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探索開始!

 とりあえずわからないことばかりなので昨日はそのまま寝ることにした。

だが、ベットに慣れてしまった俺でも洞穴はとても快適でしっかりと疲労が取れた。

硬い床でもこんなに深く眠れるなんてステータスに載っている【適応】のおかげなのか?

混乱も収まったし、とりあえず次に何をするか考えるとしよう。


睡眠による疲労回復と【適応】スキルのおかげなのかはわからないが、俺は今非常に落ち着いている。こんな非現実的な状況なのにも関わらず、ゴブリンに転生し、さらにはファンタジーっぽい世界に来てしまったことをしっかりと受け止められている。

だからこそ俺は今生き残るためにさまざまなことをしなければならない。こんな家とも言えない洞穴にいるだけではいずれ満足な食事も取れず、息絶えてしまうだろう。


まずは最低限の衣食住。洞穴があるから住居はいいとして衣食、その中でも食料が今は先決だ。エネルギーがなければ生物は生きていけない。その常識はファンタジー世界でも多分変わらないだろう。その食料を見つけるためには、、、


(森の中を散策するしかないよなぁ、、)


この洞穴には俺以外何もなく、目覚めた瞬間にいたネズミもいつのまにかいなくなっていた。

だからこそ食料は違う場所、周辺の森からとってくるしかないのだ。


だが、少なくとも俺みたいなゴブリン、魔物と呼ばれる存在が森の中に潜んでいるかもしれない。ここに俺という魔物がいるのだからありえない話でもないだろう。


さらには森の中は木々の密度が高く、方向感覚が狂いそうだ。今は感覚的に朝だが、時間が進むに連れて森の中も暗くなっていくだろう。だが、先ほどからずっと感じている空腹が俺の足を自然と進ませる。


(背に腹はかえられないか、、、)


空腹は俺の体を突き動かし、森へと歩みを進めさせる。だが、森の中は背の高い草が生い茂っており、今の俺の体では全身が覆われてしまい、衣服を腰巻き程度しか着ていない俺には草が擦れて、少し痛い。


しかも草が生い茂っているため先がよく見えない。

これは、どうしたらいいのだろうか?森の探索は諦めるしかないか?


〈スキル適応が発動しました〉

〈スキル痛覚軽減lv1を入手しました〉

〈スキル透視lv1を入手しました〉


(は、、?)


突如として鳴り響いた無機質な声、まるで機械のような、感情のこもっていない声が頭の中に流れ込んできた。


その声と同時に今まで感じていた草の嫌な感触は僅かではあるが鳴りを顰め、草によって遮られていた視界も多少見にくくはあるものの先ほどとは打って変わって良好になっている。


(スキル適応はこんなところにも作用するのか?)


そう思いステータスを確認してみる。


名前:なし 

種族:魔物【ゴブリン】

LV:0

HP:5

MP:0

攻撃:1

防御:0

速度:3

耐久:0

魔攻:0

ユニークスキル

【強奪lv1】【適応】

コモンスキル

【痛覚軽減lv1】【透視lv1】


アナウンスの言う通り、しっかりとスキル認定されていた。


(これは思った以上にチートかもしれないな、、、)


しばらくして落ち着いた俺は更に森へと足を進めていく。先ほど手に入ったスキルはしっかりと効果を発揮してくれているので探索がだいぶ楽になった。


探索した結果、様々な物を見つけた。紫色の明らか毒なキノコに、瓢箪のような形をした果実、そして何より気になるのは、、、


(なんだ、、あれ、、、、?)


目の前には俺の三倍はあるオレンジ色の毛皮を持つオオカミだった。それだけならいいのだが、もっと驚くべきことはそのオオカミには顔が三つあったのだ。正にケルベロスといった姿形をしており、その顔は俺の心に恐怖という感情を深く刻んだ。


こいつに関わるとやばいと感じたため即座にその場から離れようと回れ右をした時、、


(パキッ)


足元にあった木の枝を踏み折ってしまった。


(、、まずい、、、)


こんな漫画みたいな状況になるなんて思わないだろう?だが、こんな状況になってしまったのなら逃げるしかない。ステータスで見るに、多分俺は超貧弱なんだろう。あんな、強そうな化け物に勝てるわけがない。


走りながらも、ギギッと首を後ろに曲げ振り返ると、そのオオカミの二つの目×3がしっかりと俺を捉えており、(グルルルッ)と喉を鳴らし俺の背後に接近していた。


まずいと思った時にはもう遅かった。

咄嗟に走り出した俺だったが、こんな貧弱ステータスでは速く走れるわけもなく、更に背の高い草が邪魔でうまく走れずもたついてしまう。対照的にオオカミは左右の顔をうまく使い、草を掻き分け俊敏にこちらを追いかけてくる。元々そんなに距離が開いていたわけでもないので、すぐに追いつかれてしまう。


真ん中の首が俺の腕に噛みつき、食い千切らんとばかりにブンブンと首を回す。俺の腕はそのまま食い千切られ、その勢いで吹っ飛ばされた。何m程飛ばされたのかはわからないが、背中に伝わる衝撃が俺は木々を薙ぎ倒して飛ばされているのだと理解させた。

腕の痛み、背中の痛み、身体のそこら中が痛い。

熱い、痛い、熱い、痛い。


〈致死量のダメージを確認しました〉

〈スキル適応が発動しました〉

〈スキル痛覚軽減lv1がlv2になりました〉

〈スキル熱耐性lv1を入手しました〉

〈スキル恐怖耐性lv1を入手しました〉

〈スキル自己修復lv1を入手しました〉

〈スキル自己修復lv1がスキル再生lv1に進化しました〉

〈スキル再生lv1がlv3になりました〉

〈致死量のダメージを補填可能なスキルの獲得を確認しました〉


は? なんだ? 何が起こった?

【適応】スキルはこんなにも規格外なスキルなのか?さっきまでの痛みが嘘のように消え、いつのまにか腕も治っている。

もう治らないかと思っていたのに、、


(グルルルルルッ)

(おっとオオカミがこっちに向かってきたな。混乱している暇はない)


そう思えることに俺は驚いた。こんな状況なのに、先ほどまで生と死の狭間を彷徨っていたはずなのに、こんなにも冷静でいられるのは【適応】か、はたまた先ほど手に入れた【恐怖耐性】か。まあ、うん、いいや。それはまた後で考えよう。


さて、オオカミも痺れを切らしたらしい。奴の怒りがひしひしと伝わってくる。だが、【恐怖耐性】のおかげか、あいつへの恐怖はもうない。傷も【再生】のおかげで治った。そこは問題ない。

、、ただ、攻撃手段はない。いや、まじでどうしよう?!


(ガウッ!)


飛びかかってきたオオカミを躱わしつつ思考を巡らせる。先ほどとは違い、開けた場所に出たのでオオカミが見やすい。割とギリギリではあるが躱わせないこともない。


だが、躱わすだけでは何も変わらない。

俺のような貧弱ステータスでも躱わせるってことはこいつ、見た目がイカついだけでそこまで強いわけではないのか?いや、まあ俺と比べれば確実に格上なんだろうが。


とりあえず何か打開できそうな策は、、、

うーん、、不確定要素だが、このままだと体力が尽きて死ぬだけだしな。【適応】もどこまで適応されるかわからないしな。

、、、ややこしいなこれ。


まあ、そんなことはどうでもいい。今ここで俺がすべきことは、、、


「すきる【ごうだつ】はつどう!」


ん〜?舌が回らないぞ?どういうこっちゃんねん。ゴブリンだからか?

いや!そんなこと気にしてる場合じゃねぇ!一瞬ボッーとしていたせいか、奴の鋭い爪によって腕に切り傷ができてしまった。まあ、この程度なら【再生】でどうにかなると思う。気にする程度でもない。


今気にするべきは俺がさっきやった【強奪】だ。【強奪】は名前的には何かしらを奪うスキルだと思うのだが、どういう条件で、何を奪えるのかがわからない。でも先ほどの【強奪】は正直手応えがなかった。発動条件を満たしていないのか、シンプルに滑舌の問題なのか、それを確かめなければいけないだろう。そうだな、じゃあ次は、、、


(スキル【強奪】発動!)


心の中で思い浮かべてみたが、これでも手応えはない。だが多分、滑舌の問題ではない。特に根拠はないがなんとなくそんな感じがする。心の中で思い浮かべても発動できるなら次は、、


(ガウッ!!)


俺は自らオオカミに腕を噛ませる。ああ、痛い。だが、【痛覚軽減】が効いているのか、身動きが取れないほどの激痛ではない。なら、この状態で、、、


(【強奪】発動!!)


〈スキル強奪が発動しました〉

〈スキル脚力強化lv3を入手しました〉


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