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第三話 夜の森でのトラウマ

 俺は、四歳になった。

 おじいさん曰く、魔法はいつからでも使えるようなので、おじいさんから魔法も習っておく。おじいさんは、まるで呼吸をするように魔法を使うが、やってみると、これが地味にムズイ。ちょっとでも魔力の調整を間違えると凄いことになるし、怖気付いて魔力を出し損じると、全く出ない。でも楽しい。

戦闘術の方は、ほぼ応用に入って来ているが、いまだにおじいさんからは一本も取れていない。狂狼だった頃の俺はどこへ…



… さて、ここで一つ疑問が生まれる。

ーーおじいさんって何者なんだ?ーー

おじいさんに聞いてみても、

「わしはただの隠居老人じゃよ」

と、笑いながら答えるだけで、はぐらかされる。 おじいさんって実はすごい人なんじゃないか?

最近は、そんなことを考えながら過ごしている。






 ついに五歳になった。転生してからもう5年か…色々と楽しすぎてあっという間だった。 

 魔法も、中級までなら使えるようになったし、あと少しでおじいさんから一本も取れそうだ。おじいさんも、俺の成長スピードに驚いていた。

 今俺は、夜の森にいる。身体強化魔法に、体を慣らしていくためだ。やはり、人の身体能力を一度に上げるにも限度があるので、体に身体強化を馴染ませなければ、いざ身体能力を上げるときに、身体能力を上げすぎて骨が折れる、なんてことはザラにあるのだ。

「とりま、3倍くらいかなー」

なんて、軽〜い感じでジャンプ。

 次の瞬間、俺は森を上から見下ろしていた。 ...上から?

「あ」

やばい。 そんなことを漠然と考えている間にも、俺の体はゆっくりと落下していく。

? なんでゆっくり? と思った瞬間、落ちる速度が急速に上がった。

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

まずい、まずいまずいまずい、やばい死ぬ!



  ドゴォォォォン!!!



痛っ…くない? 死んで……ない…のか?

「よかった…」

とりあえず安心する。でも、あの高さから落ちて、なんで死んでないんだ?

ーー手を見ると、手が黒くなっていた。

「えっ?」

なんだこれ? 病気か? 病気だったらおじいさんがーーーー

などと思考を巡らせていると、手はだんだんと肌色に戻っていった。

今のは一体なんだったんだ?  

 この日はとりあえず帰って、後日おじいさんに聞いてみることにした。


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