第十二話 岩は動かない筈……
「着いた……」
寒さと空気の薄さとマジでお前ら人くらいの人口いるだろ?っていう頻度で遭遇するゴーレムで何度か死にかけつつ、やっとの思いで頂上に着いた。
「でも、何もなくね?」
かなり禍々しい魔力が充満しているものの、肝心の発生源が見つからない。
「ん〜、
どこだ?」
なんとなく、感じる魔力が強い方へ足を進める。
「うわっ!」
足を滑らせて、危うくカルデラに落ちるところだった...こんなに深かったら、上が
るのは大変だろうなぁ……なんて考えていると、カルデラの底に、真っ黒い岩?の塊
のようなものを発見。どうやら魔力はそこから出ているようだ。
「近づいてみるか…怖いけど」
怖いので、そろりそろりと近づいていくとーー
「!?」
今、黒い塊が動いたような……? いやいや、そんなことはない……よね?
若干ビビりながらも近づいていくと黒い塊から翼が飛び出てきて、段々と岩のような形から、龍へと変化していく。
「そんなことってある!?」
思わず声が出た。声に反応して龍がこちらに気づく。
「やっちまった」
気づいた時にはもう遅い。龍がこっちに向かって炎を吐く。
すかさず玄武化でガードするーーが、
「熱っちぃ!」
そう、いくら玄武化でも、熱さは誤魔化せないのだ。
「これだから火は嫌なんだよ!」
と、愚痴をこぼしつつ、一度ブレスが届かない位置まで避難。
「しっかしどうなってんだよ……」
基本的に龍は、魔法の4属性と同じ種類がいて、水龍、風龍、岩龍、炎龍だ。今襲ってきたのは、吐いてきた炎の色から察するに炎龍で、基本的に炎龍は、温かい地方にしか住めないはずなんだが、なぜここに? と、考えを耽らせていると、
「グオォォォォォォォ!!!!」
龍がこちらに気づく。
「考える暇すらねぇってのかよ……」
*
「ガァァァァァ‼︎」
ーードゴォォォン‼︎ーーー
龍が腕を振るっただけで、軽く地面が抉れた。
龍が放ってきたブレスをギリギリで避け、玄武化で殴る。ーーが、分厚い鱗に阻まれて、効果は薄い。
「チッ……」
一度退避し、背後から、水魔法を放つ。
「ケープ・ランス!」
竜の頭上に、水の槍が降る。すると、水の槍が当たった部分の鱗が剥がれた。
「魔法は使いやすいものの……これじゃ魔力が幾らあっても足りねぇな」
魔法が使いやすい。その秘訣は俺の左手についている指輪だ。この指輪は俺が三年かけて作った杖だ。もう杖じゃないけど。まだ微調整が必要ではあるが、龍相手に威力のセーブなどは必要ないだろう。
「グアァァァァァァ!!!」
鱗を剥がされて、怒り狂った龍が、こちらへ突進してくる。
「ゴーレムに比べたら遅いな」
玄武化で身を守り横にずれて突進を避ける。さらにその横顔に、パンチを食らわす。効果は薄い。
「いや硬すぎ」
やはり魔法でじわじわ鱗を剥がすしかないらしい。
「ケープ・ランス」
またしても水の槍が当たり、一部鱗が剥がれる。
「マジでこれ続けてたらジリ貧だぞ……」
危機感を覚えつつ、水の槍を打ち続けるが、剥がれる量は少ない。
「ガァァァァァァァァ!!!」
鱗が剥がれて、ある程度無防備になった龍が怒りに任せて暴れる。
「危ねぇっ!」
玄武化でガードをしつつ、水の槍を打つ手は緩めない。
ーーーすると、水の槍が黒く染まった。
黒く染まった水の槍が、龍へ当たる。すると、今までとは違い、鱗を貫き、龍の体を貫通する。
「ガァァァ!!……ア……ガ…」
最初のうちは、暴れ回っていたものの、しばらくすると動かなくなった。
「は?」
俺は、目の前で起きたことが信じられなかった。




