ワンルーム幽霊付き
一人暮らしをしようと考えて住宅情報を見ていると妙な部屋を見つけた。
一見するとただのよくある古アパートの一人暮らし用のワンルームの部屋である。付近の情報を見ても駅からは遠く、というより近くにはなにもない。一番近いコンビニですら自転車で15分はかかりそうな辺鄙なところだ。
オマケとばかりにこんなことが書いてある。
「心理的瑕疵あり」
つまり昔この部屋でなにか事件があった、ということになる。これで相場より家賃が安いのなら分かるのだが、その部屋はなぜか相場の何倍も高いのだ。
自分の条件に合う部屋を借りるために不動産業者へと行った僕は、ついでにその不思議なワンルームについて聞いてみる。するとその不動産の社員は少し困ったように笑うと答えてくれた。
「ああ、あそこは毎晩出るんですよ」
「出る……って、あれですか? 幽霊」
「はい、はい。そうです」
僕は首を傾げる。それならやはり安くないとおかしくないだろうか。僕の疑問を感じたのか社員はさらに言葉を続けてくれた。
「若い女の幽霊でしてね、美人なんですよ」
その幽霊の写真を見せてもらった僕は、なるほど、これならたしかに毎晩でだって見たいほどの美人だと納得をした。