第7話 いよいよ神託の儀式です!
ついにこの日がやってきた。この俺が神託の儀式を受ける日が!どんなに待ち遠しかったか。どんなにこの日を楽しみにしていたことか。
天才…この世界に住む人ならみんなもっているもの一人一人違うし、新しく得ることはできないが努力で育てることはできる。それを知ることが出来る唯一の機会。それが今日だ!待ち遠しくてね、寝付けなかった。
コンコンッ
アユネ『カイル様~。』
カイル『ん?アユネか?』
アユネ『みんな支度を済ませて下で待ってますよ?』
カイル『ああ。分かった。今いくよ。』
カイルは客室を出て皆の所へとアユネと向かった。
ホテルを出るとみんな玄関先で待っていた。
セイル『よし。皆揃ったみたいだな。大聖堂へ行こうか。』
みんな馬車へと乗り込み大聖堂へ向かう。
暫くは馬車に揺られていると大聖堂が見えてきた。まだ300メートルくらい有るのにここから見ても本当に大きいな。
馬車を止め大聖堂の中へ入っていく。中にはいると受付があり、名前と年齢を伝える。
受付『カイル様、バース様、アユネ様ですね。奥の大聖堂へどうぞ。』
俺たちは大聖堂へと入る。
?『オーランド郷ではないか。』
セイル『これは、これは。ガーラント郷。』
ガーラント『あなたのお子さんも今日神託の儀式で?』
セイル『ええ。これが私の息子カイル・オーランドです。カイルご挨拶を。』
カイル『はい。セイル・オーランドの息子。カイル・オーランドです。以後よろしく。』
ガーラント『こちらこそ。私の息子もご紹介しておきましょう。これがガイラです。』
ガイラ『以後お見知り置きを。』
ガーラント『さて、お互い挨拶も終わりましたし、大聖堂の方へ行きましょうか。』
セイル『そうですな。』
カイル達は大聖堂へと足を運んだ。
カイル『は~。これが大聖堂……。』
それはキリスト教会を思わせる広々とした空間に長椅子がずらーっと並んで、前方に神父がたてそうな祭壇があった。長椅子には神託の儀式に訪れた貴族や一般人など多数大勢の人が座っていた。
アユネ『あっあそこの席が空いてますよ!』
セイル『本当だな。よしあそこに座ろうか。』
アユネが指を指した方の長椅子に座った。
暫くすると…。一人のえらい人と思われる人が出てきた。
セイル『ゼーマン大司教だ。あの人が神託の儀式で伝えられたら事を私たちに告げてくれる。』
ゼーマン『これより、神託の儀式を始めます!呼ばれたものは前へ!』
そして…。次々と名前が呼ばれ、天才と才能が告げられていく。時には歓声が起こったり、落胆する声が聞こえたりと様々だった。
ゼーマン『では次にバース殿!前へ!』
バース『はいっ。』
カチコチに緊張したバースが前へ進んでいく。
カイル『バース、リラックスだリラックス!』
緊張したままゼーマンのもとへたどり着く。
ゼーマン『緊張しているのですかな?まあ落ち着いて。』
バース『はい…。』
ゼーマン『では、聞いてみましょう。ふむ。貴方には剣とは相性は抜群のようだ。あなたの天才は剣の道を志す者。将来は剣豪になれるようだ。そしてもう一つ、衆を率いるもの。統率に優れているようだね。才能も剣技、体術、身体強化などの強化系の魔法を覚えるようだ。あなたの将来は軍を率いることができるかもしれない。そんな所か…。以上があなたの神託になります。』
バース『あ、ありがとうございます。』
バースは一礼をしてこちらへ戻ってくる。
次は…。
ゼーマン『アユネ殿!前へ。』
アユネ『ひゃいっ!』
カイル『ア、アユネ、リラックス、リラックスな。』
アユネ『は、はい。』
アユネもめちゃくちゃ緊張してるな。この場は仕方ないか。なんだか俺まで緊張してきた。
ゼーマン『貴女もそう緊張なさらずに。リラックスですよ。』
アユネ『はい。』
ゼーマン『貴女には魔法の才能があるようだ。天才は魔法を志す者。そして癒しの力を欲するものの二つ。才能としては…。これはすごい。全属性魔法と癒しの魔法。全属性魔法の使い手は早々いないのですよ。』
アユネ『ありがとうございます…。』
アユネは席に戻っていく。
いよいよ次は…。
ゼーマン『では、次にカイル殿!前へ!』
カイル『はいっ!』
カイルは堂々と歩いていく。そして祭壇の前にたった。
ゼーマン『さて、あなたは…。』
突然まぶしい光がカイルを襲う。あまりのまぶしさに目をつむってしまった。光が収まり目を開けるとそこは真っ白い空間だった。
カイル『こ、ここは?』
?『ようやく会えましたね。豊田秀秋、いえ、カイル・オーランド。』
カイル『あ、あなたは?』
そこには美しい女性が立っていた。
ウエンティ『私はウエンティ。この世界の創造主です。』
カイル『あなたが女神様?』
ウエンティ『ええ。今日はあなたにお願いがあってきたの』
カイル『お願い?神様がですか?』
ウエンティ『ええ。あなたにこの世界を救ってほしいのです。』
カイル『この僕にですか?』
ウエンティ『ええ。この世界はこのままだと人間達の争いで、人間達自ら滅ぼしてしまうでしょう。』
カイル『しかし何で僕が?』
ウエンティ『地球の神から聞いていますよ。こういう世界、あなたの住んでいた日本でいう、戦国時代ですか。そう言う世界。』
カイル『好きなだけであって、実際経験はないし…。』
ウエンティ『勿論、貴方にはサポートつけます。またチートと呼ばれる天才もつけますよ?』
カイル『え?』
ウエンティ『まずは衆を率いるもの。これはバースが持っていましたね。次に惹きつける者。これはあなたに好感をもてたものに魅力的に見せることができる力。次に剣の道を志すもの。剣技があがります。この三つをあなたにあげましょう。そしてすべての才能補正にプラス1。また、才能も剣技、身体強化の魔法。カリスマ、テイマーというスキルをつけます。そして地球の神から聞いているでしょうが鑑定眼(神の目)もつけます。』
カイル『う~ん。』
ウエンティ『どうしました?』
カイル『この依頼は受けましょう。』
ウエンティ『よかった。』
カイル『しかし、この神託の儀式で、これだけのスキル持ってるのばれたら目を付けられませんかね?』
ウエンティ『その辺は大丈夫でしょう。ゼーマンには適当な神託をしておきます。』
カイル『て、適当って……。』
ウエンティ『それではよき人生を。』
再び光が増してカイルは目をつむる。そしてカイルは祭壇の前に戻っていた。
ゼーマン『どうしました?神託の儀式は終わりましたよ?』
カイル『あっはい。ありがとうございます。』
その後神託の儀式は滞りなく終わった。しかし、とんでもない仕事を引き受けてしまったと少し後悔した。