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第六話 そう簡単には帰れない

 歩き始めて少し経つと、小屋が遠くに見えた。

「よかった〜」

安堵からか、思わず声が出る。

 嬉しくなってついスキップしていると、倒木につまずいた。

「痛た...」

改めてその倒木を見る。

「は?」

思わず声が出る。その倒木は...いや、倒木だと思ったものは、微かに動く木の根だった。


ーーーーービュンッ!!!ーーーーー


瞬間、木の根が鋭くしなり、俺の首を狙う。

「ッ…!」

 咄嗟に木の根を避ける...が、微かに頬を掠め、そこから血が出る。

まずい。

 そう判断した俺は、一度退き、相手の出方を伺う。

ズズズッ!!!

木の根が蠢き、周りの木を薙ぎ倒しながら、位置をずらしていく。

 すると、これでもかというほど巨大な、木の幹が現れる。その中心には、暗い緑色をした、ガラス玉のようなものが見える。

 ついに、木の根の本体のお出ましだ。






ーーードゴオォォン!!!ーーー

「あぶねっ!」

 上から降ってきた木の根を避け、そのまま、木の根をちぎる。

 バキッという音とともに、抱えている木の根が、動かなくなる。

ーーが、さっきまで木の根がついていた部分から、新しい木の根が生えてくる。

 この化け物巨木の正体は、《カタストロフツリー》

 異常なまでの再生力と、無数の丸太のような根を持つ、S級の魔物で、樹齢4000年以上の木が、100分の1の確率で変異する魔物だ。カタストロフツリーを倒すには、幹に埋まっているコアを破壊するしかない。

「チッ...小屋まであと少しだってのによぉ...」

今までにないほどの危機に瀕し、思わず口が悪くなる。

 自分の状態を確認すると、体力、魔力ともに、まだ余裕がある。

 魔物とはいえ、木であることに変わりはないので、炎属性魔法を放つのが効果的だろうが、迂闊に放つと、周りの樹木に引火し、足場を狭める。最悪の場合、死ぬ。

だったらーーー

「身体強化三倍+玄武化!」

身体強化三倍を体に施し、全身を玄武化で固める。

 このフォームは強いが、体が悲鳴を上げるので、長くは持たない。

「さっさとケリ付けてやるぜ、タコが!」

そう言い放つのと同時に地面を蹴り、カタストロフツリーに向かう。

「エアウォール! 」

風魔法で、空気抵抗を弱め、カタストロフリーと距離を詰める。

 視界を覆い尽くすほどの根が一気に襲ってくるが、ちぎって、蹴って、殴って、なんとか応戦する。が、仕切れなかった根が、直撃する。

「ッ...!」

しかし、玄武化による強化でなんとか耐え、もう一度、距離を詰め、コアに手を伸ばす。全ての根が、一斉に襲いかかってくる。

ーーあと少し、あと少しでコアに一ー

襲いかかってくる根に抗うために地面を深く踏み込む。

「オァァァァァァ!!!」

やっとの思いで、コアを掴み、そのまま握りつぶす。

パキンッ!という、澄んだ音とともに、カタストロフツリーの動きが止まる。

ーーバキバキバキッ!!ーー

「!?」

轟音とともに、カタストロフッリーの亡骸が倒れる。

「ハア…ハア...勝っ...た...」

身体強化と玄武化を解除した瞬間、疲労がどっと押し寄せる。

「うっ...!」

そして、そのまま膝から崩れ落ち、意識を失った。


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