を受けます。それでいてしっかりと読者の心には切り込んでくるので、名人に斬られた人間がその事実に気づかないような感覚に近いかなと感じます。

 大仰な世界観や設定が苦手でSFに二の足を踏んでいる方がいるのであれば、入り口としてブラッドベリ作品を手に取ることをオススメします。終わり

 

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